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農民の俺が育てた作物、なぜかドラゴンに跪かれて管理社会が崩れ始めました  作者: 森乃こもれび


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第77話 融合波

 それは、音もなく始まった。


 夜空が、深くなる。


 星の数が増えたのではない。


 奥行きが、増した。


「層が……重なっています」


 リナの声が震える。


 白い帯が再び現れる。


 だが、裂けていない。


 空が二枚になったように、

 薄く、しかし確かに重なる。


 星が二重に瞬く。


 ずれた軌道が、

 一瞬だけ一致する。


 幹振動が強まる。


 だが、荒れていない。


 整っている。


 引く波と押す波が、

 均衡している。


 畑の中央で、

 カイルは立っている。


 土が揺れる。


 沈むのではない。


 持ち上がる。


 わずかに、

 大地が呼吸する。


 地平線が、

 ゆっくりと弧を描き始める。


 海が、

 ほんのわずかに広がる。


 観測器が異常値を示す。


「半径変化……確認」


 セリーヌが息を呑む。


 枝が太くなっている。


 質量が増えているのではない。


 構造が再編され、

 空間容積が拡張している。


 白い帯が広がる。


 その向こうに、

 黒い太陽が見える。


 消えない。


 揺れない。


 こちらの太陽と、

 同時に存在する。


 昼と夜が、

 一瞬重なる。


 街が薄明るくなる。


 だが、崩壊はない。


 重なりは安定している。


 荒野の欠損部で、

 細い光が枝のように伸びる。


 再芽が、

 空へ向かう。


 剪定跡から、

 新しい接続線が生まれる。


「枝間同期率、過去最大」


 リナが叫ぶ。


 空の二層が、

 完全には分離しない。


 薄い膜のように、

 共存する。


 畑の境界が消える。


 誰でも踏み込める。


 だが、

 何も起きない。


 侵入不可は不要になった。


 安定しているからだ。


 カイルは空を見上げる。


 黒い太陽と、

 こちらの月が並ぶ。


 影が二重になる。


 だが、

 恐怖よりも、

 畏怖が勝る。


 幹の影が、

 深層で明確になる。


 巨大な柱。


 無数の枝。


 絡み合い、

 伸びる。


 それは神ではない。


 構造だ。


 生きているわけではない。


 だが、

 呼吸している。


 融合波が最大に達する。


 空が、

 白く光る。


 だが、

 裂けない。


 破断しない。


 揺れながら、

 固定される。


 重なりが、

 安定する。


 観測値が急降下する。


 幹振動が、

 低下。


 だが、

 消えない。


 静かな拍動へ戻る。


 空は二層のまま。


 黒い太陽は薄く残る。


 星座が増える。


 世界は壊れていない。


 削られてもいない。


 広がった。


 エリオットは静かに言う。


「融合段階に入りました」


 誰も否定しない。


 枝は切られなかった。


 折れなかった。


 伸びた。


 畑で、

 カイルは土を踏む。


 重さはある。


 だが、

 優しい。


 世界は、

 終わらなかった。


 成長した。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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