校門を抜けて(ユウ)
学校に到着。
それと同時に時計を確認する。
11時27分。約束の30分前、だいたい想像通りだった。
「トーチャク、ダネ!」
「うん!」
タルトも僕もテンションが少し上がっていた。
いったい何が待っているんだろう。
胸を高鳴らせながら校門をくぐっ──
「そこのキミ。」
たら、背後から声をかけられた。
振り向いたところ、門の影にたたずむ誰かがいた。
「……」
「あのー?」
なぜか喋らない。
タルトもその誰かを恐れて、僕の背中に隠れていた。
「あのさ。」
突然その人が口を開く。
「手短に話させてもらうけど、まずあなたが水森ユウくん?」
「そ、そうですけど。」
僕の返答を聞いてか、その人は門の方を向いた。
「よかった、記憶のとおりね。」
「え?」
「こっちの話。」
そう言いながら、顔だけこちらに向けてきた。
「私の名前は栞、君がよく知る原田 進の同期……って感じ。」
「進先輩の……?」
タルトはもはやなんのことか分かっていないみたいで、僕の背中から動いてもいなかった。
それに関しては一切触れず栞さんは続ける。
「例えとか下手くそなんだけどさ。キミ、蓋がされてる鍋に、ビーフシチューとカレーのどっちが入ってるか……見ただけで分かる?」
「……は?」
つい、素で聞き返してしまった。
何を言いたいのか分からない。
困惑していたら
「あぁあ!もう!やっぱこういうの私のキャラじゃない!」
突然、栞さんが叫んだ。
かと思うと、
「キミさ、露季ちゃんっていう子、友達でいるでしょう?」
「え、はい。」
なんで知っているのか。
そう訊く間もなく
「その子のこと、大事にしなよ。」
そう言い残して栞さんは校舎の方へ行ってしまった。
その時の声のトーンはとても低かった。
「ユウくん。だれ?アノヒト。」
「分かんない。今日初めて会った。」
僕は、タルトの質問にも首をかしげながら答えていた。
……なんだろうあの人。
疑問がいくつかできたけど、僕はとりあえずここで鳥越君と石町さんを待つことにした。




