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農民の俺が育てた作物、なぜかドラゴンに跪かれて管理社会が崩れ始めました  作者: 森乃こもれび


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第79話 境界崩壊

 侵入不可境界は、音もなく消えた。


 柵は残っている。


 だが、

 あの見えない圧はない。


 畑の中央へ、

 誰でも歩いて行ける。


 踏み込んでも、

 弾かれない。


 崩れない。


「境界消失、確認」


 リナが静かに言う。


 だが、

 危険値は上がっていない。


 むしろ、

 振動は安定している。


 拒絶の必要がなくなった。


 接続が、

 固定されたからだ。


 カイルは畝の間を歩く。


 土はいつも通り。


 作物も枯れていない。


 だが、

 足元の深さが違う。


 踏み込むと、

 底のない奥行きを感じる。


 幹振動が整う。


 引く波と押す波が、

 完全に均衡する。


 空は二層。


 黒い太陽は、

 昼でも薄く見える。


 人々は慣れ始めている。


 恐怖は薄れ、

 畏怖が残る。


 その瞬間。


 地平線が、

 ゆっくりと遠ざかる。


 目の錯覚ではない。


 測量値が変わる。


「半径拡張……継続中」


 セリーヌの声が震える。


 地図を書き直す必要がある。


 海岸線が、

 わずかに外へ移動する。


 山の稜線が、

 遠くなる。


 崩壊ではない。


 伸長。


 枝が、

 太くなる。


 荒野の欠損部で、

 再芽が膨らむ。


 光の枝が、

 空へ伸びる。


 黒い太陽の枝と、

 位相が揃う。


 空の帯が、

 完全に固定される。


 裂け目は消える。


 代わりに、

 淡い光の層が常在する。


 境界は必要なくなった。


 枝は孤立していない。


 融合は、

 安定段階へ移行した。


 その夜。


 畑で、

 エリオットは中央に立つ。


 初めて、

 何も起きない。


 拒絶も、

 圧もない。


 ただ、

 深層の鼓動だけがある。


「……終わったのか」


 カイルが言う。


「いいや」


 エリオットは首を振る。


「始まった」


 空を見上げる。


 二つの光源。


 星座が増えている。


 奥行きが深い。


 世界は壊れなかった。


 切られなかった。


 削られなかった。


 広がった。


 侵入不可は、

 守るための壁だった。


 成長段階では、

 不要になる。


 境界は崩壊した。


 だが、

 秩序は崩れていない。


 幹振動が、

 静かな拍動へ戻る。


 再芽が、

 しっかりと根を張る。


 黒い太陽が、

 空の一部になる。


 カイルは土を踏む。


 重さはある。


 だが、

 圧迫ではない。


 深い安定。


 枝は、

 孤立した世界ではなくなった。


 世界は、

 一本の太い枝へと変わり始めている。


 境界は消えた。


 成長は止まらない。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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