表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界キャンプ ~チートはなくても美味しいものがあれば充分です~  作者: 綾川 鈴鹿
《カプト地方、砂漠編》二章、カルラ・オアシス
105/115

17話、激闘とその先(2)

【魔力満点サムゲタン】


「イヴァ!」

「なんじゃ?」

「燻製肉、ジンジャー、クルミ、大麦、ネギ、マンドラゴラを出してちょうだい」

「ほれ、ほれ、ほれ」


 リリの言葉に合わせて、アイテムボックスから次々と食材を出すイヴァ。


「あと、なにか魔力が戻りそうなものは入ってる?」

「魔力のある食材……んーそうじゃのぉ、ファイヤーリーフならどうじゃ?」

「ファイヤーリーフ?」

「ほれ、ラーナが持っておったであろう?」

「あールベンダでよくとれるってやつよね」


(地球では聞いたことないし魔力ありそう)


「ラーナいま持ってる?」

「鞄がロック鳥のところにあるから量はないよ? 絞った油なら小瓶に詰めたやつを一つだけ持ってるけど、足りる?」


 ラーナがローブを指差して答える。

 リリがイヴァを見ると、イヴァは頷き答える。


「十分じゃろ、ファイヤーリーフの絞り油には魔力が籠っておる」


(草なのに絞れるの? 実から絞るならなんとなくわかるけど……まぁいっか)


 物申したいリリだが、今は時間が惜しいのでぐっとこらえ


「わかったわ!」


 そう言うと、すぐさま取りに向かった。

 そして味を確認するために少しだけ舐めた。


(辛っ! この身体には辛すぎる! ラー油みたいだわ!)


 リリの反応に、イヴァが答える。


「……まぁダークエルフは誰も好んでは食べんがな」

「早く言ってよ!」


(それは納得だわ、辛いの苦手そうだもんね)


「まぁいいわ、これでいきましょう」


 自信満々に答えたリリに、イヴァはびっくりしたように聞く。


「不味いのは嫌じゃ」

「アンタは食べないでしょうが!」


 ツッコミを入れたリリに、ラーナが聞く。


「誰が作るの? ボクは無理だよ?」

「っあ! そっか腕が……」


 ラーナの一言にリリはテンパる。


(ヤバイヤバイヤバイヤバイ、どうしよう、どうしよう……)


「イヴァ、あなたが作って!」

「妾かや?」

「大丈夫! イヴァの料理センスが壊滅的だろうとなんとかなるものにする」

「ひどい言われようじゃな」

「失敗しても構わないから、美味しくなくても構わないから、せめて食べられるものを作りましょう」


 皮肉交じりに伝えたリリだったが、鈍感で純真無垢なイヴァには伝わらなかった。


「わかったのじゃ」


 そう素直に明るく答えられてしまった。


(まぁいいわ、前向きなことは良いことよ!)


「よしっ! じゃあ鍋に今言ったものを全部ぶち込んで!」

「それだけかや?」


 いつにもなく適当なリリの言葉に、イヴァは驚いたように返事をする。


「本当は色々あるけど、今回はまぁいいわ」

「分かったのじゃ!」

「燻製肉、マンドラゴラ、クルミ、大麦、ジンジャー、ネギの順番で入れていって」

「そのまま入れて、いいのかや?」

「そうねぇ、肉は細かく割いて、クルミは手で簡単に割って入れましょ」

「よしっ、任せておけ!」


(どこからその自信は来るのよ)


 そう言いたい気持ちも抑えつつ、リリは説明を続ける。

 今は何よりも速さが大事だからだ。


「マンドラゴラはそのままでいいわ、あと……大麦もそのまま、ジンジャーは一片だけちぎって、ネギは青い部分だけ入れましょ」


 リリはイヴァでもできる様に、三歳児に説明する感じでシンプルに簡単に教える。


「なるほど分かったのじゃ」


 料理とも言えないような煮込みを始めたイヴァ。


「……お、おわったぞ……」

「ありがとう、じゃあ仕上げに入りましょ」


 リリはウォーターヒールを唱え、魔法の水を鍋の中に入れた。


「あとは、味を調整してしっかり煮込んだらファイヤーリーフの油をかけて完成ね」



* * *



「……ディア、クラウディア!」


 リリが青白い表情で寝ているクラウディアを、起こそうと大声を上げ頬を叩く。


「うーん……キンキンと耳元で煩いわねぇー」


 目をこすりながら体を起こすと、リリが器を渡す。


「出来たわよ、体調はどう? ご飯食べられる?」

「っ!! クリスタは!?」 


 飛び起きたクラウディアがリリに詰め寄る。


「だ、大丈夫。まだ戦ってるわ」

「怪我は?」

「睨み合ってばかりだから、多分してないと思うわ」


 クラウディアはクリスタの方を見ると、安心したのかホッとため息をついた。


「今さっきラーナも参加したけど、ラーナも怪我だらけだし決め手に欠けてるみたい……」

「そう……私もすぐに行かないと」


 クラウディアはゆっくりと体を起こすが、やはり疲れが見えるのでリリが止める。


「とりあえず食べなさい、魔力満点サムゲタンよ」


 リリの圧に負け差し出されたスープを無言で受け取ったクラウディア。

 口に運ぶと体の芯から温まるのを感じた。


「温かい、安心するわ、それに魔力が戻るのを感じるわ」


(うそっ! 気のせいじゃない? 言ってみただけなんだけど)


 リリはまだ食料に魔力が入っていることに半信半疑だが、せっかくの気持ちに水を差さないように、とりあえず同調することにした。


「ファイヤーリーフの油のおかげかもね」

「なるほどね……」


(大丈夫かしら? この状態のクラウディアが参加しても状況が一変するとは思えないのだけれど……)


 黙々と食べるクラウディアと戦闘中のラーナ達を交互に見るリリ。

 料理が終わった今、またもリリにはあたふたすることしかできなかった。

 朝からずーっとあたふたしていたので、へんな疲労すら感じるほどだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ