表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
農民の俺が育てた作物、なぜかドラゴンに跪かれて管理社会が崩れ始めました  作者: 森乃こもれび


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
83/112

第83話 再安定

 合流から、七日。


 世界は崩れなかった。


 混乱もなかった。


 だが、

 静かに変わった。


 空は深い。


 黒い太陽は、

 朝と夕に薄く浮かぶ。


 星座は増え、

 夜は奥行きを持つ。


 幹振動は、

 低く、穏やかだ。


 以前のような圧迫はない。


 ただ、

 確かな拍動。


「安定域固定」


 セリーヌが告げる。


 観測値は、

 未知の基準に入った。


 だが、

 危険値ではない。


 枝は太くなった。


 半径は拡張し、

 海岸線は変わり、

 新しい丘陵が生まれた。


 荒野の欠損部には、

 若い森が立ち始めている。


 向こう側の地層が、

 こちらの土と馴染む。


 断絶はない。


 継ぎ目も見えない。


 ただ、

 広くなった。


 都市では、

 地図が書き換えられる。


 計算式が修正される。


 重力定数が微調整される。


 混乱はある。


 だが、

 恐慌はない。


 誰もが見た。


 空が裂けず、

 世界が壊れず、

 ただ広がった瞬間を。


 畑で、

 カイルは鍬を握る。


 侵入不可は戻らない。


 必要がない。


 土は普通だ。


 作物は育つ。


 だが、

 踏み込むと分かる。


 深さが違う。


 底が遠い。


 幹の鼓動が、

 わずかに響く。


 エリオットが訪れる。


「終わったな」


 カイルは首を振る。


「伸びただけだ」


 幹振動が、

 さらに低くなる。


 融合は完了。


 次の段階へ移行した。


 黒い太陽の空に、

 一瞬、影が走る。


 竜に似た輪郭。


 だが、

 顕現しない。


 役目は終わった。


 枝が成熟した今、

 補助機構は不要だ。


 空は二重ではない。


 一つの厚い空だ。


 地平線は遠い。


 海は深い。


 世界は孤立した球ではなく、

 太い枝の一部になった。


 セリーヌは最後に言う。


「成長段階、移行完了」


 神話ではない。


 奇跡でもない。


 構造の必然。


 拒絶しなかった枝が、

 合流し、

 太くなった。


 カイルは土を踏む。


 重さはある。


 だが、

 安定している。


 世界は、

 救われたのではない。


 選ばれもしなかった。


 伸びただけだ。


 静かに。


 確かに。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ