地味だからと婚約破棄されてしまいました。想定外ではありませんでしたが……残念に思います。
「君ってちょっと地味だよね」
本を読むことが好きな私は婚約者である彼ロヴァンスから若干嫌われている様子だった。
「だからさ。……婚約、破棄することにしたよ」
なのでそう告げられた時も驚きはそれほど大きくはなかった。
ある意味読んでいた展開だったのだ。
けれども、その時がやって来たのはいきなりだったので多少の驚きはあって、すぐには相応しい言葉を返せなくて。
「こんな時でも黙ってる。そういうところが無理なんだ。思ったことをすぐ言ってくれるような人がいいよ、僕としてはさ」
いきなり婚約破棄なんて告げて、それで相手が戸惑わないと思っているのか?
そういう状況で即座に相応しい言葉を返すなんて簡単なことではない。
器用な人ならできるのかもしれないけれど、器用でない人間にはそういうことは難しいことだ。
「地味だし、何も言わないし、そんな女は嫌いだよ。だからお別れだ。ここまでにしよう。……さようなら」
こうして私たちの関係は終わりを迎えた。
◆
あれから数年の時が流れた。
私はあの婚約破棄の後ローメン・カウス・テセスィウス・ラヴィヴェルテ・アン・フォーシクルスという男性と仲良くなり結婚した。
彼もかつて婚約者に婚約破棄されたという過去を持っていた。
しかもその理由が『名前が長すぎて鬱陶しいから』といった理不尽極まりないもの。
なので私たちは出会ったその日から響き合うことができたのである。
私と彼の絆は絶対的なもの、そして、永遠のもの。
だから彼となら共に歩んでゆけるはずだ。
ちなみにロヴァンスはというと、後に美人の女性と結婚したそうだ。しかしその女性がかなりわがままな性格らしくて。ロヴァンスは妻となったその女性に奴隷のように扱われることとなってしまっているようである。
ロヴァンスは毎日のように「前の大人しい女と結婚しておけば良かった」と繰り返しているようだが……今さら気づいても、もう遅い。
◆終わり◆




