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精霊ピエロと迷宮な日々  作者: なお☆プリン
カウントアップ:3
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秘密基地的な研究所(コウ)

ところで時間は少し巻き戻り……


「……何度見ても、やっぱり廃墟だよね……」


私はいつも5人で集まっている研究所の門の前に立って、呟いた。


きっと元の研究所の名前が書いてあったであろう札……がかけてあった跡。

周りに巡らされた有刺鉄線付きの金網のフェンス……は所々破れている。


「あれ?コウちんじゃないっすか?遅かったっすね!」


私は後ろからかけられた声につられて振り向く。そこには両手にビニール袋を抱えた……


「あ、それとも『クイーン』の方がよかったっすか?……それとも私のこと忘れちゃいました?」


いじわるな小悪魔みたいに笑顔を浮かべた彼女……大事なメンバーを忘れるわけがないのにね。


「んなわけないでしょ、うさぎ。あ、『ジョーカー』の方がよかった?」

「どっちでもいいっすよ。私はどっちのコードネームも気に入ってるんで。」


私は仕返しのつもりで言ったんだけど、うさぎ……じゃなくて浮幸(うさき)は、あまり気にしてなかったみたい。


そんな小柄で小動物みたいな彼女の名前は雨宮 浮幸(あめみや うさき)

私達のグループ「(なな)ポカ」の一員で、5人の中だとムードメーカー……ってとこかな。


「相変わらず髪の毛は伸ばしてないんだね。」


私が浮幸のショートボブの髪を触りながら呟くと、


「ま、私のキャラに合ってないかな~って思って。……コウちんは長い方が好きっすか?」


彼女は質問で返してきた。

独り言のつもりだったんだけど……。

……うーん。私はいつも後ろに1本でまとめちゃってるから、そういうの考えたことないんだけど……


「まぁ、似合ってればいいんじゃない?」


結果ものすごい曖昧な答えになってしまった。


「……コウちんはほんと、おしゃれに興味ないっすよね。この間もじんじん(・・・・)とかやっこ(・・・)に言われてたし。」

「確かにそうだけどさ……あ、そうだ。夜紅(やこう)も仁ももう来てるの?」


私はそれとなーく、話をずらすことにした。


「あ、やっこはお昼過ぎになるって連絡があったっす。じんじんともっくんも……まだ連絡はないっすね。」

「そっか。……もしかして学校?ユウが通ってるところとか。」


半分冗談のつもりだったから笑いながら言ったんだけど、浮幸は急に真面目な顔になり、


「よく分かったっすね。」


まじまじとこっちを見つめながらそう言ったのだ。

どうしよう、別に深くは考えてなかったんだけど……


「なんとなくね。」


私の視線は自然とフェンスの方を向いていた。


「……でもなんで?」


姿勢はそのままに、浮幸に対して質問を飛ばした。

飛ばしたんたけど、その声は自分で思っているよりずっと小さくて……。

私がちらっと浮幸の方を見ると、彼女は空を眺めてため息をついていた。どうやら私の質問は届いていないらしい。


それならそれでいいんだけど。

どうせ、夜紅に訊けば分かるだろうし。


「ずっと外で立ってるのもなんだし、中入ろうよ。」

「そっすね。」


浮幸は短く答えた。一瞬見せたその表情はなんとも……しかしすぐ笑顔になり、


「じゃ、こっち持って欲しいっす。」

「いいけど……」


浮幸は片方のビニール袋を差し出してきたので、私はそれを受け取って歩き出した。


歩きながらちらっと袋の中を見ると、お菓子が大量に入っていた。

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