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異世界キャンプ ~チートはなくても美味しいものがあれば充分です~  作者: 綾川 鈴鹿
《カプト地方、砂漠編》二章、カルラ・オアシス
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8話、クエスト受注(2)

「ヤッホー、リリよ! 今回の一口メモ!」


「今回の名言はアメリカのレストラン評論家、クレイグ・クレイボーン」



”料理は、子供の遊びであると同時に大人の喜びだ。そして、慎重になされる料理は愛の行為である”



「大事よねー、慎重さ!」

「そういえば、料理は初心者ほど味見をしないって何かで見た気がするー」

「ついつい、忘れちゃうのよねー」

「逆に上手になっていくと減る、とも言われてるみたいだけどねぇ」



「ここから本編でーす!」

 門の入り口で、恐らく犬人族であろう衛兵に質問をされた。


「観光か? 商売か? 通行か?」


(本物の獣人さんじゃん! ゴールデンレトリーバーみたいー、大きいしモッフモフ!)



 リリは心の中で勝手にこの衛兵をゴールデンさんと呼ぶことにした。

 ラーナの1.5倍ぐらいはあるであろう体躯、整えられたモフモフ。

 触りたい気持ちをぐっと抑え、リリは慣れた旅人を装い、なるべく元気に話しだした。


「観光です! 前の街でいろいろなものがあると聞いていたので、楽しみにしていたんですよー」

「旅人ねぇ……」

「ちょうど保存食も少なくなってきたので、まずは商店を周ろうと思っています」

「何日滞在するんだ? なるべく早く出ていけよ?」


(なんか、態度悪くない?)


「早ければ、今日、明日にでも出ますよ。わたしたちあまりお金を持っていないものですから。長期の滞在は難しいかもしれないんですよねー」

「そうか、それは良かった」


 チラリとリリから視線を外した衛兵は、ラーナを見つめ質問をする。


「それで、お前の連れはこんなに暑いなかで、なんでフードを被ってるんだ?」


(知っていて聞いているわね? フードを取るわけには行かないし誤魔化しますけどー)


「無口で人見知りな子なので、こういう人が多いところでは喋りかけられないように、目線が合わないフードを被っているんです、すみませんね」


 二人は予め話し合い、ラーナの素性は隠していくことにしていた。


(ラーナもわたしもここは我慢よ、ここで揉めたら街に入れない)


「そうか、ならフードは取るなよ」

「はーい!」


 リリは手を上げ、大きな声で明るく返事をした。

 

「ここは多種族が入り交じる街だからな、旅人には街のいざこざに巻き込まれないようにするため、あとはお前達みたいなのが問題を起こしたら分かるように、これを渡している」


 衛兵は冷たい目で二人を見ながらも、緑色のアミュレットを2枚ラーナに投げ捨てるように渡した。


「だからお前達が問題を起こしても分かるからな?、外に出るときは必ず返していけよ? くれぐれも問題は起こすなよ!」


(この人、問題を起こすって三回も言ったわ! ゴールデンさん、いやっもうこんなやつは犬野郎で十分!)


 言われている当のラーナを他所に、リリの方が先にキレそうだ。

 しかしここでリリが怒ってしまっては元も子もない、だからこそ必死に笑顔を作る。


(落ち着けわたし、ここは冷静に)


「因みに、食料やピクシーの服の買える商店はどこにあるか教えてもらってもいいですか?」

「この先のサウエム広場を右に向かった道の先に続くテント街だ。お前等に売ってくれるとは思えんがな」


(あーもう、一言余計だわ! まぁ、衛兵だからなのか、人の目があるからなのか、態度の割には問答無用で無視しては来ないわね……それなら)


 リリは衛兵の態度から情報を集める好機と見込み、手を上げてこれでもかと明るく聞く。


「もう一つ質問させてください! この街でお金を稼ぐにはどうしたらいいんですか?」

「お前等が稼ぐのか? 無理だ、諦めろ!」

「そこをなんとかお願いしますよー、可愛い妖精のお願いじゃあないですかー」

「ッチ! 無駄だろうが、この街でお金を稼ぐなら広場を左に向かった先、冒険者ギルドかオアシス商業組合に聞いてみろ、あとは知らん」


(こいつー、舌打ちしやがった!)


「ご親切にありがとう御座います!」

「そろそろいいだろ? さっさと行け! そしてすぐこの街から出ていけ!」

「どうもー」


 リリは丁寧にお辞儀をし、ラーナは軽く会釈をすると二人は門を後にした。


(ふぅ、イライラしたー、犬野郎が最低限の仕事だけでもしてくれて良かった)


 ラーナは目立っては喋られない、この先リリは住人との対応を一人でどうにかしないといけない。


(まずはどこに行こっかなぁ? ラーナに相談しよ)


 リリはフードに潜り込むとラーナに耳打ちする。


「どうする? お金無いし、真っ先に冒険者ギルド寄る?」

「さっきので分かったと思うけど確実に観光どころじゃなくなるよ?」

「まぁ、そこは覚悟をしているわ」

「わかった、じゃあ二択かな?」

「どんな選択?」

「上手くいけば何ともなく稼げるけど、最悪の場合は牢獄に入る一個目、絶対に大騒ぎになるけど、条件は悪くてもクエストは受けられるであろう二個目」


(やべぇ二択!!)


「な、なるほど……ラーナは寄っておきたい所ある?」

「ママの日記には書いてなかったし、特にないかな?」

「じゃあ、二個目で!」


 お金がないのは困る、リリの衣服や食器や器具は後回しにするとしても、最低限の味付け用の調味料や香辛料だけでもこの街で揃えたい。

 それに、リリは万が一にでも牢獄に入るのはイヤだった。


「じゃあギルドに着いたら、ボクを止めないでねっ」

「なにかするの?」

「んーん、フードを取って名前を書くだけ!」

「……わかったわ」


(犬野郎の態度からしても、確かに騒ぎにはなるでしょうね)


 リリはラーナを守る決意を固めて街の門をくぐった。


「ヤッホー、ラーナだよー!」

「ヤッホー、リリよ!」


「リリ、街についたね」

「やっと……やっとついたー!!」

「テンション高いねー」

「そりゃそうよ! ベットと屋根がある所で寝られるのよ?」

「そうなればいいねー!」

「不穏じゃない!?」



「次回『クエスト受注』その3」



「ボクは理不尽なんかに負けない!」



現在は、1日1話投稿です!

13:30、もしくは21:30にアップする予定ですが

前後する可能性があるのでご了承ください。

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