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精霊ピエロと迷宮な日々  作者: なお☆プリン
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七不思議巡りー尾術室(進)

私達は武道場――剣道部や柔道部が活動するところだ――を通り抜けて、美術室にやって来た。


「……来たね。」

「うん、3つ目だけどねー。」

「ムード壊さないでよっ!」


ちょっと前まで怖がっていた栞がムードって……


そんなことを考えていたんだけど、足元でカコン……と音がした。

なんだろうと思って下を見ると、落ちていたのは私の端末だった。

拾い上げて画面をつけた。丈夫にできているので、壊れてはいなかった。

だが、開かれた画面を見て慌ててホーム画面に戻した。


ふと、思い出した。

そうだ。私は聞いたことない訳がなかった。

……昨日開きっぱなしだった、ビデオのアプリ……

まさか、露季と路野江の会話が録られていたとは思ってなかったんだ……



「どうしたんですか?」


露季の声でハッとする。


「あ、ああ。ちょっと落としちゃってさ……。」

「大丈夫だったんですか?」

「うん。壊れてはなかった。」

「なら、良かったですね……。」


これは、他人に喋ってはいけない。

うんうん。

言わなければ、玉と栞は分からないだろうし。



栞が扉を――コンコン――叩く。


「失礼しますよーっと。」


そのまま扉を開けて中を見渡す。

暗かったので、電気のスイッチをONにした。

ジジジっとなった後、パッ、パッと明るくなっていく。


「特に闇っぽいものは見当たりませんね。」


そう言った露季が動きを止めた。

その視線の先には……


石膏像(せっこうぞう)?」


栞が訊いた。

確かに、石膏像だ。

よく見ようと近寄ってみると、その石膏像の裏に、真っ黒な煙が漂っていた。


――闇!


咄嗟に露季を地面に伏せさせた。

次の瞬間、私と露季の頭上を石膏像が飛んでいくのが見えた。

飛んでいった先を見ると、玉が全てキャッチしていた。

そして、キャッチしたものを見て玉が口にしたのは……


「……石膏?」

「今さら!?」


さすがに突っ込まずにはいられなかった。


「闇は?どこ行った!?」


栞が声を荒げる。それと反対に落ち着き払った様子の玉が


「そこの窓から外出てったよ。」


と答えた。

石膏キャッチしながらも見てたのか。

玉の凄さに感心していた私だったが、ふと自分の下に何かがいるのを思い出した。


「……重い。」

「うわーっ!ごめん!」

「いえ、大丈夫です。先輩こそ怪我してませんか?」

「私は……大丈夫そう。」


私は自分の体を見渡して答える。

……あれ?私が心配される立場になってる。


それはさておき、


「くそぉっ。自我を持った闇じゃなかったのか……。」


栞が悔しそうに窓の方を見つめる。


「そうみたいだね。」


玉は自分の抱えていた石膏像を、1番近い机に並べながら続ける。


「でも、なんで直接殴りに来なかったんだろ?石膏が気の毒だよ。」

「確かに手段が雑ですよね。」


「そこぉ……?」


栞のさりげなーいツッコミはスルーされた。

……自分もスルーしたわけだけど。


「結局、正体は分からないままだしね。」

「だね。」


「無視ぃ……?」


「これからどうするんですか?」


露季の問いかけを聞いて、私達はしばらく黙っていた。


「……いや、それは行くしかないっしょ?」


もちろん私もそう考えていたけれど、それを言葉にして口にできるのはさすが栞、といったところだ。


私達は黙ってうなずいた。

もちろん……ここで止まるわけにはいかない。


「―――行くよ。」


栞に続いて、玉が美術室を出た。


私と露季も外に出て、扉を閉める。


すでに少し前の方を2人は歩いていた。


「……先輩。」


私は後ろからの声に反応して振り向く。

いや、露季以外いるわけもないのだけれど。


「どしたの?」

「……いや、ごめん。なんでもないです。」

「……?そっか、ならいいけど。」


何かを言いたそうな彼女に声をかけようか迷っていると、今度は前から声が飛んできた。


「おーい、次行こうよ。」

「そーだよー。いこー。」


「うん。行くよー!……ほら、露季も。」


私は露季の手を引いて少し早足で2人の所に向かった。

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