第73話 接続不全
白い円が閉じた翌日。
荒野の第二接続点が、
再び振動を始めた。
「逆位相、増幅中」
リナの声が低い。
幹振動は高止まり。
畑は沈んでいる。
だが、
荒野は違う。
押し返している。
岩盤のひびが広がる。
地面が鳴る。
拒絶は意思ではない。
構造だ。
「退避完了」
現地は無人。
だが、
遠方の集落は息を潜める。
幹振動が強まる。
星が遅れる。
荒野の中心が、
白く薄くなる。
裂け目ではない。
内側から、
押し出される。
逆位相が跳ねる。
圧が、
逃げ場を失う。
その瞬間。
荒野の中心が、
“沈まない”。
代わりに、
横へずれる。
空間が、
折れる。
音はない。
だが、
中心半径二十歩が、
消える。
爆発も崩壊もない。
ただ、
そこにあった地形が、
存在しなくなる。
切断ではない。
接続不全による
局所剪定。
地層断面が露出する。
滑らか。
畑の断層と同じ質感。
「……整理された」
セリーヌが呟く。
成熟していなかった。
整合していなかった。
だから、
幹は切った。
枝全体ではない。
接続点だけ。
荒野は静まる。
逆位相は消える。
幹振動が、
わずかに下がる。
だが、
畑の振動は上がる。
圧が流れ込む。
受容。
深層で吸収。
その夜。
カイルは土を踏む。
重い。
以前より深い。
だが、
裂けない。
空は静かだ。
竜は現れない。
整理は、
竜を介さずに行われた。
荒野は、
空白地帯になる。
地図上に、
円形の欠損。
管理社会は公表する。
隠さない。
だが、
説明は抽象的になる。
「局所構造崩壊」
言葉は整っている。
だが、
本質は違う。
拒絶は整理される。
整合しない接続は、
切られる。
枝は、
少し軽くなる。
だが、
成長は止まらない。
隣枝との距離は、
縮まっている。
畑の深層で、
振動が続く。
カイルは空を見る。
「……あっちも切られたか」
向こう側の枝。
黒い太陽の世界。
あそこも、
どこかで整理されたのかもしれない。
荒野は消えた。
枝は残る。
だが、
接続点は減った。
残ったのは、
畑だけ。
幹振動が、
ゆっくりと上がる。
受容点が一つになった。
それは、
安定ではない。
集中だ。
次の拍動が、
近づいている。
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