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異世界キャンプ ~チートはなくても美味しいものがあれば充分です~  作者: 綾川 鈴鹿
《カプト地方、砂漠編》二章、カルラ・オアシス
53/115

SS、ラーナ髪を切る

前回までのあらすじ!


「地球から転移したわたし[リリ]と砂漠で腹ペコな鬼族の少女[ラーナ]」

「二人はようやく街へとついたわ!!」

「めんどくさい絡まれ方にもー辟易」

「ゆっくり観光ぐらいさせてくれてもいいのにー」

「っま、お金ないから稼がなきゃいけないんだけどねー」

「次の話は『SS、ラーナ髪を切る』ちょっと前の話しよ」


「さぁ本編が始まるわ! 『異世界キャンプ』楽しんで見てくださーい!」


「髪を切りましょ!」


 ピクシーのリリが声を上げた。


「急にどうしたの? せっかく長くてきれいな金髪なのに、邪魔になっちゃった?」

「そうじゃないわ!」

「違うの?」

「ラーナの髪よ!」

「ボクの?」


 ラーナは自分の腰まである髪を、手で触る。

 確かに手入れは、ここ暫くしていなかったので、ボサボサに感じる。


「んー、確かに邪魔だねー」


 ラーナは一言そう言うと、おもむろに髪を束ねた。

 そして腰からナイフを取り出し、ザックリと切り落とそうとする。


「ちょっ、ちょっと!」


 ラーナの急な行動に、リリが焦って止める。

 しかし間に合わず、半分ほどになっていた。


「ん? どうしたの?」


 ラーナは、キョトンとした表情で聞き返した。


「そんなバッサリと」

「なにか、おかしかった?」

「んーそうじゃないけど……」


(おかしいわけじゃあないけど、もっとオシャレにとか考えよーよ、ねっ)


 リリは少しだけ思い悩んだが「っま、いっか」と零す。

 軽く整えるのみならまだしも、自分の髪を切ったことがないリリには、自分自身で切るとこんなもんか、と感じたからだ。


「それじゃ、わたしが可愛くしてあげるー」

「リリが切るの!?」

「何か問題でも?」

「だって、ナイフ持てるの?」

「っあ!」


 この世界の文明が、どこまで進んでいるのかは分からないが、確実に言えることがある。

 ラーナが戦闘に役に立たない、ハサミなんて持っているわけがない。


(あーそうだったー! ハサミ、無いんだったぁ)


 リリは再び「う~ん」と頭を悩ませる。


(でもラーナにだって、オシャレを楽しんでほしいわよねぇ)


「ボクは、このままでもいいよ?」

「えー、本当はオシャレしたいんでしょー」


 確信があるリリは、からかうように言った。

 ラーナは恥ずかしそうに、俯きながら答える。


「っま、まぁ……したい」

「やっぱりねぇ、そうだと思ったわ!」

「なんで分かった、の?」

「だってラーナの服、可愛いもの」


 ラーナの服装は、ピッチリ目の肌着に、真っ黒な腰布を垂らしている。

 胸当ては肩は空いているものの、手が隠れるほどの長さ。

 地球で言うところのチャイナドレスに近い様相だ。


(伝統的な服だとしても、実利的なラーナにしては華美だと思ってたのよねぇ)


 リリはおもむろにラーナの腰布を指差し聞く。


「こことか!」


 リリが指差した所は、赤い刺繍が施してある。


「そ、そうかなぁ?」

「そうそう、ここも!」


 リリが使い古されたマントめくると、裏地には紅い布が当ててある。


「見えない裏地にまで気を使うなんて、オシャレ上級者じゃない!」

「えっ、そう? えへへ……」


 褒められて嬉しかったのか、それとも見つかって恥ずかしかったのだろうか。

 ラーナは照れ笑いを浮かべ、リリに返事をした。


「ほらねっ! だからこそ髪型も可愛くしなくちゃね!」

「ボク、髪の毛を結うの苦手なんだよねー」

「そうなの?」

「なんか難しいよねー」

「じゃあ、わたしがやってあげる!」

「ホント!?」

「任せときなさい!」


 リリは、エッヘンと胸を張る。


「前髪を切るのは、自分で出来る?」

「それぐらいなら、出来るけど……」

「じゃあ前髪は任せたわ! かわいくしましょーねー」

「う、うん」


 ドギマギと、答えるラーナだったが表情は期待に満ち溢れていた。


「それじゃ、鏡を用意しないとね」


 ラーナが出したのは、よく手入れされた短剣だ。

 顔が映り込むほどに磨かれている、鏡の様な高級品を持っていないラーナには、鏡代わりになるのだろう。


(ワ、ワイルドね……)


 リリから見てもラーナの姿は堂に入っている。

 何度も鏡として使っていることが、容易に予想できる。


「わたしは編み込みをするけど、左側でいい?」

「いいよー」

「じや、やっちゃうねー」


 リリはラーナの髪の毛を引っ張り、三つ編みのように後方へと編み込んでいく。

 小さなリリにとっては、まるで綱引きだ。


「んーしょっと、なかなかにハードね……」

「無理しなくてもいいよ?」

「だいじょーーぶ、はいっ! これで終わりっ!」


 リリは最後に髪を紐で留めると、ポンポンッと叩く。

 ラーナはそれを手に取ると、他の髪とまとめて後ろで結んだ。


「どう? 良い感じ?」


 素っ気なく聞くラーナだが、見るからに顔が緩んでいる。

 相当にうれしかったのだろう、見ていたリリも嬉しくなってにやけてしまう。


「えぇ可愛いわ、それじゃ街に向かいましょー」

「ンフフッ、今度はボクがリリの髪を結んであげるね」

「ありがとっ!」


 それ以来リリが寝坊をして昼頃に起きると、たまに可愛くセットされることが増えた。


「ヤッホー、ラーナだよー!」

「ヤッホー、リリよ!」


「リリ、おーきーてー」

「んー……あと5分……」

「また寝坊? ハァー」

「スゥー、スゥー」

「起きないなら、リリの髪で遊ぼっかなぁ」




「「次回『サウエムサンドワーム』その1」」



「異世界って理不尽だわー」



現在は、1日1話投稿です!

13:30、もしくは21:30にアップする予定ですが

前後する可能性があるのでご了承ください。

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