↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら暗君「劉禅」の教育係になったので、僕が天下を取らせます  作者: 久保カズヤ@試験に出る三国志
二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
14/28

第13話:李仁は諸葛亮に褒められたい


 翌日も仕事があるのに宴会なんてするもんじゃない。

 朝一番に思ったことはそれだった。


 でもここは昭和なんて目じゃないほどの大昔。三国志の時代。

 きっとこんなことを言えば、甘ったれてんじゃねぇよって殴られちゃうかも、なんて。


 大あくびを噛み殺し、代わりに鼻の穴をめいいっぱいに開いて息を吸い、吐く。

 出勤中、今日は街中でやたらと衛兵を見る。市勢もなんだか固い、というか緊張感を感じた。


 なんだろう。

 年に一度の防災訓練の日とか?この時代に?


「いやいやいや、にしても多すぎねぇか?」


 東宮に近づくにつれ増える兵士の数。都でクーデターでも起きているような警戒具合だった。

 しかし外出禁止の布告だったり変な騒ぎもないし、別に東宮に入る僕を身元検査するわけでもない。


 ただただ、不気味だ。

 いつも通り太陽は灰色の空に隠れていて薄暗い。


「あぁ、李仁殿!探していたぞ!」


「董允殿」


 東宮に入るや否や、董允の野太い声が寝ぼけた頭にガツンと響く。

 しかし、この人がちゃんと官服を着ている姿を少し珍く感じてしまうのは何故だろうか。


「急ぎ来ていただきたい。軍師殿がお待ちだ」


「え、軍師殿?」


「軍師将軍、諸葛亮《しょかつりょう》様だ。何やら危急の要件で、東宮の主だった者を集めるように、と」


 諸葛亮が。いよいよキナ臭くなってきたな。

 というかあの人、元クラスメイトの僕のこと覚えてるんだろうか?


◇


 関羽の死、荊州の陥落、東征を息巻く劉備、それに意見をした趙雲と来敏の投獄。

 諸葛亮は東宮の主だった十数名ほどを部屋に集め、いきさつを簡潔に、そして淡々と説明した。


 ついに始まってしまった三国志のトラウマ展開。

 平穏な日常を送り過ぎていて、どこかでそんな未来は来ないと思い込んでいた気がする。


 あれ、でもなんで来敏が?

 僕の知ってる歴史では別に、ここで来敏が劉備の不興を買うなんて話は無かったはず。


「というわけで東宮を管轄する来敏殿が投獄された今、人事の変更が急務となる。馬謖、資料を皆様にお配りせよ」


「既に配り終えています」


「お、おう。早いな、流石だ。それと皆は来敏殿については心配しなくてもいい。獄中の扱いに関しては私と法正殿から殿下に進言し、丁重に扱っていただくことを約束していただいた」


 ひょろりとして背の高い諸葛亮の隣に立つ、あの目の輝きの眩しい補佐官が"馬謖"か。

 三国志ファンとして興奮する反面、来敏の投獄という事態に情緒がグチャグチャ。


 手渡された紙には丁寧に、臨時の人事変更の旨が確かに記されている。

 来敏が解放されれば元に戻るため、あくまで臨時的な措置であるとのこと。


 うーん、僕の名前が無い。

 ということは変更なしか。ちょっと安心。


「あと、来敏殿の代役として別な学者の方々に声を掛けようと思ったが、まぁ、ちょっとアレなのでその方針は無しだ」


「高名な学者の方々は皆様仲が悪いので、もし来敏殿が復帰されたとき必ず厄介なことになります。故に学者の畑から代役は選べないという話です」


「全部説明しなくてもいいぞ馬謖。なので尹黙殿にひとまず、臨時で東宮の統括をお願いしたい。役職は太子僕のままで」


「そういうことであれば、お引き受けします」


「費禕はしばらく東宮ではなく私のもとに来てくれ。任せたい仕事がある」


「承知しました」


「それと董允。来敏殿の代役として、太子家令の職は君が兼務してくれ。これは費禕の推挙であり、私もそれが良いと思っている。頼んだぞ」


「わ、吾輩が。必ずやご期待に添う働きをいたします!」


 ずいずいと厚かましく前に進み出て、董允は諸葛亮の手を固く握る。

 苦い笑顔を浮かべて「あくまで臨時だからね」と諸葛亮は一言を添えるも、董允はたぶん聞いてない。


 しかし近しい同僚達がこうも期待されて、仕事を任されていると少し寂しくなるな。

 明らかに置いていかれている気分というかなんというか。いや、良いんだけどね、別にね。


「そうだ、えーっと、李仁殿は居るか?」


「え、あ、はい!」


「あぁ、そこに居たのか。久しいな」


 爽やかに微笑むイケメン諸葛亮。おもわず胸が高鳴る。

 え、もしかして僕を覚えてくれてたの?こんなに凄い人が?好き!


「王太子様の御信任が一際厚いと聞いている。貴殿にこの仕事を任せて良かった、礼を言う」


「れ、礼だなんて、そんな」


「恐らく今回の件で王太子様は大いに気を揉まれるだろう。なにせ趙雲将軍は太子様を二度も救った方で、来敏殿は今の太子様をお支えする最たる臣下。引き続き、どうか側で太子様をお支えしてほしい」


「臣下として当然のこと!頑張ります!」


「私は良い学友を持った。もし太子様のことで何かあれば、直接私に話を持ってきて構わない。頼りにしている」


「先生、もうそろそろ時間です」


「そうか。では詳細な話はまた後程。尹黙殿、どうぞよろしくお願いします」


 あれが、諸葛亮。

 なぜだろう、あの人に褒めてもらうとどうしてこんなに嬉しいのだろうか。


 丁寧に腰を折って頭を下げ、流れるようにサササッと部屋を出ていくその姿、一瞬たりとも目が離せない。


 頑張ろう。うん、頑張ろう!

 この困難を乗り越えて、諸葛亮さんにもっと褒めてもらおう!


---------------------------------------------------------


面白いと思っていただけましたら、レビュー、ブクマ、評価など、よろしくお願いします。

評価は広告の下の「☆☆☆☆☆」を押せば出来るらしいです(*'ω'*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。