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最後のハイエルフは甘いものがお好き  作者: ほむら


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42 グングニル

遅くなりました。



あらすじ:オージンが最強の槍グングニルを出したよ。

神滅の雷槍(グングニル)


大気中の魔力と瘴気がオージンの口から出ている腕が握る雷の槍へと集められていく。


大気が揺れる。


乾いた大地がひび割れる。


その大地に立つリーシャの視界は吊られたオージンの能力で上下逆さになり感覚も出鱈目にされたまま。

雷の直撃を受けたダメージもあり避ける事は出来ないだろう。


しかも神滅の雷槍は敵を討ち滅ぼすまで何処までも追ってくるという神話上の武器なのだ。

今まさにその絶大な破壊力を誇る最強の武器がリーシャに放たれようとしている。



なのに、リーシャは笑った。



オージンはそれを訝しげに睨む。

たかが雷の雨を小賢しく逃げ回っていた矮小な小虫が神滅の雷槍を目の前に何故笑ったのだろうか。


満身創痍。

生を諦めたか。

絶望に気が触れたか。



オージンはふと思い出す。


かつてフェンリルとか云う獣と相対した時を。

あの獣も神滅の雷槍(グングニル)を目の前にして笑った。



そしてどうなった。





唐突に呼び覚まされる記憶。


大きな顎で我を飲み込み鋭く巨大な牙で我を砕かんとする獣の姿。

記憶はそこで途切れ後は暗闇と静寂。


そして我はどうなった。



神滅の雷槍(グングニル)はあの時もこの手にあった筈だ。

オージンの膨大な神気と大気に溢れる魔力と精霊の力を集め神をも滅ぼすこの最強の槍で獣を滅ぼした記憶が無い。


どうして我は此処に居る。


オージンの思考は混乱に塗れる。

しかし根底にある破壊衝動によって充血した左眼をギョロリと向けた。

肌を突き刺す冷たい殺意が膨れ上がる。


『全て潰してしまえば同じ事よ』



カッ


その言葉を遮る様に眩い光がリーシャの足元からオージン目掛けて真っ直ぐに大地を走る。


同じ光が右から左から後ろからオージンに襲いかかった。


四つの閃光が集束し光の柱となってオージンを包み込む。


光の柱に閉じ込められると大気から集めたチカラがみるみる失われ神滅の雷槍(グングニル)が纏っていた雷が霧散していく。


瘴気を消滅する聖なる浄化の力だ。


神滅の雷槍(グングニル)を掴む口から伸びる呪腕から呪紋が剥がれ掻き消えていく。


『な、んだ...何故チカラが消える...?』


微かに唄が聴こえてくる。


魔力を乗せたその唄は古代エルフ語。


出処は小賢しく飛び回る小虫だ。

そこでオージンは()()()リーシャを見た。


『貴様はエルフ...いや精霊?...まさかハイエルフ、か』


そう、オージンは今までリーシャを見ていなかったのだ。

神であるオージンにとって取るに足らないただの虫けらとしか認識していなかった。


懐かしき古代エルフ語を聴いて初めてリーシャという個を認識した。


そして彼女が紡ぐ唄は荒ぶる魂を鎮めるための鎮魂歌だ。


何故鎮魂歌など唄っているのか。


何故鎮魂歌でチカラを失っていくのか。


混乱しながらオージンは目の前のハイエルフを見やる。

精霊かと見間違えたのは精霊と同化するハイエルフの精霊魔法の奥義だと気付いた。


そこでやっと複数の上位精霊に気が付いた。

ただの弱い何処にでも居る精霊と高を括っていた。


浄化の光を放ったのは火の上位精霊サラマンダー、水の上位精霊ウンディーネ、土の上位精霊ノーミード、そしてハイエルフと一体化した風の上位精霊シルフィードだ。


女性の姿をした四大元素の上位精霊達が唄を紡ぎ舞っている。

オージンは理解する。

ハイエルフは雷を軽やかに避けながら舞っていたのだと。


瘴気の穢れを払い清めていたのだと。


オージンの口から伸びる呪腕がボロボロに朽ち果て神滅の雷槍(グングニル)が零れ大地に突き刺さる。


神滅の雷槍(グングニル)はどうやら本物か。穢れ神に扱う事は出来ぬだろう。お陰で助かったよ」



オージンの身体に巻き付く布から古代魔法文字が剥がれ掻き消える。


布はボロボロと崩れ落ちガリガリの痩せ衰えた身体が顕になっていく。



何故ーーーーー



此処に居るオージンはあくまでもオージン本体では無い。

フェンリルに喰い殺された無念と怨念が核となるモノに宿り瘴気によって肉を持ったオージンのチカラの残滓。



その核となったのは神滅の雷槍(グングニル)だった。



オージンが遺した神気溢れる神の武器だ。

神気は正しく神聖なる力であり瘴気とは相反する。


このオージンは瘴気で創られた存在でありながら核は神気の塊だ。


本来ならばあり得ないアンバランスな存在だった。


死んだオージンの遺した魔力と怨念による瘴気と神滅の雷槍(グングニル)の核としての存在の大きさのバランスが奇跡的な確率で成り立ちオージンを創り出していたのだ。


しかし神滅の雷槍を出した事でバランスは崩れた。

強い神気がオージン自体を脅かした。


そこへリーシャ達が鎮魂歌を舞い唄った。

魔力をたっぷりと乗せた唄はオージンを形成する瘴気を払い清めた。


神滅の雷槍(グングニル)有りきの戦法だった。

でなければ鎮魂歌の浄化のみで穢れ神であるオージンが滅びる事は無かっただろう。

あくまでもオージンの自滅を手助けしたに過ぎない。


リーシャが笑ったのは偶然にも神滅の雷槍をオージン自ら出したからだ。


リーシャは鎮魂歌で弱体化を狙っていただけなのだから。




オージンの身体が黒く変色していく。

髪が抜けカラカラに干からび真っ黒になり骸骨になってボロボロと崩れ始めた。



石の巨大樹の幹に亀裂が走る。




パリィーーーーン





乾いた破裂音と共に石の巨大樹が粉々に砕け散る。

その欠片はキラキラと光を反射し暗かった空間に幻想的な景色を創り出し地面に落ちる前に宙で消えてしまう。


天井から黒雲は消え去り仄かに光るゴツゴツとした岩が見えた。




巨大樹とオージンが居た場所には大地に突き刺さる白銀の槍と小さな黒い塵の山が残っていた。


リーシャはそこへゆっくりと歩みを進めた。


黒い塵にまだオージンの左眼が辛うじて残っていた。


リーシャがそう言い放ちバッグから禁断の果実(バナナ)を取り出しオージンの左眼の傍にそっと置いた。


『...こ、れは...』

「お主が創り出した禁断の果実だ。力は喪われているが本物だよ」


オージンにとって禁断の果実は大切なもの。

嘗てエルフ達を導くための知識(チカラ)をこの果実から手に入れ右眼を差し出した。

神へと至る道程はこの果実から始まったのだ。



「この神聖なる果実はお主の全ての始まりだった筈だ。怒りや怨みよりエルフの未来を祝福し還ると良い」


オージンの左眼が小さく震えた。


『...そう、か...我はエルフ、の...た...め...』


オージンの左眼が閉じると禁断の果実がパァッと輝いた。


光が消えると禁断の果実とオージンの左眼は塵となって、一陣の風と共に舞散った。


こうしてオージンは神滅の雷槍(グングニル)を遺して呆気なく自滅した。




お読みいただきありがとうございます♪


体調を崩した挙句にもう一つの作品のストックを完全消去して凹んでおりました。

とても遅い更新ですが見捨てられない様に頑張りますのでよろしくお願いいたします((。´・ω・)。´_ _))ペコリン


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