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最後のハイエルフは甘いものがお好き  作者: ほむら


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38 迷宮



あらすじ:リーシャ達はアキッレを連れてフェンリルの里へ行く事になった

リーシャの魔力がフェンリルの頭蓋骨に流れる。

昨夜とは違い太陽が出ているため仄かに青白く輝く文字ははっきりと浮かび上がらなかった。

しかしフェンリルの頭蓋骨から混じりあったイシルディンに込められた魔力とリーシャの魔力の奔流が集落全体を飲み込む様に拡がるのを全員が感じた。


目に映る変化は無くとも異質な世界へと片足を踏み入れた。

それは確信に近い感覚だった。


「行こう」

「は、はい!」


槍を握り直しアキッレは力強く頷く。

リーシャの横には二本足で立つペロ。

その頭の上にはラタトスクが乗っている。

いつの間にか仲良くなっていたのかリーシャは目を細めて笑みを浮かべる。


そして何も無い宙空に右手を翳してリーシャはフェンリルに刻まれていた古代エルフ語を記憶から手繰り寄せ唄う様に紡いだ。




訪れる賢者は立っていよ

愚者は腰をかけよ

原初の獣が眠る地は

力ある虚ろより

示し求めよ




リーシャ以外には聴き慣れない古代エルフ語に乗せられた魔力がフェンリルの頭蓋骨に纏わり付く。

そしてゆっくりとその口が開いた。


魔力と瘴気が混じりあった様な大きな力の奔流にリーシャ達は捕らわれた。

流れに抗えずフェンリルの骨の口の中へとリーシャ達が消えると勢いよくその口は閉じてしまった。


残されたハティ達はリーシャ達を信じて待つ事しか出来ない己の無力さにやるせない面持ちで立ち尽くしていた。








頭蓋骨の口へ吸い込まれたリーシャ達は暗闇の中に居た。

全員居るか声を掛けて確認する。


「リーシャだ。みんな居るか声を出してくれ」

「僕はいるにゃ」

「俺も此処に居るぜ」

「アキッレです。多分隣に居ます」


「サラ」


リーシャの後ろに炎と同化した燃え上がる赤い髪をした美女が現れた。

火の上位精霊サラマンドラだ。

ラタトスクとアキッレは上位精霊の登場に驚愕していた。


『分かってるぜ!ここいら一帯照らせばいいんだろ!』


サラはリーシャの前に出て両手を突き出した。

嫌な予感がしたリーシャは水の上位精霊ウンディーネも呼び出す。


「ディーネ頼む」

『もぉ〜サラったらまた!』


ディーネは直ぐに水の膜でリーシャ達を覆った。

直後にサラの手から炎が吹き出す。


ただその炎の規模が規格外の大きさと熱量だった。


炎は前方だけでなく上方と左右に拡がり辺りを照らし出した。

威力が強く炎の熱がリーシャ達にまで届いてしまう。

ディーネが水の膜を重ねがけすると涼やかになった。


「サラやり過ぎだ!」

『おっと...悪ぃ』


叱られたサラは舌を出して炎を幾つかの塊にして浮かべた。


『暴れ過ぎですよ』

『うるせー』


ディーネに注意されてサラはリーシャの背後に隠れた。

仕方ないなとリーシャは特に注意もせず炎で照らされる辺りを観察していた。


子供の悪戯のようなやり取りをする上位精霊達だが、やっている事はどちらもとんでもない。

ペロ達は改めてリーシャと精霊の力にガクブルした。



「随分と広いな...」


リーシャの声で我に返ったペロ達も周りを見回し驚愕する。

一番高い所で10メートル、幅は20メートル、奥行きは見当も付かない程広い洞窟の中だったのだ。

人の手が入っていない天然の洞窟だろうか。

岩肌はゴツゴツとして硬くでこぼこしていて足場も悪い。

炎に照らされてキラキラと輝きを反射する美しい水晶らしき結晶があちこちから覗いて見える。

何より魔力溜りの様に空気中の魔力が濃く、岩肌からは濃い瘴気の気配がする。


「もしや迷宮(ダンジョン)か...」

「ダンジョン!?」


アキッレが驚いて大きな声を出した。

洞窟内にその声が反響して思わず口を塞いだ。


『あ〜間違いないねぇ、あちこちに魔物が居るぜ』


サラは魔物の気配を感じ取ったようだ。

ディーネもそれに同意して頷いた。





迷宮(ダンジョン)は突如として現れる。

魔力が溜まりやすい場所に高濃度の瘴気の塊ーーー魔物が誕生すると迷宮を創り出すと言われている。

何故迷宮となるのか。

魔物は本能で生物と敵対している。

生物を食い殺すための力を蓄える為に魔力溜まりの魔力を使い自身に優位な環境を創り出すのだ。

幻獣界や精霊界との違いとしては侵入者を養分として必要とする所だろう。

迷宮を維持し魔物がより強くなる為に侵入者を殺し吸収するのだ。

迷宮を創り出した魔物《所謂ボスモンスターと呼ばれている》はより効率良くするために迷宮内に殺戮衝動を伴う魔物や狡猾な罠を次々と誕生させる。

またボスモンスターは生物を帯び寄せるために迷宮内にしか発生しない貴重な鉱物や植物を作り出したりする。

ミスリルは鉱山で稀に採れるが、オリハルコンやアダマンタイト等は迷宮でしか手に入らないのだ。

こうした貴重な資源を求め冒険者達は迷宮へ挑む。

余談ではあるが古代遺跡も迷宮になりやすい。

古代遺跡には古代遺物(アーティファクト)と呼ばれる強い力を持つ武具や現代では作る事が出来ない魔道具等が遺されている事が多く、迷宮になるとそれ等は迷宮内に取り込まれる。

そういった古代遺跡迷宮は冒険者のみならず王侯貴族も挙って挑むのだ。



さて、今リーシャ達が入り込んでしまった迷宮は色々とおかしい要素があった。

神獣フェンリル達が住まうフェンリルの里とは幻獣界と似たフェンリルがフェンリルのためにフェンリルが住みやすいフェンリルだけの神獣界である筈だ。

そこへ瘴気を伴う迷宮があろうはずが無い。

大罪に堕ちれば神ですら喰い殺す程誇り高く神性の高いフェンリルが瘴気の塊である魔物を自らの手元に置くなどあり得ないのだ。


「ふむ。考えても仕方がないから進むか」


リーシャは嘆息してさくさくと歩き出した。

その後ろをアキッレ達は離れない様に着いて行く。


そしてサラとディーネ以外にも風の上位精霊シルフィードと土の上位精霊ノーミードもいつの間にか召喚されてリーシャの前をふよふよと漂っていた。


こうしてハイエルフとフェンリルの眷族ハティ、猫の精霊ケット・シー、幻獣ラタトスク、そして4大元素の上位精霊達による迷宮攻略が始まった。



お読みいただきありがとうございます♪


評価、ブクマしてくれる皆様に感謝しております。

脳内イメージを再生して文章に落とし込む文才がもっとあればと葛藤しつつ

なんだかんだで好きに楽しく書く事が出来て幸せです♪

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