保健室では静かな子(薫)
……保健室に沈黙が走る。
なんというか、気まずい。水森くんも、えやみんも寝ている。
水森くんはさっき一回目が覚めたけどまた寝てしまった。アレだけ多目的室が荒れてたし、傷もすごかったから休んだ方がいいよね。
……静かな保健室。
そういうテンションじゃないから、騒ぐわけにもいかないけど……。
「……アー、センセイ?ナゼ、コノふたりをヨビダシたのカ、ワタクシタチにもオシエテいただけマス?」
ムースが沈黙を破った。そしてその質問は皆の気持ちを代表したものでもあった。
「…………。」
先生は答えない。もしかしたら、事態はウチが思ってるより重い事なのかもしれない。
「……先生……教えて……露季ちゃん……水森くん……何を……話そうと……してたの……?」
静かに、でもしっかりと、石町さんが先生に質問する。
「………………ふぅ。」
先生は一呼吸おき、
「……ごまかすつもりはない。うん。ここまでやって、何も話さないのはダメだな。うん。話すことは話す。だけど、これは2人が起きてから……話させてくれないか。」
と言った。
「……わかり……ました……。」
「そうですね。」
「先輩たち……」
とりあえずその方向で話がまとまった。
……そのとき、
「あ、あれ?先生……みんな……」
水森くんが目を覚ました。
「ぐっすり眠れました?先輩。」
「ユウくゥゥん……」
涙をたくさん浮かべたタルトが水森くんに抱きつく。
そういえばタルトは水森くんのことが大好きっぽい、と後輩くんたちが言ってた。
「ヨカッタぁぁ……ユウくんイキてタァ……」
「えへへ……なんとか生きてるよ。……っ!そうだ、露季は!?」
「……大丈夫……露季ちゃんは……寝てるだけ……」
「そっかぁ……良かったぁ。」
水森くんは胸を撫で下ろす。安心したのかな。
なんて考えていたら、
「……っく、我はまだ死なんぞぉ…………はっ、ここは……?」
「……良がっだ……露季ぢゃんん……」
えやみんの目覚めに涙を流して喜ぶ石町さん。本当に仲が良いんだね。
「さて、2人とも目が覚めました。先生、話していただけますね?」
鳥越くんが先生の方に向かいながらそう言った。
「じゃあ……」
と先生が口を開いたとき、チャイムが鳴った。校内放送だ。
「……えー、先ほどの爆発のことなどを考えて、緊急ではありますが、本日の授業は終了、明日からも学校をしばらく休みとします。その後の連絡は随時しますので……」
……休みになるみたいだね。まあ、そうなるよね。
「……下校……しなきゃ……怒られ……ちゃう……」
石町さんのいうとおり、こんな緊急事態下でのんびり話なんかしてたら、他の先生に怒られる。
みんな、どうしようかと戸惑っていると、保健室のドアが開いた。先輩……かな?
「あー、安全確保済、先生から許可もとってきた。どういう事か説明して、とう……んん、松原先生。」
「最初からそのつもりだ、進。とりあえず入れ。」
松原先生は話し出す。自分達の過去に何があったのか。
さすがのウチも、他の皆も、まずは静かに聴くことに決めた。




