489話 意味のない叫び
「千織さん…みなさん…ごめんなさい…私のせいで…」
「ひなたが謝ることじゃないわ。本来結果は結果として受け止めるべきなの…」
票の内訳は千織と涼と望愛は鯖の味噌煮、悠一と陽菜と飛翔はきくらげ炒め、ひなたがチャーハン、壮はペスカトーレだった。
「これだとたしかに票は決まらなかった。しかし、スペシャル審査員がいたことで、これが覆った…」
「…だからひなたのせいじゃない。それと…飛翔は本当に辛そうだが…大丈夫か?」
「…飛翔くん、あのステージの子は誰だったの?」
「あれは…」
あれは転生前に飛翔を虐めていた中学時代の同級生だ。何かの拍子に間違って転生したのか、それともこれが運命だったのか…
「名前を叫んでいたのも…彼女たちを追い出すため?」
「その通り…でも意味なかった…」
「そしたらまた…」
そう言った瞬間、2人の不審者が目の前に来た。それと同時に、飛翔は吐き気を訴えた。
「なんでそこで吐いてるの?私たちが吐きたいのになにしてるの?」
「○ねよマジきしょいな」
吐く飛翔を尻目に罵詈雑言の嵐だ。
「…どうして飛翔をいじめるの?」
「飛翔?そんなやつ気持ち悪いだけじゃん。存在が」
「無理、存在が無理、声が無理、生きててほしくない」
「…本当に心の底から飛翔のこと嫌いなのね…」
「そうですよ?君はあんなヘタレを守るんだ。ふーん」
「…もうやめなって!」
「うわ、正義気取りしてんじゃねーよ気分悪ぃな」
「これは宿命、友だちでも容赦ない」
「転生してまで飛翔を傷つけるなら、私は止めるよ。そもそも私が転生したいからここに来たのになんでついてきてるの?」
「なんとなく?」
「…私は謝りたいから来たの。小春ちゃんに、飛翔くんに」
「なんだ、自分から死んだやつに謝りたいの?」
「ふーん、で?」
「…私ね、飛翔くんに謝りたいと思ってるの。あの時は周りのノリに振り回されて…給食の時に閉じ込めちゃって…ごめん。許して!」
「…それが謝罪なの?」
「そうだよ!これは謝罪!」
「飛翔はたぶん許さないよ。そんな自己保身に走るような謝罪…誰だって許さないよ!」
「白梅さん、落ち着いて…」
「師匠、これ以上は嫌なんです!」
「…そう、そしたら黙って見てるから…続けなさい」
「…あのね、みんな極悪人、特に君が1番悪者。正義気取りしてるけど、結局自己保身のための…悪気ゼロの謝罪をするのはただの言い訳。謝らない方が良かった。転生前の飛翔は知らないけど、今の君たちが最低で酷い悪人なのは言わなくてもわかるんじゃない?ここは既に転生した後の世界なのだから、あとはもうわかるんじゃない?」
諭された瞬間、3人は力が抜けたかのようにその場にへたり込んだ。
「…師匠、これで良かったのでしょうか?」
「そうね。学食は食と同時に人を育てる。そういうことかもしれないわ」




