散歩中?(ユウ)
……実に平和だ。昼過ぎの街中って平和だなー。
僕がぼーっとしていると、元気な声がたちまち耳に入ってくる。
「ジケン!ジケン!ジケンはドコカナー?」
「だから、そうそう事件は起きないんじゃないかな……。」
「エェー、つまんナイヨ!ジケン!」
タルトが事件に取り憑かれたみたいになっている。まあ、事件はお化けじゃないんだけどね?
なーんてやり取りをしながら歩いていると、前の方に梨乃が歩いているのが見えた。
「おーい、梨乃だよね?」
僕は声をかけた。梨乃は振り向いて、「おぉ」という風なリアクションをした。
その後、進行方向を変えてこちらに近づいてきた。服をヒラヒラさせながら。
「ユウ先輩じゃないですか!こんなとこで会うなんて奇遇ですね!」
「ホントだね。梨乃はどこか行くの?」
「はい!夜ご飯の材料を買いに……あれ?その子は?」
梨乃がタルトの方を見て言う。そういえば説明がまだだったっけ。
「この子はタルト。僕とトモダチになった精霊だよ。」
「ほぇぇ……精霊さんかぁ……。」
梨乃がタルトの顔を下から覗きこんで言う。
対するタルトは……?仮面の上からでも分かるけど戸惑ってる。
「エ、ウン。ボクはタルト。ユウくんのトモダチダヨぉ……。」
「そっかぁ、この子が!いやー、やっと会えたね!」
梨乃が手を差し出している。握手したいのか?
タルトもモジモジしながら手を出す。これは……戸惑ってるんじゃなくて、照れてるのか。
2人の様子を眺めていたら、梨乃が思い出したように、
「というか、先輩もどこか行くんですか?」
と訊いてきた。
散歩してただけだよ、と言おうとしてコウお姉ちゃんに頼まれていた事を思い出したので、
「僕も買い物があってさ。3人で一緒に行く?」
と僕は訊いた。すると息つく間もなく、
「イッショにイコウ!」
タルト……一目惚れってやつか?
ちょっと寂しいけど、タルトが嬉しいんならいっか。
「じゃあ行こっか。」
「ウン!」
「はい。」
僕達はとりあえず、スーパーマーケットに行くことにした。
……いつまで2人が手を繋いでいるのか見物もしておこう。




