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最後のハイエルフは甘いものがお好き  作者: ほむら


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17 防人の丘

誤字報告ありがとうございます(〃・д・) -д-))ペコリン


名前違いを連発してました;;(∩´~`∩);;

混乱させてしまいすみませんでした^^;

【防人の丘】へ向かったプラウドとアリスティア。

見たことも無い鮮やかな花が咲き乱れ濃い魔力の気配がする小高い丘に待ち受けていたのはスプリガン。

この丘にある古代遺跡を護る精霊。

ぼろ切れのようなマントに身を包んだ小人の姿をした精霊スプリガンとアリスティアの精霊が話をするとスプリガンはアリスティアのみ立ち入ることを許可した。


食い下がるプラウドを説得しアリスティアは鮮やかな花が咲き乱れた丘へ入って行った。

プラウドはスプリガンに睨まれながら長い時間恋人を待ち続けた。

やっと現れたアリスティアは小さな壺を抱えて顔色も良くなっていた。


その壺の中身こそがアマラントスの蜂蜜だった。

アリスティアが言うには、丘に向かうと精霊界の狭間と繋がっており精霊達に歓迎された。

精霊達と話をしている内に体調が良くなり帰ろうとすると強く引き止められた。

どうしても帰ると伝えると、精霊界の不凋花アマラントスの蜜を集める花蜜蜂(フラワービー)という大人しい蜜蜂の蜂蜜をお土産にくれたのだという。

しかもこの鮮やかな花がアマラントスで、いつでもアリスティアならこの蜂蜜をくれるという。


こうしてアリスティアの体調を維持するため定期的に【防人の丘】へ訪れる事となりアマラントスの蜂蜜も手に入れる事が出来るようになった。


アリスティアの体調の事もあり二人は冒険者を引退し彼女の夢だった宿屋を始めた。


アマラントスの蜂蜜を使ったパンケーキは好評で定期的に精霊界に身を置くアリスティアの体調も安定し何もかもが順調に思われた。


綻びはすでに現れていた。

体調も良くなり精霊魔法も強くなったアリスティアは一人で精霊界に行くようになった。

そして段々と精霊界にいる時間が少しずつ長くなっていた。

数時間だったのが半日、丸一日、数日と伸び始め、プラウドが問えば精霊界と現世では時間の流れが違うので気を付けると言うが余りに顕著だった。

アリスティアの体調を整える方法が他に無いためプラウドは止める事など出来なかった。

そして遂には二ヶ月前から戻らなくなった。


プラウドがスプリガンに訊ねると彼はこう応えた。


『愛し子は来た。もう帰らないだろう』



それからずっとプラウドは力のある精霊魔術師を探していた。


Aランク相当の戦闘能力を持つスプリガンにはどう足掻いても太刀打ち出来ないだろう。

伝説ではこの【防人の丘】は百体以上のスプリガンに守られているという。


そうなるとアリスティアがそうしたようにスプリガンと交渉するしか侵入方法は無い。


元々精霊魔術師は希少であり、ましてや上位精霊であるスプリガンと交渉出来るような精霊魔術師などプラウドは聞いた事も無かった。


一ヶ月程前から【小熊の蜂蜜亭】を利用し始めたイエレナは王都でも有名な精霊魔術師だが、上位精霊と契約は出来ていない。


そこで現れたのがアマラントスの蜂蜜を知るリーシャだった。

イエレナですら分からなかった蜂蜜の正体を当て、尚且つ故郷にアマラントスが咲いていたという。


イエレナが敬語で話す謎のエルフ。

恐らくは同等かそれ以上の力を持つと踏んだプラウドは一縷の望みを賭けたのだった。


今回プラウドの依頼は表向き護衛だが、プラウド一人でも【防人の丘】までは行けるだろう。

本当の目的は恋人アリスティアを取り戻す事。

勿論アマラントスの蜂蜜も手に入れたいが、プラウドにしてみればあくまで彼女との思い出の宿屋を守る手段の一つであるだけだろう。


そしてリーシャはこの宿屋にブラウニーが住んでいた理由に気付いた。

【精霊の愛し子】の魔力が呼び寄せたのだろうと。


リーシャは項垂れるプラウドの肩を力強く叩いた。


「スプリガンは問題無い。恋人...(つがい)が戻るかどうかは保証は出来んがせめて逢えるようには協力しよう」







翌朝、リーシャはプラウドの留守を守るマリーとプラウドの姉夫婦に、人の目に付きにくい目立たぬ場所に簡単な料理を一皿置いておくように伝えた。

ぼろ切れを纏った小さな精霊が見えても見ぬ振りをするように付け加える。


ブラウニーは好きでこの宿屋に住み着いているが、感謝の気持ちをこっそりと料理でもてなせば害悪からも守ってくれる。

それほど力のある精霊では無いが何かあった時多少は助けになるはずだ。


リーシャから聞くまで精霊ブラウニーが住み込んでいる事をプラウドもマリーも気付いていない様子だった。

プラウドはただ驚き、マリーは気になる事があったのか「もしかして偶に片付けが終わってるのは...」と小さな声で呟きながら納得したようだった。


そんな話を聞いたからこそプラウドはリーシャ達に待ってもらい、ブラウニーの為の名物のパンケーキを自ら作り階段の脇の目立たない場所に置いた。


少し祈りを捧げる様な素振りをして沈黙の後立ち上がるプラウド。


「待たせたな。行こうか」


プラウドの言葉にリーシャとイエレナが同意を見せて三人は【防人の丘】へと向かうため【小熊の蜂蜜亭】を後にする。


「マリー、姉貴、ギリー、店をよろしく頼む」

「僕も居るから余裕だにゃん」


そう、ケット・シーも留守番となった。

決して邪魔だからでは無い。

【小熊の蜂蜜亭】一番人気のパンケーキが提供出来ない代わりにマスコット役をリーシャに頼まれたからである。


最終兵器的なアレである、とケット・シーは思っている。


リーシャはケット・シーの頭を撫でてふっと優しい笑みを浮かべて歩き出した。

残されたマリー達は朝食に訪れた客と共に店内へ戻った。

それを皮切りにあっという間に朝食を求め来店する客でいつも通り慌ただしい【小熊の蜂蜜亭】の一日が始まった。




王都の西門から出る商人の馬車に揺られるリーシャ達。

これは昨日のうちにプラウドが知り合いの商人に交渉していた。


【防人の丘】は王都の西門を出て左手に拡がる森を抜けた場所にある。

歩きだと森まで数時間かかってしまうが馬車なら30分程で森の近くまで着くことが出来る。


舗装された街道は揺れも少なく積荷に囲まれながらも快適な乗り心地であっという間に一番森に近い街道に来たところで止まった。


プラウドが商人に幾らかの礼金を渡し一行は森へ向かう。

街道からは見れば少し離れてはいるが、かなり時間の短縮になっただろう。


森は定期的に伐採されているのか切り株が目立ち、木々の隙間から木漏れ日が多くそれ程暗く無い。

特に魔物も現れず軽く談笑する余裕がある程だった。


そうして一時間程進むと唐突にリーシャが何も無い空間に手のひらを向けた。

するとぐにゃりと空間が歪み、リーシャの手のひらの向こうには先程まで見えていた景色とは違う景色が見えた。


「まさか結界ですか?」

「ああ、どうやら精霊達は侵入者を拒んでいるようだ。気付かなければいつの間にか森の外へ誘導されていただろうな。結界の気配すら隠蔽する魔術が使われていたよ」

「一ヶ月前はそんなの無かったのに...」


「さてな。この一ヶ月で精霊達が拒む程の理由が出来たのかも知れぬな。さあ、進もうか」


リーシャが促すとイエレナとプラウドは口を強く真一文字に結び小さく首を縦に振った。

結界の中に侵入すると突然森の気配が変わった。


精霊の気配が色濃くなり、精霊魔術の素養の無いプラウドにも精霊の姿が見えるほどである。


小さなまだ自我の無い精霊達はリーシャとイエレナの魔力に惹かれて周りをくるくると踊るように漂うながら、まるで誘導するように同じ方向へ向かっていく。


獣道を小一時間も歩くと道ではなくなり人の手が入っていない鬱蒼とした木々が行く手を阻むようになる。

少しずつ傾斜も強くなり間違いなく【防人の丘】を登り始めていると実感してくる。


イエレナの緊張に影響されたのか彼女と契約する精霊達がいつの間にか顕現し、まるで主を護るように警戒をしている。


その精霊の数は20体。

様々な動物の姿で赤い猿もいれば青い虎もいたり、子供に蜻蛉の羽根を付けたいかにもな精霊もいた。

全て下位の精霊だが、それだけの数と契約し一度に顕現する事は精霊魔術師としては間違いなく一級である。

プラウドはそれを見て【精霊の愛し子】で精霊魔術師だった恋人と比べてもイエレナの方が精霊魔術師として格上である事が分かった。


それに対しリーシャはまるで歩き慣れた森のように歩みを乱すことなく、周りに漂う野良の精霊と戯れている。

肝が座っているのは最初から分かっていたが、どうにもリーシャの実力を測り切れずにいた。


そうして進む内に行く手を遮る巨大な倒木を下を潜ると薄暗い森の先に拡がる草原が見えた。


草原に抜けると所々に生えた大きな岩が目立つ。

そんな岩の間を抜けた緩い傾斜の先に数十の柱の様な不自然な岩が等間隔で大地に突き刺さった場所をプラウドが指差した。


「あれが古代遺跡だ。そろそろ...」


プラウドの言葉を遮るように目の前の岩の上にボロボロのマントで身を包んだ小人の姿をした精霊が現れた。

ボサボサの長い髪で顔はよく見えないのに大きく丸い魚のようなギョロっとした二つの目だけが分かる。

体の二倍はある棍棒を杖代わりにする姿は異様そのものだった。

彼こそが古の盟約により古代遺跡を侵入者から護る精霊スプリガンだった。



『獣にも人にも成れぬ半端者よ。【愛し子】は帰らぬと言った筈だ。神の器だった者達を連れて来ても同じ事。大人しく帰れ』


地の底から響くようなその声は弱者の意識を飛ばす程の威圧を込められたものだった。



お読みいただきありがとうございます♪


少しずつブックマークして下さる方が増えてきて嬉しいですヾ(●´∇`●)ノ

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