虚偽罪が追加されました
「なんだこれ」
部屋のそこかしこに配置されるニンニク、ベッドの枕元に建てられた無駄にでかい十字架。なんか水の入った瓶。
趣味の悪いレイアウトになった部屋を見渡す。
まあ、十中八九俺への嫌がらせ。あまりにもわかりやすすぎる。
「なーあ、効くと思ってんのこれ」
「効かないの…?!」
首からバカでかい十字架を下げた女が声を上げる。
なんだろう、たまにこいつ頭悪いんじゃないかと思うときがある。
窓に三連でぶら下がったニンニクを指先でつつく。よくもまあこんなもん作ったな。
「別に…不愉快ではあるけど。直系でもないと効かないんじゃないの」
「耐性つけてくれるなよ…吸血鬼なら弱点はちゃんと弱点らしくあるべきでしょ…」
「人間だって進化するだろ?俺たちだって進化するわ。でもまあ、太陽は無理だな。あれは攻略できない」
「縛り付けて日光浴させてやろうか…」
大変物騒なことを言う。殺したいぐらい憎まれてる心当たりはないんだが。
どのみち人間の女に腕力で負けるわけはないから心配してないけど。
「アンタ、嫌いなもんとかないわけ?」
「えー…」
そういわれても。ベッドに腰掛けて考える。
嫌いなものは正直ごまんとある。でも些細すぎて挙げだしたらキリがない。
…あ。
「そういえば俺、露出の高い女嫌いかな」
「は?」
「なんか軽そうじゃん。別に貞操観念とか求めてないけど、肌出されすぎても萎えるよな。知り合いにサキュバスいるんだけど、あいつらはほぼ裸。なんもそそらない」
「え、何の話これ…嫌いな女のタイプは聞いてないけど…」
「嫌いなもの挙げ始めるとキリないんだわ」
ため息交じりにそういうと、目の前の女は露出ねえ…と呟いていた。
次の日の夜。
無駄なもので装飾されていた部屋はすっきりと片付いていた。
ただ一つ違うのは、部屋に得意げに佇む女の格好だけ。
「さあ、どうよ!」
「どうって…」
目の前の女は、肩から背中・胸元まで大きく開いた白のオフショルダーに太腿露わな黒ショートパンツ。
普段はスウェット姿しか見たことないから、随分なイメージチェンジだ。
俺が前夜言った通りの、露出高い装備になっている。
「露出嫌いって言ってたでしょ?この格好なら萎えて血を吸う気にもならんってわけよ」
終始得意げ。やっぱ頭悪いのかもしれない。
まじまじと姿を眺めつつ、女に近づく。
「やー萎えるわあ。やっぱ露出高いのってそそらないよな」
「……なんでこっちくんの?」
「ちょっと近くで見ようかと思って」
「萎えてんだよね?」
「萎えてる萎えてる」
後ずさる女をじりじり壁まで追い詰めると、俺より背の低い相手の顔を覗き込む。
「え、ちょっと、こわ」
「美形すぎて怖いって?」
「調子乗んな犯罪者…うげ」
露わになった肩に触れる。女はおよそ色気のない悲鳴を上げた。
「こーんだけ首とか肩とか丸見えだと、どっから噛もうかなって迷っちゃうよな」
「は?!」
狼狽する相手の太腿を指先でつついて撫でる。
「足とかも噛みつけるんだよ。肌が張ってるところって噛むと痛ぇと思うけどね。いやー選択肢が多くて嬉しいね」
「嫌いじゃないじゃん!」
「まんじゅうこわいって落語知ってる?嫌いっていえばお前やりそうだなって思って」
俺が嫌がることをしたがってたから、こういえば露出高めな格好するんだろうなって思った。案の定だった。
「傷害罪の次は虚偽罪だ!最低、鬼悪魔!」
「吸血鬼デース。あと別に全部が嘘でもねえよ、サキュバスのほぼ全裸は全然そそらない。さてさて」
両肩をがっしりと掴んでわざと優しく微笑みかける。
相手の血の気が引くのが分かった。
「どっから吸われたい?」
「お前なんて灰になれ嘘つき!!」
例のごとく、無駄なあがきをする女から血を頂いた。
例のごとく、気絶した。おもろ。
レレト視点。
理智は割と大真面目です。




