表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最後のハイエルフは甘いものがお好き  作者: ほむら


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/54

36 イシルディン




あらすじ:リーシャ達はハティという獣人達の集落に来た

神獣フェンリル。

輝く白銀の毛並を持つ巨狼として知られる。

大きく強靭な顎でどんな鉱物も噛み砕き飲み込み、その鋭い爪で大地を抉る。

神に準ずる凍てつく魔力の前にはあらゆる生物が氷像と化すという。

温厚とはいえないが自身の子供や眷族のみ愛情を向ける性質。

その分敵対者に対しては容赦なくその破壊の力を向ける神獣である。


リーシャの言う【神喰い】とはかつて七つの大罪に堕ちた古き神の一柱を喰い殺し神聖を得たためである。

今世で知るものは殆どいないだろう。

事実ペロやラタトスクは知らなかった。


その眷族だというハティ族は狼の獣人で、フェンリルから祝福を受けた一族である。

身体の一部の体毛が銀髪となり、通常の狼の獣人よりも身体能力が高く氷の魔法を操る戦士の一族。

またフェンリルに似た姿に変化し、フェンリルの能力を一部操る事が出来るらしい。



「よく知っているな。我等は表舞台に出たことも無いのに」


女戦士がニタリと嗤う。

リーシャは飾られた頭蓋骨に視線を向けた。


「この骨はフェンリルだろう。死して随分と時を経っているようだが長い時を生き強大な力を持ったフェンリルだな。骨にまだ神気が残っている。お主等からはとても弱いが同じ神気を感じる。獣人族で神気を持つ一族など限られている。そこで狼の獣人となれば答えは簡単だ」


ほう、と感心する女戦士は手に持つ槍をくるりと逆さにして刃先を地面に突き刺した。

それに合わせるように他のハティ達も剣を鞘に収めた。


「大変失礼した。貴女はエルフの王族の方とお見受け致した。私はハティ一族が長アウリッキ。古の盟約によりこの門を開ける方が訪れるまでこの地を護り続けておりました」

「エルフの王族ではないよ。わたしはハイエルフだ」

「ハイエルフ!」


アウリッキ達は驚嘆した。

やはりハイエルフは伝説上の種族なのだ。


「もし本当に貴女がハイエルフならば、イシルディンを作ることは出来るのだろうか?」


イシルディンとはフェンリルの頭蓋骨に古代エルフ語を描かく為に使われていた物質である。

魔力を通しやすく鋼よりも硬く軽いという特質を持ったミスリルから創り出されたものだ。

ハイエルフが作り出したとされる物質で、古いエルフ族にもイシルディンそのものだけが遺されているが、新たに作り出す事が出来ない。


イシルディンの特性は普段は透明で星と月の光で輝くこと。

魔力の浸透性が高く魔道具に使えばその効果は数十倍にも跳ね上がるという。


アウリッキが言うにはそのイシルディンでこの集落の結界が作られていたらしいのだが、長い年月フェンリルの頭蓋骨を狙う魔物との戦いで結界は少しずつ削られ効果が薄まってしまったのだという。


「うむ。わたしは作ったことは無いが作り方は知っている。フェンリルの魔力に呼び寄せられた魔物か。でもそれだけではあるまい。結界で護る程のフェンリルの骨に刻まれた門は何処に繋がっているんだ?」


リーシャの問いにアウリッキは真摯に応える。

既にリーシャによって門は開かれている。

隠す必要も無いのだろう。


「フェンリルの里です」

「ふむ」


リーシャはあまり気乗りしない様子だった。

寧ろ開いた門を閉じようかと思った。

フェンリルが非常に気分屋で危険な神獣であることを知っているからだ。

そしてフェンリルの骨を門としイシルディンが使われている事からエルフ族とフェンリルとの密約が関係している。

エルフ族ではなくハイエルフが関係していればリーシャは()()()()()()()()なのだ。

ハイエルフは重要な事を全て共有しているのだから。


そこでリーシャは一つの可能性に気付いた。


「もしかしてフェンリルの里からエルフ族の国に繋がっているのか?」


アウリッキはゴクリと唾を飲んで首肯した。

ハイエルフに対して嘘をつく理由が無い。

いやイシルディンで結界を修復したいアウリッキとしてはハイエルフであるリーシャの機嫌を損ねる様な事は出来ない。


「それなら行こうぜ、なぁ!」


早く世界樹に帰りたいラタトスクがリーシャの肩で跳ねる。

ペロは完全にリーシャに任せていた。


「うぅむ。ならば向かっても良いか...でもこれは旅になるのか...?」


そう、リーシャは旅をしたいだけなのだ。

世界を見たい。

それはリーシャの目的の一つでもある。

だから態々ずっと風に乗って外の世界を眺めながら進んで来たのだ。

フェンリルの里は幻獣界や精霊界の様な外界とは隔たれた世界だろう。

そこから世界樹まで進むのは何となく違う気がした。


変な所でこだわりがあるリーシャであった。


「とりあえず...一晩休んでから考えよう」

「で、ではイシルディンは...」


期待した応えでは無かったのでアウリッキは落胆した。


「作り方は知っていてもわたしは材料を持っていない」

「ならば用意致します」

「まあ、イシルディンが無くても結界は何とかなるよ」

「そう、ですか。ならば今晩は我らの家でお休みください」

「ありがとう。恩は必ず返すから安心してほしい」



こうしてリーシャ達はアウリッキの家でゆっくり休むこととなった。

リーシャは4大精霊を呼び出し夜の間集落を警戒させて集落全てを覆う結界を張り巡らせた。


ハティ達は上位精霊を呼び出し集落全てを囲む結界を簡単に作るリーシャに驚嘆していたが、リーシャ達は直ぐに眠りについた。


ハティ達も久し振りに見張りを立てずゆっくりと休む事が出来たのだった。

お読みいただきありがとうございます♪



面白いと思ったら評価、ブクマよろしくお願いいたします┏○ペコッ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ