車中会話
・夢里 早百合
梨乃の母親。
・夢里 周
梨乃の父親。
・トリノ
早百合が契約した精霊。
「ねぇ、早百合。」
「なぁに?」
「あのさ、早百合は梨乃とトリノを重ねてるんじゃない?」
「……だったら何?」
「いや、梨乃はトリノとは違うしさ。もうトリノは……」
「分かってるわよ!だからっ、だから!もう止めたでしょ!?あの子を見るたび思い出しちゃうから今は仕事に専念してるし!」
「でもそれじゃ梨乃が寂しいんじゃないかな。それにさ、」
「なによ!?」
「本当は……早百合自身も忘れるのが怖いんでしょ?」
「……っ。」
「トリノを忘れるのが怖いから、梨乃にあんなことしてたんじゃないの?」
「…………」
「……分かってた。」
「え?」
「ううん、分かってるはずなの。梨乃はトリノじゃないことくらい。トリノがもういないことくらい。」
「……そっか。」
「なんでこんな風になっちゃったんだろう。トリノは私達の結婚も、私達に子供が生まれたのも喜んでくれてたのに。梨乃のことも可愛がってくれてたのに。」
「そうだね。僕のことも友達以上に扱ってくれたし。」
「いい子だったのに。」
「……まぁ仕事が一段落したら、調べてみるよ。あの事故について。」
「……お願いね。」
「でもその前に梨乃に謝らなきゃね。」
「…………そう……ね。」
「どうしたの?」
「散々逃げておいて、今さら顔合わせて私はなにを言う資格があるんだろう……って。」
「うーん……あ、そろそろ着くよ。」
「とりあえず仕事、か……。」




