13話 みぃちゃんと台風
おまたせしました。やっと、できました。
昨日から台風が続いていて、今日は学校も休みになった。僕はお家で一人、ポーカーをしていた。鏡を見ながらポーカーをしていた。ポーカーフェイスの修行中だ。ポーカーをやるなら、ポーカーフェイスもやらないとね。
「お前はフランス人か!」
突然、みぃちゃんが家に入ってきた。僕の心の声に突っ込みながら。えっと、みぃちゃんはテレパシーが使えるのかな。
「おはよう、みぃちゃん。台風大丈夫だった?」
僕がそう言うと、みぃちゃんは後ろに回していた右手を付きだして、開いて見せた。トマトがいた。ハムスターの。
「台風のことはよく知らないわ。それより、ポーカーフェイスなら、この子を手本にしなさい。だいたいいつも、おんなじ顔してるから。」
みぃちゃんはそう言って、僕の手にトマトを乗せた。トマトは顔の毛繕いをしている。確かにポーカーフェイスだ。
僕がトマトを見ていたら、みぃちゃんはトランプをやけに素早くシャッフルし始めた。
それにしても、ハムスターをポーカーフェイスのお手本にするのは難しいな。口とひげと鼻がひくひく動いて、忙しいんだもの。
だけど、なんでみぃちゃん、ハムスターを連れてきたのかな。もしかして、
「友達いないの、みぃちゃん。」
みぃちゃんの手の動きが止まった。大丈夫だろうか。聞いてはいけないことを聞いてしまったのかな。
「い、いるよ。トマトと、あんたが友達だよ。」
そう言うと、みぃちゃんはカードを配り始めた。トマトの分もある。
「そっか、トマトは友達なんだね。だから、今日も一緒に来たんだね。」
「そうだよ、友達だから、色んな所に一緒に行くよ。お風呂とかトイレとか。友達だからね。学校には行かないけどね。」
そう言って、みぃちゃんはカードを置いて、トマトを撫でた。
「図書館に行くといいらしいよ。」
配られたカードを見ながら僕が言うと、
「えっ、なに、急に。」
と、みぃちゃんは手元のカードから顔を上げて僕を見る。
「その、悲しいときは図書館に行けばいいんだって。そう言ってたんだよ、図書館の人が。学校の代わりに図書館においでって。ニュースになってたよ。」
みぃちゃんはカードを一枚交換した。
「トマトを連れて行けないよ。」
「昼はケージの中で寝てるからいいじゃん。」
田中じゃんがピクッとした。
「そう、じゃあ、明日から図書館に行くよ。だから、あんたと遊ぶのは今日で終わり。ばーか。」
そう言うと、みぃちゃんはカードを表に向けた。ハートのフラッシュだった。笑っている。
告白だろうか、ツンデレはめんどくさい。
「寂しいときは、僕も一緒に行くからさ。」
「別に、寂しくないもん。」
そう言うと、みぃちゃんは僕をぎゅっと抱き締めたのだった。
よくわからないけど、みぃちゃんの心も台風なんだな、と僕は思ったのだ。
図書館は一人でゆっくりできて、いいですね。




