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農民の俺が育てた作物、なぜかドラゴンに跪かれて管理社会が崩れ始めました  作者: 森乃こもれび


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第74話 集中

 荒野の欠損から、七日。


 幹振動は落ち着かなかった。


 むしろ、

 周期が整い始めている。


「収束しています」


 セリーヌが言う。


「どこへ」


 リナは答えを知っている。


 地図上で、

 振動の位相を色分けする。


 濃い部分が、

 一点へ集まる。


 畑。


 他の接続点はない。


 拒絶は整理された。


 残ったのは、

 受容点だけ。


 幹振動が来る。


 逃げる先は、

 一つ。


 その夜。


 畑の中央で、

 カイルは立っていた。


 空は静かだ。


 だが、

 土の奥が深く震えている。


 今までと違う。


 “重さ”ではない。


 “密度”だ。


 圧が集まっている。


 畝の端が、

 わずかに沈む。


 作物は揺れない。


 枯れない。


 だが、

 根の奥が熱を持つ。


 観測器の針が、

 過去最大を示す。


「集中率、八十パーセント」


 リナの声が硬い。


 枝全体の負荷が、

 ここへ向かっている。


「耐えられるか」


 副官が言う。


 エリオットは答えない。


 計算できない。


 受容点は有限だ。


 荒野が消えたことで、

 分散先がなくなった。


 星が遅れる。


 夜空が薄くなる。


 白い裂け目が、

 わずかに走る。


 だが、

 開かない。


 圧は上へ逃げない。


 下へ沈む。


 畑の地下深層が、

 さらに接続を深める。


「幹側の応答があります」


 セリーヌが息を呑む。


 振動波形に、

 変化。


 今までは一方向だった。


 押し上げる波。


 だが今は、

 引き戻す波が混ざる。


「応答……?」


 リナが呟く。


 幹が、

 畑を認識している。


 接続点が一つになったことで、

 位相が安定した。


 集中は危険だ。


 だが、

 整合も強まる。


 その瞬間。


 畑の中央で、

 土が一瞬だけ透ける。


 カイルは目を細める。


 見える。


 深層。


 巨大な暗い幹。


 無数の枝が伸びる影。


 だが、

 形は定まらない。


 一瞬。


 すぐ消える。


 幻覚ではない。


 位相が近づいた。


 空は裂けない。


 畑は裂けない。


 だが、

 接続は強まった。


 集中は、

 破壊の前触れか。


 あるいは、

 確立の前触れか。


 観測値が安定する。


 振動は高い。


 だが、

 乱れていない。


「……耐えています」


 リナが言う。


 荒野は拒絶して消えた。


 畑は受け止めて沈む。


 その差が、

 枝の運命を左右する。


 カイルは空を見る。


「重いな」


 それだけだ。


 助けようとしない。


 止めようとしない。


 ただ、

 立っている。


 集中は終わらない。


 だが、

 崩壊も起きない。


 枝は今、

 一点で幹に触れている。


 それは、

 危険なほど安定していた。


本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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