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【53話】想う力 1


 10月19日。


 その夜、羽瀬はせがわのぶは自室のパソコンでゲーム実況の動画を観ていた。


「やったー。1位だー」


 ゲームの実況者は雲外くもとミラ。


 鏡の国からやってきたという設定の美少女ヴィーチューバーだ。


「やっぱり、みららはかわいいなぁ」


 推しは心の絆創膏ばんそうこう


 高校生活で擦りむいた心を、


でる」


 で癒すのだ。


「ぼくに必要なのはみららとデアさまだけだ。ふたりさえいてくれたら、ぼくは――」


「それが、いま流行りのゲーム実況というやつか」


 女性の声である。


 信男はさけびながら、うしろをふりかえった。


 部屋にはカギをかけたはずなのに、いつのまにか自分のすぐ近くに着物を着た二十歳はたちぐらいの女性が立っている。


 そのそばには山伏やまぶしすがたのからす人間にんげんも……。


「ばけも――」


「クロよ、やれ」


「はっ」


 烏人間が印を結ぶ。


 その瞬間、


 ふっ……。


 ロウソクを吹き消すように、信男の意識は深い闇に包まれた。



 *  *  *  *  *



 主楽入ぬらりくらりは窓のそばへ行くと、閉めきったカーテンを開けて、家の前で待つ魔廻まわりたちに手を振った。


 それを合図に、魔廻まわりたちが羽瀬はせがわ家に乗りこんでくる。


 1階にはのぶの両親がいるが、からすてん黒峰くろみねこころかせの術で催眠状態にしているので、騒ぐことはない。


 2階の部屋に入るなり、魔廻まわりのひとりが、


「お奉行、黒峰さん、ご苦労さまです」


 うやうやしく頭をさげた。


 最近かつやくをよく聞く御手洗みたらい極導きわみちである。


 彼のうしろには手組てぐみはなのほか、凍連いむらじふゆとその手先てきさはく、そして今回の作戦を立てた望月もちづき姉妹もいる。


「やはりすごいな」


「すごい?」


 極導きわみちが首をかしげる。


「何がすごいんですか?」


「花子嬢の恰好だ。いつ見ても、その服装にはおどろかされる」


 花子の服装は肩とおへそを出した白いブラウスと、赤いデニムのホットパンツ。


 キャラメルブラウンのロングヘアーはウェーブがかかっていて、その外見は露出度の高いギャルである。


「お奉行、たしかに花子はこんな恰好ですけど――」

 

「わかっている。人も怪異も見た目がすべてではないと言いたいのだろう」


「はい」


「時代が変われば、趣味や価値観も変わる。ギャルの幽霊がいてもいいのだ」


 くらりは逆さにしたピースサインを花子に突きだした。ギャルピースである。


「ギャルへのご理解、ごっちゃんです☆」


 花子も感謝のギャルピースを返す。


「ギャルの幽霊だけではない。もちろん、スポーツ好きのゆきおんながいてもいいのだ」


 そう言って、くらりは煌白に笑いかけた。




 煌白は冬輝の手先てさきであるゆきおんな


 普段は着物で過ごすが、外出時はスポーツTシャツにランニングレギンスといった動きやすい服に着替えるのだ。


「煌白嬢は格闘技が得意だそうだな」


「好きですが、得意というほどでは――」


謙遜けんそんをするな。自分の力を正当に評価することも大切なことだ」


 そして顔を近づけて、


「そのこぶしで白雪しらゆきおうを守ってやれ」


 そっと耳打ちした。




 煌白の相棒である冬輝は中学1年生の男の子。


 色白で中性的な顔をしていることから、白雪王子というあだがついたのだ。


「ところで、黒峰くろみね。心浮かせの術は?」


 たずねたのは頭にウサギの耳を生やした望月もちづきミユキだった。


「術はすでにかけています」


「じゃあ、もう彼に意識はないのね」


 ミユキがのぶを指さす。


 信男はうつろな目で、机に飾った雲外(くもとミラのアクリルスタンドを見ていた。


「はい。こちらの質問にはこたえますが、いまの彼に意識はありません」


 そうミユキに説明しながら、


(わたしのほうが年上なのだから、せめて黒峰さんと呼んでほしいものだ)


 ひそかに胸の内でなげくのだった。



(つづく)


更新は毎日おこなう予定です。


ウルトラマン✖️笑点コラボ、楽しかったー♪


ウルトラマンシリーズを題材にしたロケット団の漫才も面白かったです!


スペシウム光線で生サーモンが炙りサーモンになったー!


そしてまさかの……アラシ隊員、出演ありがとうございます!


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