表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最後のハイエルフは甘いものがお好き  作者: ほむら


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/54

27 オルソンの決意




あらすじ:聖剣抜いたリーシャの現状にオルソンは気付いた

「やばい?なんで?」


リーシャはオルソンの呟きに首を傾げた。

四大精霊達もリンクした様に首を傾げる。


「うっ」


美少女と美女達に見詰められたオルソンは顔を真っ赤にした。

頭から湯気が出そうだ。


「あ、いや、聖剣は【英雄王】以外100年近く誰も抜けなかったんです。この国では誰でも聖剣を抜く権利があるけど、本当に抜けたら【英雄王】の生まれ変わりとか新たな英雄の誕生とか大騒ぎになりますよ。たぶんお城も今頃大騒ぎじゃないかな」


「あれはただの封印で抜くための条件付けが面倒なだけだぞ。抜く事は出来ても扱う事は出来ない。アーサーの生まれ変わりか限りなく近い魂の持ち主しか扱う事は出来ん」


と不満そうなリーシャ。


「え?扱う事が出来ない?」

「そうだ。聖剣に秘められた力は抜いた者が使える訳では無いという事だ。あれは女神とこの国を守護する湖の精霊に寵愛を受けたアーサー専用の様な物だ。例えアーサーの血族でも剣の達人でも英雄なんて呼ばれる存在であっても絶対に扱う事は出来ん」

「...そこまで分かってて何で抜いたんですか?」

「アーサーの微量な魔力が聖剣に残っていたので何となくだ」

「【英雄王】の魔力ですか...凄いな」


オルソンは半ば呆れるしかない。

どこから突っ込めばいいのか分からない。

リーシャが【英雄王】と知り合いかも知れないとは思ったはいたが、今の会話から間違いないと確信できてしまった事や、条件があるらしいが聖剣を抜く方法を知っている事、聖剣に100年前の【英雄王】の魔力が残っている事などこの国の王家が知ったら大変な事になる。

いや、元々アーサーの子孫達に逢いに行くと言っていたのだ。

今回、その【英雄王】の子孫達である王族に逢いに行ったのだろう。

その時ついでに聖剣を抜いてしまったという事か。

オルソンは頭を抱えた。


「えっと、それでリーシャさんは【英雄王】...アーサー王の子孫である王族に逢いに行ったんですよね」

「ふむ。【英雄王】というのは知らないが確かにアーサーの子孫達に逢いに行った。アーサーの子孫達は王族なのか?随分立派な家だったが。まあ、わたしが加護を与えた短剣の気配は間違いなくあの家の中にあったからな」

「加護を与えた短剣...」


オルソンは王家に伝わる短剣を思い出した。

こちらは余り有名では無いが秘匿されてい訳ではないが、余りにも聖剣が有名で一般市民で知っているものは少ない。


「ハイエルフから貰った精霊の祝福を受けた短剣...」

「ん?わたしがあげたんじゃなくて、アーサーが持っていた短剣に精霊の加護を与えただけだぞ」

「...」


オルソンはもう驚かないと決めた。

衝撃の事実である。

幼い頃から憧れたアーサー王とハイエルフの姫の悲恋の物語の主人公は間違いなくリーシャだった。

短剣もリーシャが渡したのではなくアーサーの持ち物に祝福を与えたという、誰も知らないだろう真実。

オルソンはちくりと胸が痛んだ。

【英雄王】とリーシャの恋物語は今でも絵本や劇場で人気の有名な話である。

オルソンはその事が気になったが訊いてはいけない気がした。

でもオルソンは何となくリーシャの【英雄王】の事を話す様子から2人が恋をしていた風にも思えなかった。


その考えを追い出すように頭を振ってオルソンはそしてもうひとつの事実に考えを持っていく。


リーシャが3つの加護を同時に付与出来るという事。

今現在この世界で1つの物に複数の加護を付与する技術は失われている。

少なくてもオルソンが知る限りこの数百年の歴史の中でも古代遺跡や迷宮(ダンジョン)で2つの加護が付与された物が幾つか発見されたが、全て国宝となっている程である。


【英雄王】の短剣にリーシャが祝福を与えたのは100年前。


リーシャは国宝以上のアイテムを生み出す事が出来る金の卵だという事だ。

そして何よりもリーシャは伝説の高位種族ハイエルフである。


オルソンはその事実に全身から血の気が引いた。


誰も知らない知識と技術まで持つリーシャの価値は一体どれ程のものなのか。


改めてリーシャは自分如きが並び立てる存在では無いのだと気付いて言葉を失った。


「...」

「どうしたオルソン」


思考の波に囚われ勝手に一人落ち込み動きが止まってしまったオルソン。

元々リーシャに魔力栓症を治して貰うまで努力が実らず自信の欠片すら持てなかったコンプレックスの塊だった。


下を向いたまま動かなくなったオルソンを心配そうに覗き込むリーシャの紺碧の双眸が視界に入ってきた。


「っ!リー...シャさん」

「どうした?お腹でも痛いのか?プシュケーならすぐ治してくれるぞ」

「!」


違う。

こんな事で落ち込んでも仕方ない。

魔法が使えなかった病気は治してもらった。

病気で溜まった瘴気の所為で太りやすかったこの身体には瘴気はもう無い。

プシュケーという誰も契約出来なかった上位精霊との縁も出来た。

まだ契約出来てないけど...。


(俺はリーシャさんにまだ何一つ恩返し出来てないじゃないかっ!何が並び立つだ!今はリーシャさんの為に何が出来るか考えろ!)


オルソンは顔を上げてリーシャの両肩に手を置いた。

今まで見たことのないオルソンの行動と強い意志を込めた瞳にドキッと心臓が跳ね上がった。


「リーシャさん!」

「へ...は、はい」


まあるい顔と(つぶら)な瞳が何時になく男らしく見えたリーシャは思わず顔にほんのりと熱が上がるを感じた。


「いいですかリーシャさん。今日はこの部屋から出ないで下さい。誰か訪ねて来ても宿の人以外とは会わないようにして下さい。俺が明日顔を出すまで待ってて下さい!」

「わ、分かった...」


リーシャの返事を聞いてオルソンは眉をキリッと上げて「それではまた明日」と丁寧に頭を下げてからドタドタと部屋を出て行った。


リーシャは何故か分からないけれども高鳴る心臓の鼓動が少し苦しいけれど何だか心地良かった。


オルソンが閉めた扉を見たまま惚けるリーシャにケット・シーと四大精霊達は生温かく見守りながら苦笑していた。






「帰ッテイイカ?」


リーシャの影から頭を出したシェイドは勿論全員に無視された。





お読みいただきありがとうございます♪


面白いと思っていただきましたらブクマ、評価よろしくお願いいたします(*・ω・)*_ _)ペコリ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ