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精霊ピエロと迷宮な日々  作者: なお☆プリン
カウントアップ:3
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ケガで済んでるのかな(コウ)

「いた……。」

「大丈夫っすか!?もっくんもじんじんもボロボロ……って、やっこですらケガしてるじゃないっすか!」


私達が物置として使っている部屋。その入り口にチェーンがぐるぐる巻きになっていたので、浮幸(うさき)と私で急いでほどいて中に入り部屋を見回すと、奥の方で(ほろう)と仁、夜紅(やこう)の3人が乱雑に寝かされているのが目に入った。


3人の状態を確認するため、すぐさま浮幸が駆け寄る。

ただ、大怪我はしているが3人とも命に別状はなさそうだ。……そもそも、市長は殺すつもりなどなかったみたいだけれど。

しかし、少量とはいえ、目の前の仲間が血を流しているのを見ると焦るもので、


「えと、えと、とりあえず救急車を呼ぶっす。」


そう言うと浮幸もスマホを取り出して電話をしようとした。

でも、それは下から伸びてきた手に止められる。


「待て……ダメだ。」

「何で……放置したら死んじゃうかもしれないんすよ!?」

「落ち着け……。」


絞り出すような声で(ほろう)が言ったものだから、さすがに浮幸も静かになる。とはいえ、内心は焦っているのだろう。挙動が落ち着かない。


「奴は……市長は、精霊界に行く手段を探しているみたいだった。なんの手がかりも得られていないままに、現状で唯一可能性のある俺達を殺すとは思えない。」

「そうね……確かに3人とも急所は外されているわ。確実に殺れるチャンスはあったはずなのに。」

「まぁ、痛かったけどね……。」


そう言いながら3人がゆっくりと起き上がる。見ているだけで痛々しいけれど、とりあえず良かった……。


「でも、とりあえず救急箱持ってくるっすから。」


その声が最後まで聞こえる頃には、この部屋に浮幸の姿は無くなっていた。


「そんなに急がなくても大丈夫なんだけどな……。」

「そう言われても、うさぎも私も心配してたんだよ。」

「……悪かったな。」

「それ、うさぎにも言ってあげてね。」


私が(ほろう)を指差すと、彼はやれやれと言う代わりに鼻を鳴らした。


「でも、加護がある夜紅までケガするとはね……。」

「ま、能力とか闇でなら普通に加護を無視して殺せるからな。」

「……え?そうなの?」


私が聞き返すと、(ほろう)は呆れるようにまた鼻を鳴らした。


「『精霊の加護』はあくまで自分の能力に耐えられるような強化で、確かに打撃面には強くなれる……でも、刃物やトゲに対してはそこまでの耐性はつかないし、能力や闇を使えばそもそも加護を無視して攻撃できるし……別に絶対防御ってわけじゃないんだよ。」

「はぁ……。」


そうだったんだ……ユウにも教えておこう。


「まーまー。僕も最近まで鉄壁の防御だと思ってたし。夜紅ちゃんだって試したことはないもんね?」

「……え?ごめんなさい、ぼーっとしてて聞いてなかったわ。」

「珍しいね、考え事?」

「えぇ、まあ。」


夜紅は短く答えてから、小さく続ける。


「邪魔になってないといいんだけど。」

「邪魔?なんのこと?」

「大変っす!」


私が夜紅を追及しようとしたら、浮幸が救急箱を持って戻って来た。……目をまんまるくして。


「外……やっこの霧が……凍ってるんっす!」

「……!それ本当?」


浮幸の言葉に、誰よりも速く反応したのは当然、夜紅。

でも、彼女の能力でそんなことをやっているのは見たことないけど……。


「……(かなめ)だな。」


(ほろう)が呟くように放った。

それでも、よく分からない。なんで霧を凍らせる必要が……。


「やりあってるんだろ、市長と。」

「ええ、恐らくは。」

「……一旦避難だ。裏から出るぞ。」

「そうね……あ、待って。」


スマホを見ていた夜紅が、部屋を出ようとするみんなを制止するように手をつきだす。


「要からメールが入ってるわ。『OK出すまで出ないでね。』だって。」

「……俺達がこの中にいた方が本気を出せるってことか。」


(ほろう)はそう言って大きなため息をついた。

それを静かに見ていた4人だったが、なんとも言えない空気を断ち切るように、夜紅が切り出した。


「まあ、任せたのは私達なんだし。」

「別に何も言わねーよ。俺達も一応動けるし……ま、いつでも逃げられるように準備はしておくか。」

「でも、無理はダメっすからね。」


そんな浮幸の忠告を合図に私達は部屋から出た。

とはいえ、私は特に準備するものはないし……誰かのを手伝おうかな。

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