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最後のハイエルフは甘いものがお好き  作者: ほむら


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43 精霊の誕生

大変長らくお待たせしてしまって申し訳ありませんでした。

やっと復活です。

仕事も新たに始めてパタパタしていますが、ゆっくりと更新させていただきますのでこれからもよろしくお願いします。

ご心配いただいた皆様に感謝申し上げます。



あらすじ:オージンを浄化したリーシャ

黒い塵が風に舞い溶けるように消えるとリーシャは深く息を吐いて腰を下ろした。

リーシャの身体から抜け出た風の精霊シルフィが周辺の気配を探り、敵意のある存在が居ない事を確認してリーシャに告げると一陣の風と共に消えた。

そして火の精霊サラは蝋燭の火の様に揺らめき、水の精霊ディーネは水滴となり、地の精霊ノーミードも大地に溶けるようにして消えた。

リーシャが魔力をだいぶ使い疲労していたので自ら精霊界へと還って行ったのだ。


精霊が消えるとペロ達を護っていた結界が消えた。

ケット・シーのペロは自ら張っていた結界を解き駆け出した。


(あるじ)!」


遅れてフェンリルの眷族ハティの少年アキッレとその頭に乗っていた栗鼠の幻獣ラタトスクもリーシャの元へと駆け出した。


「リーシャ(様)!!」


リーシャは座り込んだまま3人に笑顔を向けた。

胸に飛びついて来たペロを優しく抱き寄せるリーシャ。


「心配かけたな、ペロ」

「ほんとにゃ!心配したにゃ!!」


ぐりぐりと頭をリーシャの胸に押し付けて半泣きのペロをあやす様に撫でくり回すリーシャはペロのその柔らかい毛並みに癒されていたりもするのである。


「おい、おい!スゲーな!まさかエルフの神オージンを倒すなんてよ!」


鼻息荒く興奮するラタトスク。


「リーシャ様、ご無事で何よりです。でもあんな化け物を倒すなんて流石です。ずっと全くお役に立てずに申し訳ないです」


アキッレはリーシャを心配そうに見つめてから悔しそうに唇を噛んだ。


「あれは元々神と言っても神に至らぬ半神だし、それも魔力の残滓と瘴気が混ざった紛い物みたいなものだよ。力の残照がたまたま瘴気を取り組み実体化しただけで、彼奴が本物のオージンだったらわたしなんて一溜りもなかったさ」


とあっけらかんに言い放つリーシャだが、アキッレは神というモノに対して畏敬の念を抱いた。

あれ程の力を持った化け物がその力の残照でしかないということに。

そしてそのオージンを食い殺したのが神獣フェンリルだということ。


アキッレはフェンリルに加護された眷族ハティだ。


そのフェンリルの力をもっと受けることが出来たら弱くなった一族だけでなくリーシャの手助けも出来たかもしれない。

戦士として生きるべく母と一族に期待されているアキッレは己の無力さに手に持った槍をギュッと握りしめた。


ふと大地に刺さる美しい白銀の槍が視界に映った。


神滅の雷槍(グングニル)


オージンが持っていた神をも滅ぼすという雷の槍だ。


この槍があればーーー。


無意識に手を伸ばすアキッレ。


バチッ


手に触れる瞬間、白銀の槍は薄く雷を纏った。

まるでアキッレを拒否するかのように。


「なんということだ。精霊が宿っている」


振り向くと立ち上がったリーシャがすぐ傍に居た。

胸にはペロを抱き寄せたままである。


「せい、れい...?」


アキッレが少し痺れた右手を擦る。


「ああ、強い武具には精霊が宿る事がある。この神滅の雷槍(グングニル)にも精霊が宿っている...いや、宿ったようだ」


「?」


はてなマークを浮かべるアキッレとラタトスク。

精霊であるペロは気付いているのかリーシャの胸から肩へと移動してグングニルを見つめる。

リーシャは吸い寄せられるように雷を纏ったままの白銀の槍に手を伸ばす。


「あっ」


アキッレは自分のように雷で弾かれると心配の声を上げる。

しかしリーシャの手は弾かれずその細い指でしっかりと握り締めた。

白銀の槍が纏う雷はリーシャの手まで纏わり、まるでリーシャを護っているかのように見えた。


「...オージン」


リーシャが白銀の槍を見つめながら先程消えた半神の名を呟くと、白銀の槍に纏わりつく雷が人の形を成す。


それは黒いトンガリ帽子と黒いマントで全身を覆う隻眼の少年の姿をしていた。


『ハイエルフの娘よ。お主をこのグングニルの所持者と認めてやろう』


その声は姿とは似つかない低い老人のようにしゃがれていた。


「え...オージン?所持者...?」


ラタトスクはリーシャとその精霊らしき少年を何度も振り返る。

オージンと呼ばれた少年の姿をした者と先程までリーシャと戦っていた恐ろしく禍々しい姿をしたオージンとは似ても似つかない。

動揺を見せるラタトスク達を横目に深く嘆息するリーシャ。


『お主に浄化され我はグングニルの精霊と成ったのである。さぁ!我に新たな名を付けよ』


「神というのは簡単には滅びぬ...か。まさか精霊になるとはな。しかし新たな精霊の誕生は喜ばしいことだな」


リーシャは手馴れた様子でビュンッとグングニルを一振するとかつてオージンだった精霊に掌を差し出す。


「お主の名はオーディン。白銀の槍の精霊オーディンだ」


『ふむ。よかろう。では我の真名はーーー』


オーディンの真名はリーシャ以外には聞こえなかった。

上位精霊以上の精霊が持つ真名は契約者にだけ告げられる。

生まれたばかりの精霊オーディンは半神オージンの力の一部を引き継ぎ嵐と雷を司りグングニルに宿る高位の精霊へと昇華した。

その力は四大精霊をも上回る。


四大精霊は世界にある四大元素の力を司る精霊だが、一体では無い。

例を上げれば風の上位精霊であれば女性の姿をとるシルフィード、男性の姿をとるシルフなどが居るがそれぞれシルフィード、シルフと呼ばれる精霊はこの世界に数多く存在する。

東から吹いた風に宿るシルフも居れば北風を好むシルフィードも居る。

上位精霊といえどもそれぞれ個性を持ち力も違うのである。


そもそも上位精霊とは自我を持った精霊のことであり、更に高位の精霊も存在する。例えば精霊王オベロンや女王ティターニアは精霊の中でも神に近しくその存在自体に大きな意味を持つかなり特別で別次元の力を持つ精霊である。

彼らを除いても唯一無二の精霊は勿論存在しており、彼らは上位精霊よりも格が高く力も強い者が多い。そういった精霊は例えば神聖な地に止むことの無い風や神聖化された湖や深い森に宿りその地から離れることなく力と存在を高めた精霊などである。彼らはその姿をこの世界に顕現するも少なくハイエルフであるリーシャでも契約する事は難しいといえる。


それを踏まえオーディンは半神まで昇華したオージンの力の一部とはいえども、神の力が精霊化した唯一無二の存在である。

精霊ながらもやや神に近く、リーシャが契約している四大上位精霊達よりも力を持つ高位の精霊なのであった。




オーディンと契約したリーシャはごっそりと魔力を吸われフラフラだ。

オーディンが満足気に口を三日月に歪めて笑う。

悪人面である。

リーシャは禁断の果実を腰袋から取り出し皮を剥いてもぐもぐと食べた。魔力を大きく回復する効果があるバナナは栄養満点で甘みも最高であった。


バナナを食べたリーシャはふぅと一息吐いた。

魔力は回復したが戦闘の疲労は変わらないのである。


『ではリーシャよ。我の使い魔であったフギンとムニンを紹介しよう』


オーディンがそう言うと何処からか二羽の(カラス)が音も無く飛んで来た。

リーシャの目の前に降り立った真っ黒な二羽の烏。尾羽だけ色が違った。

薄らと片方は青く、片方は赤く美しくグラデーションしていた。


「美しい烏だな。まだ幼く見えるが」


リーシャがそう言うと二羽の烏は人型に変化した。

二人は見た目そっくりで少年とも少女にも見え表情が乏しいが美しい顔立ちをしている。歳の頃は12〜3歳くらいだろうか。濡れ羽色の髪で片方の目を隠していた。

二人は古いエルフの衣装に似た体の線が隠れるゆったりとした同じ服装をしていた。

違うのは毛先が少し青い前髪で右眼を隠しているのがボーイッシュな感じで、毛先が少し赤い前髪で左眼を隠しているのは肩まで髪を伸ばして少女に見えた。


「わたしはフギン」


毛先が青い少年?が名乗る。


「ボクはムニン」


毛先が赤い少女?が名乗る。


「「わたし(ボク)たちは双子の烏の幻獣で愛し合っているんだ」」


突然の自己紹介は中々ぶっ飛んでいた。




ようやく書き始める事が出来ました。

相変わらず亀の歩みとなりますがお付き合いいただけると幸いです。

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