5分前集合(ユウ)
時計の針が11時50分を過ぎた頃、石町さんが現れた。
「あ……おはよう……早いね。」
「おはよー……おはよう?」
石町さんの挨拶につられてしまったけれど、今は「こんにちは」じゃないかな。
そんな事考えていたら石町さんの隣に、彼女の精霊であるクレープが出現した。
「オハヨウゴザイマス。キョウはイイテンキですね。」
「エット……」
タルトが戸惑っている。
あっ、そうか。
「ミーとユーはすでにアってますよね?たしかユーは『タルト』さん。」
「でも、ボクはオナマエきいてナイ。」
「ああ、そういうコトね。ミーのナマエは『クレープ』!イゴおみしりオキヲ」
「ウン!ヨロシクネ!」
「……ねぇ……水森くん……」
タルトとクレープのやり取りを見ていたら、いつの間にか隣に来ていた石町さんから声をかけられた。
「何?」
「これ……」
そう言って彼女は1枚の紙切れを取り出した。
だいぶくしゃくしゃのその紙には、殴り書きで「1225」と記されていた。
「何これ?」
「一昨日……図書室に……落ちてたの。」
「あぁ、あの本を落とした時か。」
「そう……戻してる時……見つけたの。」
「ナンバーロックの解除番号だといいんだけどな~。」
「もう少し……待とう……?鳥越くんが……」
石町さんがその名前を口にしたとき、
「遅れてゴメンな!」
という明るい声と共に、鳥越君が現れた。
「いや、5分前だから大丈夫だよ。」
「むしろ……もっと遅くなるかと……思ってた。」
石町さんの言葉はフォローしているのか分からなかった……
というか正直、
「それ、俺のことバカにしてないか?」
あ、鳥越君も同じこと考えてたみたい。
「シカタナイだろう、リョウはソウイウキャラだ。」
「えぇ……ワッフルにまでそんな事言われるのぉ……」
少しショックなのか、鳥越君は目を閉じてそう呟いた。
が、
「ま、俺もそう思ってるけどな!」
「ヤッパリな。」
鳥越君が明るい人で良かった。なんというか立ち直るのがはやい。
「ワッフルとクレープ……」
「タルトは仲良くなれそう?」
「わかんないケド……これからタノシミ。」
「……そっか。」
タルトにも新しい友達が増えそうだし、なんか安心しちゃった。
「……ねぇ……なんか忘れてません……?」
「「あ。」」
「イ。」
「ウ。」
「エ。」
「……。」
石町さんの言葉でハッとした僕と鳥越君が思わず声を出したら、どこで覚えたのか3人の精霊がノってきた。
それを受けてか石町さんが……なんだか怒ってる?
「あ……ごめん……つい。図書室……行こ?」
「う、うん、ごめん。」
「そうだよなっ、ごめんごめん。」
僕と鳥越君はその気迫に押されていてそれ以外の言葉が出なかった。
「ゴメンネ、シズク。」
「ううん……私こそ……ごめん。」
「ゴメンナサイ。」
「スマナカッタ。」
「大丈夫……こっちこそごめんね。」
クレープが謝罪するのを見て、タルトとワッフルも謝っていた。
それに、どうやら許してもらえたみたい。良かった。
和解もできたことだし、僕達6人はやっと図書室に向かうことにした。




