下校放送後の職員室(路野江)
「いやーそれにしても驚きました。まさか、校長先生が……」
「いや、俺はだいぶ前から怪しいと思ってましたよ。」
「まぁまぁ、死亡者が出なかったんだ。良かったよ。」
職員室は先ほどの爆発の話題で持ちきりだった。
あの規模の爆発だ。当然と言えば当然だろう。
だけど私はその会話に参加する気はない。するのも面倒だ。
「しかし……どうしますか?今回の問題、校長がやったというのは表に出せば保護者の信頼を失ってしまう。」
そう言ったのは鬼見教頭だ。
「そ・こ・で、この鬼見、考えました。あのとき近くにいた、松原先生に全責任を負ってもらい、辞職していただきましょう、と。どうです?ん?」
誰も反論しない。できないのだ。
「ンフっ!!ナイスアイデアですよねぇ!?」
私が思うに、校長がいなくなった今、この学校で最強の能力者は教頭だ。
教頭の能力は『空間操作』。下手に逆らえば、生身の人間ならまず、逃げることはできなくなるのだ。
私は職員室を出た。職員室のドアを閉め、廊下の窓を開ける。
外の空気が吸いたい。
教頭も私のチカラを利用しようとしている。
私は精霊の能力者じゃない。
精霊の能力と打消しの関係にある、闇。その闇を体内に大量に宿す一族が、柄闇家だ。私にも柄闇の血が流れている。今の名字は路野江だけど。
教頭は、闇を使って自分に逆らう能力者を消そうと企んでいるようで、どうやら柄闇家を使おうとしてるらしい。
だから、まだ私は――
「……殺されるわけにはいかない。」
私は小さな声で呟いた。
このまま保健室に行って、松原先生にこの事を伝えないと……
そんな事を頭に浮かべながら私は職員室を後にした。




