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異世界キャンプ ~チートはなくても美味しいものがあれば充分です~  作者: 綾川 鈴鹿
《カプト地方、砂漠編》二章、カルラ・オアシス
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8話、クエスト受注(8)

 やり取りを静かに黙って見ていたラーナが、ソフィアに答える。


「1つ目は普通に無理! 2つ目の保証はしない! とりあえず、知ってることを教えて」

「オークちゃんが聞きたいのは、どんな内容だいっ? 私が答えられることかなっ?」

「サンドワームの狩り方と弱点」

「ほーう、前向きだねっ!」

「早く教えて!」


 ラーナの言葉に、ソフィアは目を輝かせて答える。


「弱点はあえて言えば頭だねっ、狩り方は音でおびき寄せて、砂から出てきたところで頭を大人数でめった刺し、もしくは潜られないぐらいの深手を追わせるって感じかなっ? アン合ってる?」

「あぁ合ってるよ」

「それは良かった」

「補足をすると、腕に自信がある戦士なら時間はかかるが一人でもやれないことはない、割とノロマだからな、情報は貴重なものだ、これ以上は有料だ!」


 アンはぶっきらぼうに答えた、ソフィアはうんうんと頷いている。


(いやいやいや、教えてよ!)


「どうだい? オークちゃんはこの話を聞いて、やれそうかい?」


(ほぼ情報なくない? 音でおびき出せる、割とノロマ、それぐらいしかわたしにはわかんなかったわよ?)


「わかった、それで充分」

「っえ? ラーナ本当に?」

「報酬用意して待ってて、行くよ、リリ」


 ラーナはリリの疑問には答えずに、スタスタと早足で外へ出ていく。

 リリはオロオロと三人を見る。

 アンが「大丈夫だから、気にするな」と言い、ウインクをする。


(えぇ! 大丈夫じゃないって)


 リリが振り返ると、ラーナは思ったよりも先にいた。

 泣く泣く情報収集は諦めて、丁寧にお嬢様風のお辞儀をする。


「では、皆様お騒がせしました。待ってぇ、ラーナー!」


(ラーナは本当に大丈夫なの? 色々な意味で……)


 門の手前でようやくラーナに追いつくリリ。

 ラーナは、自分がアミュレットを2つ持っていることに気づいたので、門の前で待っていたのだ。


「ごめんね、リリ」

「何が? 勝手にクエストを決めたこと?」

「そうじゃなくて……」


 言いづらそうにしているラーナに、リリは明るく言葉を返した。


「良いの良いの、わたしはなにも気にしていないわ、ぜーんぶオッケー!」

「でも、リリも辛い目に……」


(別にそこまで気を回さなくても、ラーナが思ってるよりも、気にしていないわよ?)


「どうってこと無いってぇ、さっきはラーナの方が絶対に大変だったんだし」

「……そう?」

「そうそう、街ではいつもあんな感じなの?」

「大体は無視しとけば、なんてことはないよ」

「ふーん、ならいいわ!」


 終始、明るいリリとフードを目深に被り俯くラーナ。


「リリ……」

「っま、今回、第一目標だった、クエストの受注は出来たんだし、万事オッケー」

「ありがとう」

「良いわよー、さぁ行こー!」


 リリはラーナのフードを引っ張り門を出ようとした。

 その時、二人を呼び止める声がする。


「ちょっと待ったー!」


(ん? この声はソフィア?)


「ハァ、ハァ……君たちぃ、焦り過ぎだよ」

「どうされたのです? ソフィアさん」

「私も連れて行っておくれよ」


(っえ? やだ、ソフィアってなんか不気味だし)


 リリは出かかった言葉を、すんでのところで飲み込む。


「というか、君たちはサンドワームを倒したあとに何で運ぶつもりだったんだい? まさか引っ張って持って来られるとは、思っていないだろう?」

「っあ、確かに……」

「ボクが、食べられるだけ食べながら来るから大丈夫」


 返事を聞いた二人は対照的な反応をした。

 リリは呆れて、ソフィアは腹を抱えて笑いだす。


(ラーナ、流石にそれは食いしん坊過ぎるでしょ)


「ハーハッハッ、これはいい、やっぱり君たちは本当に面白いねぇ」


 笑い過ぎて、ソフィアは息を整えつつ話し出した。


「はぁー、はぁー、普段の討伐ならそれでいいが、私としては肝が腐ってしまったら困るからね、ここは私に従ってくれないかい?」


 ソフィアがいっていることはごもっともだが、リリは断りたかった。


(ラーナは、気にしていないみたいだけど、わたしにはソフィアって苦手だわー)


 しかしリリ達には乗り物なんて用意はできない、お金どころかツテの一つも無いのだ。


「まぁ君たちは気にしないでいいさっ、私が4頭立ての馬車を借りてくるからそれで行こうじゃないか、頼むからね! 経費は私が出すから、頼むよ、ねぇ!」


(4頭立て馬車って相当高いんじゃない? もしかして後で請求されるとか?)


 すがる様に頼むソフィア、リリはそこまでしてついて来たい理由が気にはなっているものの、二人に断る選択肢そのものがない。


「なーに、君たちは心配なんてしなくていい、御者は私が勤めるからねっ、サンドワーム狩りにハイ・オークとの道行きじゃ誰も受けてくれないだろう?」


(一言余計だけど実際その通りなんだよなぁ)


 バツの悪そうにうなだれるリリを見て、ソフィアはまくし立てるように話し出した。


「決まりだ! 門を出て真っ直ぐ行ったところの双子岩、あそこがわかりやすくていい感じだね。見てくれ、2つ同じ大きさの岩が並んでいるだろう? あそこで待ち合わせをしよう、小一時間ほど待っていてくれるかい? それじゃあまた後で会おうか、アデュー!」


 ソフィアは一気に喋り、勝手に約束を取り付け、嵐のように去っていった。

 二人はキョトンとしたまま、門の前で立ち尽くす。


「リリ、どうする?」

「勝手な人だけどあそこまで言われたら、連れていくしかないんじゃない?」

「だよねー」


 リリ達は、衛兵にクエストに行くとだけ報告をし、アミュレットを返して、ソフィアが双子岩と呼んでいた場所へと向かう。

 日が昇り切ってジリジリとした太陽の日差しが二人を照らす。


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