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精霊ピエロと迷宮な日々  作者: なお☆プリン
カウントアップ:3
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ピザ組の到着(コウ)

私の心配とは裏腹に夜紅(やこう)と仁は何事もなく帰ってきた。

出る前と変わっている点といえば仁が両手で抱えているピザがあること……くらいしかない。

それにしても……だ。


「おかえ……多くないっすか?」


玄関に顔を見せた浮幸(うさき)も速攻で戸惑っていた。

それもそのはず。仁が持つピザは明らかにみんなが言っていた枚数より多かった。


「やっぱりそう思う?実はさ……」

「それは私が多く頼んだの。」


夜紅が仁の言葉を遮った。

つまり1人で食べるつもりなの……?


「私が頼むわけだし、言わなくても大丈夫かなって。」

「それって、やっこが1人で食べるつもりなんすか?」


と思ってたら、浮幸が訊いてくれた。


「別に残ったら冷やしといて明日食えばいいだろ。冷蔵庫あるんだし。」


いつの間にか来ていた(ほろう)がそんなことを言ってくる。

確かにその手があったか。


「別に1人だけでってわけじゃないわ。みんなが食べるなら一緒に食べようと思ってたし……。」

「まーまー、とりあえず中入ってもいい?ずっと持ちっぱなしだからさ。」


そうだった。仁はずっとピザを抱えたままなんだった。


「あー半分持つっすよ。」

「ごめんね。」


浮幸と仁はピザを持ってキッチンの方へと消えた。

一方の夜紅は何か考えごとをしているのか、スマホのようなものを見て固まっている。

あれは確か能力者に配られる……スピカだったかな?


「おい、俺達も行こうぜ。」

「……夜紅?」

「え?あぁ、ごめんごめん。行こっか。」


再びリビングに集結した私達は、とりあえずピザをつまむことにした。

……のだが、夜紅の顔が晴れない。

それは他のみんなも気づいているみたいで、でも、普段暗い顔を見せない夜紅ゆえに触れるべきかどうか迷っている……といったところだ。


「みんな……あのさ。」


そんな中最初に口を開いたのは夜紅だった。


「……市長が来るかもしれないんだ。」

「市長……っすか、なんで?」

「へぇ……私達、何かしたっけ?」


私と浮幸は顔を見合わせる。

なんでまた、そんな人がこんな辺鄙なところに?


「誰からの情報だ?」


そんな私達とは違って、またいつもとも違って真面目な顔をした(ほろう)が問いを投げた。


「おんなじ能力者仲間。その人も場所は知らされてなかったらしくて、まだ可能性らしいけど……山奥にある研究所に行くって言ってるらしいの。」

「なんで今さら……じゃあ僕ら、あっちに行ったほうがいい?」

「いや、移動中に市長が来て何かあってもマズい。起動には時間がかかるが落としておいた方がいいな。」

「それで、(かなめ)も一応呼んだらしいんだけど。」


要……って、氷山さんのことだろう。私達の仲間をしてくれる要さんは彼しかいないはず。

確か、彼の精霊は他のとは性質が違うとかで、(ほろう)と仁が協力を頼んでいたはず。


「それでも、万が一を考えて落とすぞ、仁。」

「了解。」


そういうと、幻と仁はリビングを出ていった。

正直なところ、私と浮幸は市長のことにピンと来てない上、要さんとほぼ接点がないので、私達はピザを食べながら3人の様子を見守るしかなかった。


「それと、コウと浮幸。」

「は、はい。」

「なんっすか?」


空気にのまれて思わず背筋が伸びる。


「2人とも、今日は来客があっても絶対に出ないで。」

「分かった。」

「了解っす。」


あの会話の感じから、なにか良くないことが起きるかもしれない……ということくらいは想像できたし、彼女の態度にもいつもの冷静さの中に少々の焦りを感じられるから、ここはおとなしくしておいた方がいいよね。


少し時間が経って、(ほろう)と仁が戻ってきた。


「とりあえず、落としてきた。」

「他に市長に見られて困るものはないし……とりあえずピザ食べてよっか。」

「そうね……要も来てるみたい。」


夜紅がスマホを見てそう言った。

あれ?要さんはスピカ持ってないのかな。


「申し訳ないな……終わったらピザを少しあげるくらいはするか。」

「少しっすか……。」


(ほろう)のケチぃ言葉に、小声とはいえ珍しく浮幸がつっこんでいた。

とはいえ、私にも出来ることはないので、ピザを頂くことにしよっと。

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