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最後のハイエルフは甘いものがお好き  作者: ほむら


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39 禁断の果実




あらすじ:迷宮に入り込んでしまったリーシャ達。

『ヒャッハー!!雑魚は消し炭だぁぁーーー!!!』


火焔の髪を振り乱してノリノリで火球を作っては迫り来る人喰い鬼(オーガ)にぶち当てて消し炭に変える美女サラ。


『右二つ前の岩陰から人喰い鬼(オーガ)三体、左通路から小鬼(ゴブリン)五体と人喰い鬼(オーガ)二体よ』


空気の振動で敵の存在を的確に索敵してサラに指示を出す緑髪の美女シルフィ。


『暑くはありませんかリーシャ様』

「ありがとうディーネ。寧ろ快適だよ」


水のドーム型の結界でリーシャ達を敵というよりサラの放つ炎の熱から護る青い髪の美女ディーネ。


『...』


迷宮(ダンジョン)に設置された罠を尽く察知して黙々と解除していく茶色の髪の美女ノーミード。


殆ど直線と言える造りの迷宮だが、歪にでこぼことした足場や大きな結晶の陰から次々と人型の魔物が現れる。

しかし四大精霊の活躍のお陰でリーシャ達は非常に快適に迷宮を攻略して行く。

上位精霊を四体も顕現しながら精霊達も控えること無く存分に魔法を使っているのは契約者であるリーシャが潤沢な魔力の持ち主だからだ。

上位精霊を現世に顕現する事だけでも人族より魔力が多いエルフ族でも困難であるのにそれを四体同時というだけで規格外である。

それを長時間現世に留めて自在に魔法を使う為の魔力を与え続ける等ハイエルフであるリーシャだからこそ可能なのだ。



「すげぇ...迷宮(ダンジョン)って初めてだけど普通こんなに楽なわけねぇよな」

(あるじ)だからにゃ」

「ハイエルフってすげーのな」


リーシャの後ろを歩くだけのアキッレが呆れた風に呟くとペロは何でもない様に言い放つ。

ペロの頭に乗ったラタトスクもアキッレに同意する様に改めてリーシャの力に驚愕していた。


サラの火球一撃で消し炭になっていく人喰い鬼(オーガ)は3メートルを超える筋骨隆々で鋭い牙と爪で人を切り裂き喰らう本来ならばBランク上位の強さを持つ魔物である。

硬く分厚い皮膚は刃物を弾き魔法に対しても高い強度を待っている。

集団であればある程度連携も取れる知能もあり純粋に強い人喰い鬼(オーガ)がぞろぞろと現れるこの迷宮(ダンジョン)は難易度としては高い。

...のだが、リーシャ一人の突出した強さでスムーズに攻略は進んでいた。


本人は使える力を行使しているだけなので自分が規格外であるという事を全く気にしていない。

ハイエルフが他種族に比べ秀でた力を持っている事を知っているからだ。

それ以上でもそれ以下でもない。

力を抑え仲間を危険に晒す必要など無い。

故にやや過剰気味であるが力を使っているだけ。

その考え方のせいであらゆる場所で目立ってしまうのだが、そこはほぼ500年近く兄と二人きりで生きて来たリーシャ。

集団の中ではその行動の結果で目立つ事をイマイチ気付いていない残念なハイエルフ美少女であった。

そろそろ気付いて欲しい、というペロの思いは未だ届かない。




迷宮に入って二時間程経過した。

順調に攻略しているとリーシャにシルフィがそっと告げる。


『リーシャちゃん、左手に隠し部屋があるみたい』

「隠し部屋?」

『ノーミードが罠も解除済みよ』

「何かあるのか?」

『【禁断の果実】が生えてるわ』

「「「「「【禁断の果実】!!!」」」」」


全員が揃って声を上げた。



【禁断の果実】

嘗て神の楽園にあったという黄金の果実。

別名【知恵の果実】とも云われる。

その果実を食べれば求める知恵・知識を得る事が出来ると伝説に謳われている。

但しその代償として肉体もしくは精神の一部を失うとされるため()()の果実と呼ばれている。

世間では黄金の林檎、または黄金の無花果だというが、それを実際に見た物は居ない。

歴史上でも高名な学者や魔法使いが求め続けたが、誰一人手に入れる事は無かった伝説上の果実だ。

原初に生きたハイエルフ達の一部の記憶と知識を精霊樹から識る事が出来るリーシャも識っているがその眼で見たことは無い。



「行こう!」


迷わずリーシャ達はシルフィとノーミードを先行に隠し部屋のある岩壁まで向かった。

そこは大きな結晶の隙間で気付きにくい場所だった。


「にゃあ、主。今気づいたんにゃけど、この結晶って魔晶石にゃ?」

「ん?魔力を含んでるからそうだろう。気付かなかったのか?」

「やっぱりにゃ!」

「魔晶石?」


ペロの指摘した魔晶石とは極稀に魔力が結晶化したもので、魔物の体内から採れる魔石とほぼ同じ物である。

違う点といえば形と魔力の含有量だろう。

ほぼ丸みを帯びた形状の魔石に比べ魔晶石は六角柱状に自形している。

無色透明で水晶に見えるが魔力を通すと内側から仄かに光る特徴があった。

また含有魔力は魔石に比べ少ないが、希少性から高価で取引されているのだ。

普通の冒険者ならば一攫千金のチャンスに目の色を変えるだろう。


ペロは以前の飼い主が商家であった為に興奮してその価値を伝えた。


「この塊だけでも家一軒くらい建つにゃ!」

「ふぅん」


リーシャは全くもって興味が無かった。


「へぇ」

「家は自分達で作る物だろ」


ラタトスクも幻獣であるが故に興味が無い。

孤立した生活を送るハティのアキッレもお金の概念が無いのでペロの大発見に誰一人理解者は居なかった。


「...」


ペロの表情が暫く無になった。

(冒険者としては全員失格にゃ)と心の中で呟いた。


実際リーシャ以外冒険者では無い上にリーシャも身分証が欲しいから登録しただけであった。



結局誰もそれ以上魔晶石の話題に触れる事も無く隠し部屋に入った。





そこは大きな空間だった。



比較的涼しい迷宮だったのにこの部屋だけ蒸し暑く迷宮内でもその異様さを肌で感じ取ることが出来る。

暗闇の中、高い天井から一筋の光が射して一本の樹を照らしている。


まるで神々しさを演出するように。


それは高さ3メートル程で葉が幾重にも重なった様な幹。

その先端からは長楕円形の大きな葉が伸びており、黄金に輝く長細い果実の房が幾重にも連なりぶら下がっていた。




「これが【禁断の果実】か」


リーシャは感動に打ち震える。


「本当に黄金色なんだな」

「すげぇ」


ラタトスクとアキッレも伝説の果実を目の前にして目を見開いた。




ペロだけが冷めた眼で呟いた。





「それバナナにゃ」



お読みいただきありがとうございます♪


作者はバナナ大好きです。

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