七不思議巡りー校長室……?(進)
校長室……なんだかただならぬオーラを感じるよね。扉開けてもいないのにさ。
「よーし、入るぜ!」
「せめてノックしましょう……。」
「よし、栞。せーので叩くぞ!」
「分かったよ、玉!」
「あぁ……進先輩……」
「あっはは……」
私は苦笑いしかできなかった。
この2人のテンションが上がった時に、私が止められた覚えがない。
――ゴンゴンゴンゴン――
「ちょっ、叩きすぎでしょ!」
私は2人のノックに突っ込んだけれど、やはり止められず。
――ガッ――
「あり?」
「開かないね。」
――ガッガガ、ドン!――
「そんなに蹴ったり叩いたりしたら、扉が壊れてしまいますから、鍵を開けましょう……。」
露季の提案を呑んだ私は、2人の手首をつかんで職員室に入った。
「と……松原せんせーい。あれ?」
職員室に私達以外の影はなかった。
おっかしーな……いるっつってたのに。
「鍵だけ借りちゃおっか。」
「それしかないかもね。」
「それはさすがに……いいんでしょうか?」
「うーん……まあ、扉壊すよりは……ね。」
私は露季のそう答えるしかなかった。
……あのまま放置してたら、2人が扉を蹴破りかねない。
今度は私が扉を――コンコン――2回ノックして、職員室に入った。
……あれ?明かりは点いてるのに……
「先生達が1人も見当たりませんね……。」
不思議そうに、露季も首をかしげている。
「とりあえず鍵、借りちゃおうか。すぐ返せば問題ない、はず。」
私は3人にそう言って、教頭の机の上にある、色んな教室の鍵が入っている箱を開けた。
この箱自体に鍵は掛かっていなかった。
……
…………
「んー、入ってないな……。」
「校長室の鍵が?」
栞が訊いてきたので、私は「うん」と頷いた。
確かに鍵ならいっぱい入っているのだけれど……
音楽室、保健室、理科室、家庭科室、体育館、美術室……
あと、色々な教室の鍵もね。
「なぁ、こっちのドアは?」
栞の声に反応して、みんながそちらの方を向いた。
栞が指差していたのは、職員室の角に存在する扉。
そっちって……
「あれ?そっちって校長室の方?」
「ですね。」
玉の問いかけには露季が答えてくれた。
「じゃあ行くしかないじゃんか!」
そう言うと、栞はすかさず扉の前に立ち、ドアノブに手を掛けた。
――ゴトン。
でも、実際に触ったのかは分からなかった。
だって、ノブは下に落ちたのだから。
「……うぇ?」
「うわー、壊しちゃったー。なにやってんだ栞は。」
玉が煽る。
栞は焦っているのか、口角がだんだん下がっていく。
「いや、あの、っと……」
栞の両手は……いや、全身が固まっていた。
どうやら本気で焦っているみたいで、それを玉も察したのか、
「いや、そんなにビビんなくても大丈夫じゃない?」
「……っえ?」
「いや、ほら。」
そう言って玉が扉に空いた穴を覗いた。
「やっぱり。ほらここ。」
玉が指を差した場所を3人で覗きこむ。
そこには何もないだけだった。
「なんもないけど?」
「真っ暗……」
「やっぱり私が、壊しちゃったんだ……」
栞は変わらずに落ち込んでるし。
すると、玉は大きく息を吐き出し、落ちていたノブを拾い上げると、私達3人の前に差し出した。
「ノブにはネジ穴があるのに、扉の方にはネジ穴どころか何もないなんておかしいでしょ?」
玉は半ば呆れたように、そう言いはなった。
……確かに。栞の力で壊れたとしても、その痕跡が何かしら残るか……。
「じゃあ一体誰が……」
露季の呟きは他の2人には聞こえていないようだった。
「なにはともあれ、とりあえず~」
玉は突然そう言ったかと思うと、2,3歩扉から離れて――
――ダッシュ――
したかと思ったら、肩から扉に体当たり。
バゴッ――っと鈍い音がした方を見ると、もう扉はなかった。
「あ……玉さん?えっと、やりすぎじゃあ……」
「……わぁ。」
栞も思わず敬語になってるし、露季もなんか素で声を漏らしてるし……。
「進、手伝って。」
「あ、うん。」
おそらく、校長室であろう部屋。
その中から突然、玉に呼ばれたから、私は思わず返事をした。
返事をした以上行かないわけにはいかず、声の元へ急いだ。




