文明の十字路
「大変だ!! お腹に縄で縛っていた教本と、見られたらやばい本がない!」
ファイア
「え! ギルドで借りた奴か!?」
ギュッタは頷いた。
ウルヴァン
「弟は何も言わなかったから、プリエト憲兵隊には見つかってないぜ」
ファイアは目を伏せ、肩を落とした。
「ならば良いんだけど…。 ギュッタ本当にご免な、お前を巻き込んで」
ギュッタ
「全然! お陰で実際に魔導が使えて1つ夢が叶ったよ、これで俺は見習い魔道士さ」
ウルヴァン
「マジか!? 凄え!!」
ファイアは顔を上げ扉の方を見ながら、
「お前の弟、戻って来だぜ~」
ノックもなく扉が開くとザンジバルが入って来た。
「失礼、入室いきなりファイアに暴れられ、渡し忘れた。 驚いたよ、こんな物が荒縄で体に括り付けられていて」
彼は、魔導教本とエロ本をギュッタに差し出した。
ギュッタ
「はい…。 あの、中身見たんですか?」
ザンジバルはエロ本を指差し、
「勿論、面白かったぞ」
ギュッタは恥ずかしくて、ベッドに顔を埋めた。
ザンジバルは微笑んでいた。
「15歳未満発禁のはずが、10歳過ぎると必ず手にする男の通過儀礼」
ウルヴァン
「懐かしい!」
ファイア
「教育の一環。俺が渡したんだよ~ん、捨てずに持っていてくれて、ありがとうよ~」
3人に大爆笑され、ギュッタは恥ずかしい。
ザンジバル
「流石元秀才のセレクト、このエロ本実話だ。ギュッタ、麒麟の聖魔道士の麒麟を魔導文字にし、解体してもう一度クラノス読みしてみろ」
ギュッタはベッドから顔を上げると、ザンジバルから紙と筆記用具を与えられた。
「え~っと。麒麟を魔導文字? 野獣の魔導だ、これ…あ、この教本使うんだ…」
ギュッタは麒麟を魔導文字で書き、意味を表するパーツを一つずつ分解してみた。
「『ジラーフ』 何処かで聞いたことある…」
ファイアはクスクス笑っている。
ザンジバルはギュッタに質問した。
「夢幻堂古書店の主人、バルバロッサ翁の名前は?」
「ジラフさん…。え! あの人聖魔道士だったの!? 恋に落ちて25年の大陸行脚・布教の刑に処せられた」
ファイアは嬉しそうに、
「ギュッタ、最後まで読んでくれて、ありがとさ~ん。 ヘッヘ」
ギュッタ
「俺の周り、大物揃いですね。これ、偶然ですか?」
ウルヴァン
「いいや、プリエトの街は、今じゃ戦乱で寂れちまったが文明の十字路だ」
ウルヴァンは、プエリトの街の説明を始めた。
北はヴォレイオス嶺北の異文化の入り口である。
300年前からはグルージャ神教国が大聖堂を構えており、平和であれば南西からの巡礼者は必ずこの街を通る。
南は、この地を納めるクラノス王国からの影響を大きく受けている。
西からは海洋国、さらに西の海上にある島国の、物産と共に海洋文化がもたらされる。
東には森林地帯から山岳民族が住み山の恵を運び、その向こうには多くのクラノス友好国があり盛んに文化交流がなされている。
「そんな訳で、色々な奴が様々な事情で、プリエトにやって来るんだ。昔から結構大物が来るんだぜ!」
ウルヴァンはお国自慢をした。
そう、ギュッタ自身も魔道士になる夢を叶えるため、この街に来たのだ。
ギュッタの手元に魔導教本とエロ本が戻った。
2人は戦闘で負った傷跡が消えるまで、強制入院されられた。
この間に、ギュッタは薄い教本の写本も勉強もすっかり終えてしまった。
ギュッタが聞いたことのない呪文の話が書かれており、ページを開く度に心躍る魔導教本だ。
光の魔法に導かれる、火、風、水、土の4元素に属さない魔導がある。
より詳しい魔導の体系などを中級で学び習得すると、上級魔導学習の道が開けるのだ。
上級魔導の会得は、ヴォレイオス山グルージヤ神教国にてクラノス主神の信託試験が必須。
妖精、野獣、妖精の魔導は光の魔法要素しか使えない。
4元素の魔導を、クラノス主神の信託を得ずに吟唱可能な闇の魔法。
闇の魔法でしか使えない、盗賊、魔物の魔導の紹介など。
闇の魔法は、クラノス王国は推奨していない。
中級で学ぶ魔法の特徴や説明の導入教本である。




