第68話 第二接続点
発見は偶然ではなかった。
幹振動と星の遅延を重ねた結果、
もう一つ、深層同期地点が浮かび上がった。
北西の荒野。
人の住まない、
乾いた土地。
「振動値、畑に次ぐ」
セリーヌが言う。
だが、
波形が乱れている。
「同期していません」
リナが画面を見つめる。
畑は幹振動と完全同期。
第二地点は、
わずかに遅れる。
そして、
時折逆位相に振れる。
「不安定接続」
エリオットが言う。
現地調査が行われる。
荒野の中央、
岩盤が円状にひび割れている。
侵入不可はない。
触れられる。
だが、
中心に立つと、
耳鳴りのような圧がある。
「……拒んでいる」
観測官が呟く。
地面が、
わずかに震える。
幹振動が強まる。
星が遅れる。
荒野の中心で、
空気が歪む。
だが、
畑のような安定はない。
圧がぶつかり、
跳ね返る。
「受け入れていない」
セリーヌが言う。
「接続を」
次の瞬間。
地面が裂ける。
崩壊ではない。
だが、
中心部が“押し出される”。
岩盤が数歩分、
位置を変える。
縫い直し未満。
接続不全の反動。
荒野は静まる。
だが、
幹振動は乱れたままだ。
「畑との違いは」
リナが低く言う。
「拒絶です」
畑は拒まなかった。
この地点は拒む。
拒絶は安定を生まない。
圧は逃げ場を失い、
反発する。
その夜。
畑でカイルは立っている。
幹振動が強まる。
だが、
畑は揺れない。
圧が流れ込み、
沈む。
荒野で跳ね返った圧が、
畑へ向かう。
深層で吸収される。
観測値が跳ねる。
「負荷移動!」
リナが叫ぶ。
荒野の振動が下がる。
畑の深度振動が上がる。
完全同期。
「安定器だ」
エリオットが呟く。
畑は接続点。
だが、
単なる接触点ではない。
**受容点**だ。
拒まない構造。
受け止める構造。
荒野は接続できなかった。
未成熟か、
拒絶か。
「成熟度の差」
セリーヌが言う。
枝は均一ではない。
接続点も均一ではない。
畑は成熟している。
荒野は未成熟。
あるいは過剰防衛。
幹振動が収まる。
星の遅延が止まる。
荒野は静かになる。
だが、
地面には歪みが残る。
安定していない。
畑は、
より深く沈んでいる。
カイルは土を踏む。
重い。
だが、
裂けない。
「……まだ持つ」
誰に向けた言葉でもない。
第二接続点は存在する。
だが、
安定していない。
もし幹振動がさらに強まれば。
拒絶する接続点は裂ける。
受け止める接続点は沈む。
枝は揺れている。
成熟と拒絶。
その差が、
世界の命運を分けるかもしれなかった。
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