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農民の俺が育てた作物、なぜかドラゴンに跪かれて管理社会が崩れ始めました  作者: 森乃こもれび


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第70話 接続の条件

 荒野の事故から、三日。


 幹振動は落ち着いている。


 だが、

 振幅の平均値は確実に上がっている。


「接続の安定条件を整理します」


 セリーヌが言う。


 黒板に三つの要素が書かれる。


 一、深層同期

 二、逆位相反応の有無

 三、圧の受容率


 畑は全てを満たす。


 荒野は二で失敗した。


「拒絶が逆位相を生む」


 リナが言う。


「だが拒絶とは何か」


 それは構造か。

 意思か。

 偶然か。


 エリオットは畑を見る。


 柵の向こう、

 中央に立つ男。


 カイル。


 彼は何もしていない。


 祈らない。

 命じない。

 抗わない。


 ただ、

 立っている。


「意志の問題ではない」


 セリーヌが言う。


「位相整合の問題です」


 人が中心に立ったとき、

 接続点はわずかに波形を変える。


 畑では、

 その変化が最小。


 荒野では、

 増幅された。


「彼は整合している」


 リナが呟く。


「整えようとしていないのに」


 その夜。


 エリオットは柵の外から声をかける。


「なぜ拒まない」


 カイルは土を踏んだまま言う。


「拒む理由がない」


「怖くないのか」


「怖い」


 即答だった。


「だが、だから何だ」


 空は静かだ。


 幹振動が小さく走る。


 畑は揺れない。


「止めようとは思わないのか」


「止められないものを止める気はない」


 それは諦めではない。


 理解でもない。


 ただ、

 事実として受けている。


「受容は能動ではない」


 セリーヌが後ろで言う。


「整合です」


 荒野では、

 中心に立った観測官が

 無意識に構えた。


 拒絶の波形が生まれた。


 畑では、

 カイルの波形が最小。


 恐怖はある。


 だが、

 対抗しない。


「接続の条件は」


 エリオットが言う。


「拒まないこと」


 カイルは首を振る。


「違う」


「何が」


「俺は何もしていない」


 それが本質だった。


 受け止めようとも、

 合わせようともしていない。


 世界を変えようともしていない。


 ただ、

 立っている。


 幹振動が強まる。


 星がわずかに遅れる。


 畑は沈む。


 だが、

 裂けない。


「整合点」


 セリーヌが低く言う。


「枝の中で、

 幹と最も位相が近い場所」


 それが偶然か、

 必然かは分からない。


 だが、

 条件は明確になった。


 拒絶は反動を生む。


 受容は安定を生む。


 ただし、

 無限ではない。


 カイルは空を見上げる。


「終わりはあるのか」


 誰に向けた問いでもない。


 エリオットは答えない。


 枝は成長している。


 成熟すれば、

 整理される。


 受容点がある限り、

 猶予はある。


 だが、

 限界は近い。


 接続の条件は分かった。


 だが、

 解決ではない。


 世界は揺れている。


 整合しているのは、

 ほんの一点だけだった。


本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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