482話 ホームレス飛翔
9月16日、月曜日。今日から飛翔は完全に家無し生活を送ることになる。
「…飛翔さん、お久しぶりです。私のこと、覚えてますか?」
「誰だ…いや、つむぎちゃんだ!お久しぶりだよ」
「実は飛翔さん、あなたにお伝えしないといけないことがあります…」
「それはなんでしょうか?」
つむぎがお伝えしたのは、今命を狙われていること、犯人は既にお察しの通りであること、そして…
「その結末は、私たちの想像の斜め上に行くかもしれません…ですが、飛翔さんには私がいますので安心してください!」
その自信はどこからだ…と考えているうちに、気がつけば道に迷っていた。
「飛翔、元気だったか?」
「浩介さん…それに…慎一郎さんたちも…!」
「お久しぶりです…ところで、飛翔さんはどちらに?」
「ちょっと家探して来ます…」
「はぁ!?みんなの広場はどうしたんだ!」
「色々とありまして…」
「そうだぞ。浩介、ご無沙汰してるな」
「初音か…つまりそういうことか…まさか…信じられないな…」
「私は事態が読み込めてないのですが…!?」
そんな慎一郎にもわかりやすく噛み砕いて解説すると、その場にいた浩義は状況を察知して、警察にも相談した。
「とりあえず家が見つかるといいな…」
そう言い残して、飛翔は街を出た。バスに揺られ、海へと向かう。夜見川からさらに乗り継いで、今日は新保に泊まる。新保の海岸に荷物を置くと、先客に声をかけられた。
「…君は誰?」
「神崎飛翔。学食レビュアーだ…今は家を探してる」
「私は冬岡学院の学院長、徳重杏奈だ…海荷となるから話は聞いた…君には才能があるじゃないか…それもなかなかいい感じのな…」
「それほどでもないです…ただ、たまたまなだけで」
「…時に神崎くんは、どんな人が強いと思う?」
「誰にでも優しく、誰にでも丁寧な人ですね」
「そうだな…だが、現実はなんでも力で決まってしまう。発信力、影響力、体力…なんだってそうだ。そして優しくて力が弱い人から順々に倒されて、優しくない世の中が完成してしまうんだ」
「…そんな子を救いたいと思って…学校を…?」
「そうだ。前の魔王には何回も反対をされたが、今の魔王と話し合って、今年の春にやっとできたんだ…私はな、優しくて力の弱い…いわゆるハンデのある子を救いたいんだ」
「それまた…どうして?」
「…転生前の私が守れなかったんだ…」
杏奈は転生前、カウンセラーを行っていた。しかし、相談を受けた子が自ら命を絶って以降は自分を責めた。その心労から、気がついたら転生していたという。
「ここはいいな。心地よい居場所があるから…」
「僕は家を追い出されました…」
飛翔が事情を話すと、彼女は痛く共感した。
「…無事に家が見つかるといいな…そうだ、学食コンテストもよろしくな」




