表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界キャンプ ~チートはなくても美味しいものがあれば充分です~  作者: 綾川 鈴鹿
《カプト地方、砂漠編》二章、カルラ・オアシス
91/115

14話、討伐隊(8)

 ピエェーーー!!


 風が弱まったからなのか、何度も切りつけていたからなのか、金切り声を上げたロック鳥の脚が片方落ちる。

 しかしロック鳥は逃げるように飛び上がり、天高くまで飛ぼうとする。

 しかし何故かあまり高くまで飛べない、そのまま魔法石にブーストされたクリスタの跳躍により追撃を右翼に食らった。


「間に合いましたわね」


 クリスタの攻撃が当たったと同時に、クラウディアとアンがロック鳥の前に到着した。


「助かった! クラウディア、んじゃ手はず通りに」


 ラーナがまだ落ちていないもう片方の脚を捕まえると、焦ったロック鳥は嘴でラーナを突こうとした。


「甘い! この程度ならわたしでも受けきれる!」


 そう言い飛び込んできたのはアン、大盾で鋭い嘴をいなした。

 ロック鳥の頭は滑るように盾を通り過ぎると、そのまま勢いよく地面に突き刺さった。


「完璧なアシストですわ。アン=オーティス」


 アンが受け流したことで、ロック鳥の顔が地面に近い位置にあるのを確認したクラウディアは、猛スピードで突進をしながらロック鳥の右目をレイピアで貫く。


 ピエェーー!!


 またも金切り声を上げたロック鳥は、ラーナに背中から地面に叩きつけられた。


「今だ! 畳み掛けろ」


 ラーナは両手のナイフで脚を、クリスタはナイフで右翼の風切り羽を更に切りつける。

 ロック鳥はたまらず翼を大きく激しく動かし、なんとか立ち上がろうと抵抗する。


(っあ、逃げられる!)


 ドゴォ! バンッ!


 リリがそう感じるよりも早くラーナは飛び上がり回転しながらロック鳥の顔に踵落としを決めた。

 半分起き上がったロック鳥は、物凄い音と共に地面に叩きつけられた。


(うわっ、痛そー)


「よくやったラーナ嬢ちゃん!」

「アン! 翼!」

「まかせときなぁー!!」


 アンは力を乗せるかのように叫ぶ。

 そのまま身の丈ほどの大きな大剣を翼に向けて振り下ろした。


ピエェーーーーー!!


 翼を斬りつけられたロック鳥は甲高い声を上げた。

 先程よりも更に暴れ回る勢いは凄まじく、全員が弾き飛ばされてしまった。


「きゃ、まだ暴れますの?」

「クラウディア様!」

「っち、とどめとまではいかなかったか」

「……ボクが決める」


 ゆっくりと立ち上がったロック鳥、明らかに右半身に集中砲火を受けている。

 羽のには投げられたナイフが所々に刺さり、風切り羽は半分ほどしか残っていない。

 脚も傷だらけで、更には目も潰されていた、

 見るからにボロボロだが、まだ佇まいは威風堂々としていた。


「仕上げだ、イヴァ、長めの剣を2つちょうだい」

「あっあぁ、分かったのじゃ」


 虚空からロングソードが二振りラーナの前へと落ちる。

 それを掴み、勢いよくロック鳥の胸元に飛び掛かったラーナは、勢いそのままにロングソードを深々と差し込む、そして剣を刺したまま離れると、ロック鳥は仰向けに倒れた。


(たっ倒しちゃった……あんなに大きな鳥を)


 倒れ込むのを見ていた一堂は、ホッと胸をなでおろす。

 勝鬨を上げる余裕すらなかった。


「トドメは譲りましたが、今回はわたくしの成果が一番大きいのを皆さまお忘れなきように! クリスタ、凱旋の準備はできていて?」


 クラウディアは空気も読まずに言う。


「もちろんで御座います、クラウディア様、カルラ・オアシスでエマとディアナが準備しています」

「そう、ならいいわ!」

「クラウディア様は、よくこのタイミングでよくそんなことを言えますね……」


 クリスタは呆れたように言うが、クラウディアはなおも胸を張って言い返した。


「事実だからいいのではなくて?」

「まぁ、はぁ……」


 カルラ・オアシスを出てから、ずっと毅然と振る舞っていたクラウディアだったが、その場にへたり込むように座った。


(あらあら、クラウディアも限界だったのねー)


 強気なことを言いながらも、やはりホッとしたようだ。

 先程の言葉も気を使っていたのかもしれない、そうリリは感じつつラーナに声をかけた。


「ラーナー! 怪我はないー? 大丈夫ー?」


 リリはラーナの胸に飛び込む。


「うん、問題ない」


 ラーナは、胸に飛びこんできたリリを両手で掬い上げると、少し恥ずかしそうに言った。


「心配したんだからね、あんなに大きなモンスター相手にこんなに無茶して」


 リリがラーナをよく見ると、服は砂にまみれて白くなっている、体には所々にかすり傷や切り傷だらけなのが激闘を物語っている。

 それを見て、リリは頬をギュッと抱きしめた。


「なんでリリのが不安そうなのさー」

「だってぇー」

「少しだけ手強かったけど、前見たのより小さかったし、みんなも居たから大丈夫だよー」


 リリの気持ちなどはよそに、ラーナはいつもと変わらず淡々と答えた。


 その時!


 ロック鳥がググッと体を起こした。

 すぐさまラーナがリリを庇うようにナイフを両手に構える。


「オーク、ムスメ、アンシンシロ、ワタシ、マケ」


(やっぱり聞こえる)


 リリはキョロキョロと周りを見渡す、しかし誰一人として気づいている感じはしなかった。

 ラーナには鳴き声にしか聞こえていないようで、ナイフを改めてギュッと握り直していた。

 ロック鳥は静かに目を閉じ、翼を綺麗に畳んだ、荘厳さすら感じる佇まいだ。


「終わりだね……」


 そう寂しそうに呟いたラーナは、飛び掛かり首元を綺麗に掻き切った。


 シュパッ、ドサッ!


 小さく鳴くことすらなく、ゆっくりと倒れたロック鳥。

 その後ろで振り返ったラーナは、血に濡れた顔でニコリと笑って言った


「さぁ、食べよ? リリ!」


(っえ? いきなり? わたし、そんな気分じゃないんだけどなぁ)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ