厄介な奴
後ろから声がする
「それなら俺が、楽にしてやるぜ~」
あっという間に、格闘家の首と胴が勢いよく外れた。
ファイアは新調したカランビットナイフを見ながら、
「はあ、よく切れるぜ~」
ファイアはヨナタンに加勢しようとするとヨナタンが、
「旦那!! 手出しは無用だぜ!」
ファイアはギュッタに呟いた。
「どう見ても勝てない」
「俺は別に何も言われてないよ、フフフ。オンディーヌ!! ジェットスプリング!!」
地面から勢いよく水が吹き出し、泥と化した地面に馬が足を取られて暴れ、戦士もヨナタンも落馬した。
「ギュッタ! 余計なことしやがって!!」と、
言いながら微笑んでいた。
いくら相手の方が相当強くても、白兵戦ならヨナタンの攻撃が多少相手に届くのだ。
「俺は加勢するよ! ケア!!」
「俺、ハナちゃん手伝って来よう…」
戦士は内心『ウゲッ! 紅蓮の華より厄介な奴が…』
気配を感じたギュッタは不敵な表情をしながら…
「では、フッフッフ……。ファイア・フォース!!」
戦士は大慌てで、火の玉を弾いた。
「え!? 此奴、真面な魔導も使えるのか!?」
戦士の心に迷いが生じ、集中力が萎えた。
「隙あり!! チェースト!!」
ヨナタンは上段からメッサーを戦士に叩き込み勝負は決した。
ファイアはハナに加勢しようとしたが、
「ハナ!! ハナーー!!」
何と、飛竜のハナは自分より大柄な魔道士を引き倒し、馬乗りになり魔道士の髪の毛をバリバリ毟っている。
「おい! それ攻撃とちょっと違うだろ~? お前が拷問しても何も聞き出せやしないだろう!?」
「ギャァア!! ギャ!」
ファイア
「何? お前もチャームポイントの髭を3本抜かれた? お前! それ3本どころじゃないぜ~! 落ち着け! 止めろ! …ねえ、止めて〜!!」
魔道士も必死の抵抗で、ハナの足に噛みつき手を伸ばし、角を引き抜こうと狙っていた。
「おい、女~! お前魔道士だろう? 何故魔導で戦わね~んだ?」
ハナが女の代わりに返事をした。
お互い火炎やダークマターなど、大技を何度も使ったお陰で魔力切れを起こし、肉弾戦に突入しているとのことだ。
そう言えは、周りの木々が焼け焦げ、なぎ倒され、地面に大きな穴が何箇所か空いている。
「ひぇ~!! 俺こういうの苦手、誰か2人を止めて~!!」
駆けつけたギュッタも、流石に手の施し様がない。
そこにヨナタンが、若葉の付いた木の枝を持って駆けつけ、木の枝を2人の間に差し込み、
「オラオラ! オラ~! 若葉だ、離れろ!! 毛虫が一杯散るぞ~」
2人は悲鳴と共に飛び退いた。
ファイアは魔道士を取り押さえ自殺防止のくつわを噛ませ、革紐で縛り上げた。
ハナは、焦茶色になって苦しそうに息をしている。
ギュッタは思わず
「ヨナ! 凄いよ、今の技!」
「俺ん家、俺と2歳の弟以外母ちゃん含めて全部女! 女はお前や旦那が思うほど可愛くないが、虫には弱いんだぜハッハ!」
ファイアは懐から魔法薬伏霊を出し、魔力切れしたハナに飲ませると、体に赤みが戻り呼吸も整った。
魔道士は毛虫負けも起こしたらしく、瞼をパンパンに腫らし喘息と鼻が詰まりで、死にそうになっていた。
ファイアは、魔道士が舌を噛んで自殺は無理だと判断し、くつわを外し馬に乗せた。
「ファイアさん、残りの4人は? また首と胴をバラバラにして来たの?」
「ううん。外はいいぜ~、デカい魔導使えるからさ~。闇魔導ブラックホールで時空の彼方に、投げ込んできた」
ヨナタンは驚きながら
「死んじまったのかい!?」
「う~ん…。生きているかも、でもここには戻れね~んじゃね?」
「お馬も?」
ファイアは首を横に振り指を咥え、呼び笛を吹くと河原から4頭の馬がこちらに向かって駆けてきた。
ファイアは魔道士に向き直り、
「おい女。そんな訳で、プリエトに着いたら亡命申請しろ。知っていることは全部話しなよ~。尋問されたら穴だらけにされちまうぜ~」
魔道士の女は無言で項垂れた。
ギュッタ、ファイア、ヨナタンが、魔道士の女と10頭の馬を引き連れプリエトの駐屯基地に着いた時は夜明けになっていた。




