七不思議巡りー音愕室(進)
……ピアノ?
私が振り向いたのに3人も気づいたっぽい。ドアを閉めて、こっちを見た。
「……ピアノこんなに近かったっけ?」
玉がさっそく疑問を口にした。
私は玉の方を向いた―――
―――その時、視界から外れかけていたピアノが……
「危ないっ!」
栞が飛びついてきて、私を抱えてそのまま部屋の隅へ跳んだ。
先程まで私がいたところは、あのピアノが突っ込んでいた。
「ぴ、ピアノが……」
「……なにが起きているの?」
ピアノの向こうにいる露季も玉もなにが起きたのか分かっていないみたいだった。
「こっから出るぞっ!」
栞が叫んだのを皮切りに準備室から、楽器が飛んできた。
でも、それより先に玉が気付いていたようで、露季の手を引いてダッシュしていて、
「ゴメン!」
そう言い残して音楽室の扉から出た。
的を失った楽器達は……
「こ、こっちに飛んでくる……?」
「いいから、私達も出るぞ!」
私は栞に手を引かれ音楽室の出口に向かった。
楽器がこちらに狙いを定めた……のだろうか、そのまま飛んでくるのが見えた。
栞が扉を開けて―――私が扉を閉めた。
閉めた直後、扉の向こう側に物がたくさん当たる音がした。
「……なに?あれ。」
栞が訊いてくる。
「知るか。あんなの。」
「楽器が動くなんて……。」
私と玉もあまりに予想外な事が起きて、戸惑っており答えにならなかった。
だけど……
「……闇……じゃないでしょうか。」
露季がそう言い放った。
「ピアノにも他の楽器にも、なんか出てたねー。」
「でも、闇って人から生まれるんだよね?」
「はい。」
いつの間にか玉が冷静になっていた。
「それにさー、もし原因が闇ならなんで……」
玉はすこし溜めて、
「私達を狙ったのかなー?」
そう言いながら音楽室の扉の方に目を向けていた。
私はハッとした。
さっきから音がしない。
「静かになったね。」
私はいまさらだけど言った。
それを見て、栞が露季に質問した。
「扉を開けては来ないのか……?」
「闇は、実体を持ったり持たなかったりするから。」
「……えっと。」
「闇はすごく曖昧なんです。」
「は、はあ。」
「……分かってないですね?」
「……うん。ごめん。」
玉と私は、そんな栞と露季のやり取りを黙って見ていたわけだけど……。
玉が口を開いた。
「とりあえず、どうするー?」
「どういうこと?」
私は思わず訊く。
「だからー肝だめし。」
「あ。」
「うーん。」
私と露季は困ってたんだけど……、
「続けるぞ。」
「栞……?」
「栞お姉ちゃん?」
「おー。栞さん乗り気だねー。」
「乗り気なわけあるか、ただ……黒幕を突き止めないとな。」
栞はすでに怖がってはいなかった。
「そうだねー。もし、私達を狙ってる黒幕がいるんだとすれば……私達の会話を聞いてたのかなー?」
「……盗聴、かもしれませんね。」
「なるほどね。」
「よし、いくぞーっ!」
「……正体が分かればいいんだけど。」
玉がポツリと呟いたセリフは、私しか聞いていないようだった。
「ここから1番近いのは……理科室かな?」
「じゃあ、理科室行きましょう。」
「そーしよーか。」
理科室に行くことは決まったんだけど。
音楽室のこと、解決できてないよね。




