婚約破棄された側は不幸になる、なんて、決まっているわけではありません。未来の良し悪しなど誰にも分からないものなのです。
「君みたいなパッとしない女性とは共には生きていかないと決めた。……よって、婚約は破棄とする!」
婚約者である彼アヴァべヴは突然そんなことを言ってきた。
「え」
「だ、か、ら、つまりはそういうことだよ。婚約は破棄する、そう言ったんだ。聞こえなかったのか? おばあさんじゃないのに耳が遠いのか?」
「いえ、聞こえました。ただ、あまりにも急だったものですから、驚きまして」
「ああそういうことか! ああ、ああ、なるほどな! ははは! そういうことなら理解できたよ」
アヴァべヴは愉快そうに笑う。
「でも、決定は変えないよ」
やがて冷ややかな面持ちになった彼はそんなことを発した。
「婚約破棄はもう決まったことだからね」
こうして私はほぼ強制的に切り捨てられてしまったのだった。
◆
突然の婚約破棄から三日が経った昼下がり、アヴァべヴは不運にも通り魔に遭遇してしまい危険な薬品をかけられて落命してしまった。
一方私はというと、婚約破棄から半年ほどが経ったタイミングでかつて親しくしていた時期があった同じ年齢の青年と再会、そしてやがて結婚を決めた。
婚約破棄した側は幸せか?
婚約破棄された側は不幸になるのか?
……いや、そんなことはない。
どんな未来が待っているか、なんて、そんな簡単に読めるものではないのだ。
◆終わり◆




