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異世界キャンプ ~チートはなくても美味しいものがあれば充分です~  作者: 綾川 鈴鹿
《カプト地方、砂漠編》一章、死の荒原
37/115

7話、ジャイアントスコーピオン(1)

前回までのあらすじ!


「地球から転移したわたし[リリ]と砂漠で腹ペコな鬼族の少女[ラーナ]」

「やっと生き物を食べられた!!」

「でもデザートフィッシュって美味しくない」

「モンスターしか食べるものが無いなんてやーだー!」

「次の話は『ジャイアントスコーピオン』サソリ、トラウマなんですけど! けど!!」

「さぁ本編が始まるわ! 『異世界キャンプ』楽しんでみてください」

 ≪ドラーテム王国≫南西部、生き物の住めないような荒野。

 故に死の大地と呼ばれるサエウム荒原の中にも、水があふれ出るオアシスに作られた都市≪カルラ・オアシス≫へと向かう二人。


「ラーナ? 結構な距離を歩いたわよね?」

「4日かなっ! もうすぐ着くと思うよ」

「もうすぐって、昨日も聞いたんだけどぉー」


 周りを忙しなく飛び回る羽根妖精を気にも留めず、コートで身を包むラーナは軽くスキップしながら言い返す。


「馬車じゃないんだから、4日ぐらいじゃ着かないよー」

「っえぇ!? 日差しは強いし、照り返しもきつい! わたしもうやだぁー」

「やだぁーって、そんな丸出しだからでしょ?」

「その丸出しって言い方止めてもらえる?」


(ラーナの言い方だと、わたしが裸みたいじゃない!)


 ラーナはマントで全身を包んでいるが、リリはよほど砂漠には似つかわしくない格好をしている。

 転移したままのロングドレスなので、上半身は肩が出ており、スカートは自分の魔法でひらひらと棚引かせている。


「日焼けしちゃうー」

「はいはい」

「返事が雑すぎない!?」

「ボクには関係ないし」

「わたしには重要なことなの!」

「……じゃあ、フードはいる?」

「っえ? あぁー……うん」


 フードを広げて提案するラーナ。

 リリはおずおずとフードに入り、ラーナの首元に座った


「ところで今向かってる《カルラ・オアシス》ってどんなとこなの?」

「ボクも知らなーい」


 明るくそう答えたラーナ。


「ふーん、まっいっか。それよりわたし、そろそろお肉が食べたいわ、お肉!」

「たぶんだけど、いっぱいあるんじゃない? 亜人も暮らせる多種族都市らしいしね」

「亜人ってなに?」

「ざっくり言うと、人族以外の人型種族のこと」

「それって、獣人とか、エルフとか、ヴァンパイアとか?」


(正統派イケメンのエルフ! 可愛らしいケモミミショタ! クールで物憂げなヴァンパイア! きゃー夢が広がるー!)


 心の中で飛び跳ねるリリを知ってか知らずか、ラーナは残酷な事実を突きつける。


「ここは辺境だし、獣人はともかくエルフはいないんじゃない?」

「ならヴァンパイアは? イケメンは!?」

「ヴァンパイアは敵性亜人だよ?」

「まじか!」

「マジだねっ! イケメンは……運が良ければいるんじゃない?」

「ならだいじょーぶ!! わたしラッキーガールだから!」

「あーはいはい、そうだねー」

「信じていないわね?」


 和気あいあいと喋りながら、二人は歩を進める。

 リリは座っているだけだが……


「ご飯まだ? お腹すいたよー、リリー!」


[このかしましい、おっと……訂正、訂正、天真爛漫な少女。

 全身をボロボロのマントで身を包み、足場が不安定な砂漠をスキップで難なく進んでいる童女。

 実際には童女というほど若くもないのだが、その偽童女の名はスヴェトラーナ・ヴォルコヴァ。

 訳あって天涯孤独となったハイ・オークの娘だ]


「残念ながらもうありません!」

「えー!!」

「ラーナったら、あるもの全部食べちゃうじゃない」

「干物は?」

「たくさん作ったのに、干物もラーナが食べきったじゃない」


[ラーナの顔の前で、フィクションの女教師が注意するようなポーズをリアルで決め、恥ずかしげもなく、ぶりっ子を決め込んでいるピクシーの女の子。

 家でダラダラと漫画を読んでいたら、これといった意思も決意なく、異世界に転移させられた少女(26)残念ながら主人公である]


(ちょっとー、ラーナとわたしの紹介に差がない? 流石にわたしも26歳にもなってあのポーズはキツイかもなーとは思ってたけど、転生した今は0歳だし、みんな許してくれるわ!)


「あれは美味しかったから、ボクもついつい食べ過ぎちゃった!」

「食べすぎちゃった、じゃないでしょ!」


 舌をペロッとだしたラーナに、リリは言い返した。


「でもー、リリも一緒に食べてたじゃんかー」

「わたしはピクシーだから良いの! だってピクシーだもん!」

「それはずるくない?」

「わたしのお腹いっぱいは、ラーナの一口分でしょ」

「まぁ」

「だからわたしは良いんですー。見てよ、この小ささ!」


 ラーナの前をからかうかのようにヒラヒラと飛ぶリリ、ラーナはムッとして言い返す。


「そんなに食べて、寝て、グータラしてると太るからね!」

「だいじょうぶ、ですぅー」

「飛べなくなっても、ボク知らないからっ!」

「ピクシーは妖精だから問題ありませんー」

「もぅ、いい!!」


 ラーナはプイッっとそっぽを向くと、そのままハァーッと大きなため息を付く。

 しかし、一瞬でテンションが戻ったラーナはリリに提案をする。


「っあ! じゃあリリ、食べ物を狩りに行こうっ!」

「食べ物? なにを狩るの?」

「一日で食べきれないぐらい、おーっきいの!」

「そんなの簡単に見つかるの?」


(居たら苦労してないでしょうに)


「ボク、良さそうな所、知ってるんだー」


 後ろの腰辺りで手を組んだラーナは、あっけらかんと答えた。


「じゃあ真っすぐカルラ・オアシスに向かわないの?」


 リリ達は街に向かっている、理由はもちろんお金だ。

 調味料やスパイスも欲しい、無一文に少しのスパイスじゃあ旅を続けるのにも限界がある。


「ヤッホー、ラーナだよー!」

「ヤッホー、リリよ!」


「リリってさ、怠け者だよね?」

「はい? なんのこと?」

「いやいや、隠せてると思ってるの?」

「こんなにしっかり者な美少女はわたしだけでしょ!」

「あー、はいはい、そうだねー」

「でっしょーーー!!」

「そうだねー、ボクもそうおもうよー」



「「次回『ジャイアントスコーピオン』その2」」



「異世界って理不尽だわー」



現在は、1日1話投稿です!

13:30、もしくは21:30にアップする予定ですが

前後する可能性があるのでご了承ください。

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