【73話】空からの贈り物 1
その贈り物と最初に出会ったのは烏天狗の黒峰だった。
12月1日、午後11時30分。
巡回をおえた黒峰が長屋にもどると、南魔地奉行の主楽入くらりが布団に入って『顎十郎捕物帳』を読んでいた。
「クロ、夜の巡回、ご苦労であったな」
「恐縮です」
お決まりのやりとりである。
その後、黒峰が巡回の報告をしていると、
ドサッ。
大きな音がした。
「外だな」
「はい」
「近くだ。気をつけろ」
「くらりさまは、ここでお待ちを」
玄関に向かうと、黒峰は用心しながら扉を開けた。
そこにいたのは――。
(これは、いったい……)
地面に横たわっていたのは、頭にツノを生やした180センチほどの怪獣だった。
* * * * *
つぎの日の夜。
魔廻りの浅井慎吾と、その手先の万福が、巡回の最中に、ひと気のない道を歩いていると、
ドサッ。
背後で音がした。
振りかえると、7メートルほど向こうに、だれかがたおれている。
ふたりはいそいで駆け寄った。
「おい、あんた、だいじょ――うわっ!」
「ひゃあっ!」
たおれている人物を見て、慎吾と万福は悲鳴をあげた。
「嘘だろ……」
平たく潰れた青色のからだ。
頭からのびた、ふたつの長い触角。
そして顔についた4つの目。
たおれていたのは、人間ではなく宇宙人だった。
* * * * *
慎吾たちが見つけた宇宙人と、黒峰が見つけた怪獣は着ぐるみだった。
どちらも中身がなく、背中にファスナーがついていたからだ。
空から着ぐるみが落ちてくるという、この奇妙な現象は、つぎの日も起こった。
着ぐるみを発見したのは桐生雄太郎という熟練の魔廻り。
場所は追株総合体育館の近くで、このあたりを巡回しているときに、いきなり目の前に怪獣の着ぐるみが落ちてきたのだ。
さらにつぎの日には、巡回中の植田村夏帆という魔廻りの近くに、カブトムシに似た怪獣の着ぐるみが落下。さいわい彼女と手先の妖怪にケガはなかった。
これらの着ぐるみは、すぐに回収され、いまは南魔地奉行所の仮牢に収容されている。
* * * * *
そして、きょう、12月5日。
5体目の贈り物が空から届いた。
場所は御手洗家の屋敷。
時刻は午前5時で、発見したのは御手洗極導と手組の花子である。
いつものように、ふたりが屋敷の離れにある道場で朝稽古をしていると、
ドンッ!
と、とつぜん頭上で大きな音。
次いでゴロゴロという何かが屋根を転がる音。
そして最後に、
ドサッ。
と、地面に落ちる音。
「花子、行くぞ」
「うん」
雪駄をつっかけ、外に出ると、口が注射針のように尖った宇宙人の着ぐるみが外壁のそばにたおれていた。
(つづく)
更新は毎日おこなう予定です。
サイズや素材によって異なりますが、現在の特撮作品で使われる怪獣の着ぐるみ(スーツ)の重さは約15~30kgと言われています。
なお、初代ゴジラのスーツ(1号)の重さは150kgもあったとか。
あまりにも重たかったため、2号スーツがつくられましたが、それでも重さは100kg近くあったと言われています。(※資料によっては63kgや、1号スーツと同じ150kgほどとも)
【19時38分追記】
ウルトラマンティガのベイブレードが発売だって!? ぜったいに欲しい!




