そういう日もあるとのたまうバンパイア
寝ている間のお話
ちょっとだけ、そそられてしまった。
この女がこんなに疲れてるのは珍しい。
まあいつも割と気だるそうで、明るくはつらつとしているところは見たことないけど。
しかも、本当に珍しく自分から吸血していいと言ってきた。
正直天地がひっくり返るぐらいあり得ないと思っていた。こいつ痛みに弱すぎるし。
さすがに可哀想だと思ってセックスを提案したら殴られた。
この女、美形に対する態度がなってないと思う。大体顔を殴る女なんて論外だ。
今までの女はこれで機嫌が直ったというのに。やっぱりこいつは変わっている。
「ほら、飲めば。とっととやって帰ってよ眠いんだから」
そういいながら首筋を晒してくる。
噛みなれた首筋。抵抗なく差し出されるなら遠慮なく。
顔を寄せると女の体が強張るのが分かる。いつもならギャーギャー騒ぐくせに、今夜は本当に例外だ。
すん、と匂いを嗅ぐ。風呂上がりのにおい。最近嗅ぎなれて妙に安心する。
「きっちゃん」とやらはまた違う匂いだった。こいつのほうがいい。
…何言ってんだ俺。何に安心してんだよ。意味わかんね。
女が何か言おうと息を吸ったのを感じて、唱える。
『朝まで寝とけ』
途端、電池切れのように脱力する身体。小さく寝息が聞こえてきて、のしかかっていた体を起こす。
さて、どうするか。
吸わないでおいてやることも考えたけど、単純に俺が飲みたい。
飲まないと死ぬとかではないけど。
そういえば、と思い出して女のスウェットズボンを脱がせる。
前にショートパンツを履いてきたとき、太腿噛んでみたいと思ってたんだっけ。
意識があると絶対無理だから今やるか。
左の膝裏を掴んで足を開いた。やたらと白い内腿を思わず凝視する。
指を這わせると柔らかい肌。運動とか一切してないんだろうなと分かる筋肉のなさ。
脱がせたから普通にパンツ丸見え。
……でもそれよりも、何の跡もない白い腿に牙を立てることに妙に興奮してしまった。
顔を寄せて唇を押し当てる。柔すぎる肌に牙を突き刺す感覚、生温かい血の味。
「……やば」
こんな色気もない女に。ちょっとだけそそられてしまった。
ある程度血を頂いて口を拭う。
……なんか負けた気分だ。何にとは言えないが、すごい屈辱的。
机の上からペンをとって、太腿の傷痕の横に文字を書く。
下着なんて正直見ちゃいないけど、ただ俺がむかついたから。
朝起きて怒り狂うであろう姿を想像して、少しだけ気が晴れた。
こんな女に欲情するなんてどうかしてる。魔が差しただけ。
魔が差す日だってあるだろと自己解決した。
レレト視点。




