↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
84/100

475話 secret


「もうすぐで10年後の8月か…」

「そういえば最後に5人で会ったのっていつだっけ?」

「中学の卒業生だね。宮子か私が行けなかったり、飛翔が行けなかったり…」

「その時に10年後の8月って言ったんだね…でも…」


日付は8月31日、満点に広がる星空の下で車を走らせる4人。思い出話が盛り上がるなか、ラジオではリクエスト曲が流れていた。誰かは知らない人のリクエストだったが…


「この曲って…」

「小春がよく口ずさんでいた曲だね。これも…運命なのかな…」

「さぁね…」


感傷に浸りながら車は病院の前で停まった。時刻は1時。


「本当に来るとは思わなかったよ…さぁ、始めましょうか」


佳澄の言う通り、目が覚めるまで待つことになった。その中で飛翔はあれからどうなったかを聞いていた。


「正直記憶は5割しか戻ってない。あなたたちの事は思い出せた…しかし、自分の名前もどこにいるかもわかってない。なぜここにいるのかさえも…」

「私たちが…明日1日かけて取り戻して見せる!」


朝7時、目が覚める。彼女は久々の顔を見かけてはにかむ。


「飛翔くん…久しぶり…みんなも…元気だった?」

「元気だったよ。今日は10年後の8月…だよ」

「約束してたんだよね!」

「約束…分からない…」

「そうだよね…」

「でも…私が死んだのは…辛かったから…生きるのが辛い…ごめん…弱い私で…」

「違う…小春は…」

「許さない!」

「…しーちゃん?」

「あんたは弱い…弱すぎる!…どうして私に相談してくれなかったの…」

「…ごめんね…迷惑かけたくなかったの…」

「…迷惑だなんて…これっぽっちも思わない…ひーくんもゆきぽんもみーちゃんも…あんたのためなら…きっと力になってくれたんだよ…」

「辛かった時はお互い様…って、利恵ちゃんも言ってたでしょ!」

「…もしかして宮村先生…?…そっか、ここって転生したあとの世界ってこと…やっと理解した」


12時のチャイムとお昼ご飯、食べ終わると話は続いていく。椎奈は小春の記憶を紡ぎ出していく。まるで、鶴が絹を織るように繊細に。


「…ってことがあったのよ。あの時は楽しかったなぁ…」

「しーちゃん!それ言うなって」

「でも、楽しかったでしょ」


こんな時間が過ぎていった。そして、病院の時計が14時を指すころ小春は突然泣き出した。悲しかったのか嬉しかったのか、それはわからなかった。


「小春…記憶を思い出せたんだね…」

「うん…宮子ちゃん、素直になれなくてごめんね。椎奈ちゃん、最後まで話を聞いてくれてありがとう。雪ちゃん、またお弁当作ろうね、そして飛翔くん…ずっとずっと、大好きだよ」


春の幻影は姿を消し、そこにいたのは昔の彼女だった。


「…おかえりなさい。こはるん」

「小春ちゃんでいいよ〜」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。