ユウとタルトの平和な昼下がり(ユウ)
通知音がなる。
昨日タルトに教えてもらった端末から聴こえる。
「オー、ユウくんサッソクれんらくキタヨ。」
「みたいだね。」
僕は早速新着メールを見る。
『ホシノ メイ』
……片仮名かよ。
「ア、ソレかんじニモできるッテいってたヨ。」
「そうなの?……ま、あとからでいっか。」
僕はその名前をタップした。
『こんにちは』
初めてメール送ります。
これからもよろしくお願いします。
……かたいな。なんで普段みたいな口調じゃないんだろうか。
部室で会うときみたいなノリでいいのに。
そんなことを考えながら、返信をタップした。
「えーっと、こちらこそよろしく……っと。」
こんなもんかな……?とりあえず送信した。
「ユウくん、みじかいネ。」
「……そう?こんなもんかと思ったんだけどな……。」
タルトにダメ出しされてしまった。
ま、返事がくるまで様子を見よう……。
平和な昼下がり。
僕とタルトはテレビを見ていた。
なにがやってるかなと、チャンネルを変えていたところ、タルトがこれがいいといったので、刑事ドラマを見ることにした。
「カッコイイネ、ケイジさんっテ!」
「そーだね、あんな風にズバッと事件解決できたらカッコイイよね。」
「イイナァ、イイナァ。」
タルトが「いいな」を連発している。
……これは。
「もしかして刑事やりたいの?」
「ウン!」
間髪いれずに。
いや、でもな……
「ただ、事件なんてそうそう起こらないよ?」
「なら、ミツケにイコウ!」
また、間髪いれずに。
なるほど……その手があったか。
「じゃあ、お散歩がてら事件探しに行こうか。」
「オー!」
僕は散歩の準備を始めた。といってもたいした準備なんてない。
散歩だし。そうそう事件が起こるはずもないんだけど……。
「あれ?どっか行くの?」
あ、コウお姉ちゃんだ。ちなみにお姉ちゃんは社会人だ。
なんだか、夜にお仕事に行ってるっぽい。いつも僕が学校行く頃に帰ってきていた。
「お姉ちゃん、今日休みなの?」
「昨日が休みだったんだよ。ふぁ~。ねみぃ……。」
「あ、はは……。」
「で、どっか行くの?」
「あぁ、そうそう。散歩いってくるね。」
「散歩かぁ……じゃあ、ついでにこれ買ってきてよ。」
お姉ちゃんから手のひらサイズのメモ用紙を渡される。
見るとそこには、ポテチ、チョコ、クッキー……
「お菓子ばっかり……」
「いいじゃん、おいしいんだもん。あ、そうだ。これで買ってくれればいいよ。」
お姉ちゃんはそういって5000円札を渡してくれた。
……いやいや。
「多すぎでしょ!さすがにコレ全部買っても余るんだけど!?」
「そうかなぁ、いつもまとめて買っちゃうからな……。ま、とりあえずそれで買ってきてよ。」
「いいのかよ……5000円って……。」
「落とさないでねー。」
「努力するよ……。」
このお姉ちゃんは金銭感覚がズレてるんだろうか。
そんな事をふと考えた。
昔はこんな感じじゃなかったんだけど。人って変わるな……。
ちなみに散々お姉ちゃんって呼んでたけど、正確には従姉、つまり日野コウって名前。
「そういえばサクラ叔母さんと浩介叔父さんは?」
「あー、2人なら朝早く出掛けたよ。なにかの修復作業?があるっぽいけど。」
「なんだろう……。」
「ま、お母さん達に任せとけば大丈夫だよ。2人とも気をつけていってきなよ。」
「あ、うん……えっ?2人?」
「タルトくんだっけ?そこにいるんでしょ?私には見えないけど、お母さんがいってたよ。」
……のみこみ早い……こっちもか。
「帰ってきたら、ゆっくり話すよ。いってきまーす。」
「いってらっしゃーい。」
僕とタルトは家を出て、鍵を閉めた。
サクラ叔母さんは……ホントにもう……。
「ナニかジケンおきるカナァ……。」
「あはは……。」
(タルトは浮いているが)僕達は歩き出した。




