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夢を語る桃源郷  作者: 四太郎
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あの手この手

 こちらはギュッタとヨナタンである。


 ヨナタンは馬上でメッサーを構えながら

「3人とは言え、ザイオン工作員は厳ついぜ!」


 工作員は、金属製の魔導杖を持つ長距離担当の魔道士、鎖鎌を振り回す中距離攻撃担当の武闘家、そして接近戦担当で片刃の長剣を構えた戦士だ。


「ヨナ、お前なら今何をされると嫌かな?」


「気が散ること! 全集中!! 斬撃の呼吸」


 ギュッタは考えた。

(こんな時…これはどうだ?)


「よ~し! シルフよ、シルフ! 吹けよ、そよ風! 呼べよ、花粉の熱狂!!」


 すると、工作員たちの顔のあたりに怪しい風が吹き、黄色い粉が大量に舞い散った。

 工作員たちは目を擦り、一斉に鼻水を垂らし、クシャミを始めた。


「ギュッタ!! 何やってんだよ、プッハッハ…。お、俺まで気が散るぜ」


「駄目だ! 全集中しろよ!」


 戦士と魔道士はまだ鼻水を衣類で拭きまくっているが、武闘家はすぐに体制を整え鎖鎌を激しく振り回した。


「ギュッタ! あれに利き手が捕まると厄介だぜ!」


 ギュッタは考えた。

(騎士道では、馬に手をだすと卑怯者でも、俺みたいな元農夫は関係ないよね)

「ヨナタン! 一番攻撃力の強い戦士に全集中して狙えよ、鎖鎌は見るなよ~」


「承知! 見たら負けだな」


「ケルヌンノスに乞う! 虫の息で! 集え、吸血鬼!!」

 林や、草原から多数のアブ蚊が飛来し、武闘家が騎乗した馬の足や尻を一斉に襲い出すと、馬はたまらず飛び跳ね武闘家は落馬した。

 戦士は鼻水を垂らしながら、ヨナタンに応戦していたが、魔道士はまだ激しく咳き込んでいた。


 馬から落とされた格闘家

「おのれ! 変人魔道士め、喰らえ!!」と、

 叫んで振り投げた鎖がギュッタの右手に絡み、ギュッタも馬から引き落とされた。


「ギュッターー!!」


「ヨナ! 危ない!! 前見ろ! 集中だよ!」


 ヨナタンは辛うじて、戦士の横からの斬撃をメッサーで跳ね上げた。

 格闘家は鎖でギュッタを引き寄せながら

「余裕こいている場合じゃないぞ、変人野郎!」


「俺をこれ以上近づけると…」


「何だ?」


「脇をくすぐるぞ! 覚悟しろ!!」


「はあ!?」


 その瞬間ギュッタの右手に絡んでいる鎖が少し弛んだ。

 ギュッタはすかさず近くに落ちていた馬糞を手に取り、一か八か勝負で格闘家の顔に投げつけた。

 しかし、鎌で馬糞は四方八方に弾き飛ばされ、ギュッタはなんとか躱したが…


 馬糞をまともに顔に受けた魔道士

「キャァア!! アタシに飛ばさないで!! ゲホッ、ゲホッ」


 魔道士は嘔吐して落馬し、戦士とヨナタンは馬糞まみれになりながら戦い続けた。

 戦士は騎馬戦用の刃渡りの長い大刀、ヨナタンのメッサーは一応両手持ちだが白兵戦用、リーチの違いでヨナタンは思うように攻撃ができない。


 ギュッタの、多彩で安直な手口に翻弄される格闘家

「舐めた真似をしやがって! 息の根止めてやるわ!!」


 格闘家は鎌をギュッタ目掛けてふりかむった。

 ギュッタは覚悟を決め最後の足掻きに挑んだ。


「あれを見ろ!!」

 ギュッタは左手で空を指さし叫んだ。


「阿呆が、騙されるか! ……ギャアーー!!」


 上空から飛竜のハナが、生肥爆弾を格闘家に投下した。

 ハナは馬より小柄でも肉食獣なので、馬の糞よりかなり臭い。

 格闘家はもんどりを打って倒れ、ギュッタの右手は解放されたが、手首に酷い痛みが残った。

 ハナがギャーと咆哮ほうこうすると、ギュッタの手首の痛みが治り、不利な戦いを強いられ傷だらけのヨナタンの体も少し回復したように見えた。


 ようやく持ち直した魔道士がハナを睨みつけ!

「生意気な小娘が! アタシが相手だ!!」


 魔道士は、ハナ目掛け風の呪文を唱え、カマイタチで攻撃した。

 飛竜のハナは空中でバランスを崩し落ちて来たが、そのまま魔道士に体当たりし、女同士の激しい乱闘が始まった。

 

ギュッタ

「俺も負けてたまるか! ケルヌンノスの力! バイオブリーディング!!」


 格闘家の体にキノコやカビが突然生え出し、格闘家は悶え苦しんだ。

 ギュッタは魔導以外も含めあの手この手で戦い抜き、どうやらこの勝負はギュッタの勝ちである。


「ご免ね。俺は攻撃魔導苦手で、俺の味方の誰かが、あんた達に勝って加勢しないととどめ刺せないんだ」

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