465話 反吐が出た
「飛翔、落ち着いたか?」
飛翔は怒りのあまり、店を飛び出した。外で悩んでいるところを隆真が話しかけていた。
「ごめんなさい。店の中で暴れたくなくて…」
「あんな言い方されたら怒るわな…」
気が付けば、雨が降り出していた。雨は次第に強くなって、飛翔の身体を濡らしていく。隆真は静かに店の中へと戻していった。しかし、店の中は酷い状況になっていた。
「なんてことだ…」
店はぐちゃぐちゃになり、その中心では喧嘩の渦が巻き起こっていた。
「ふざけないでください!どうして1番じゃないんですか!」
「だから、飛翔さんは1番を決めたいから料理を作らせたわけじゃないです!」
「嘘をつかないでください!僕を貶めたいんですか!」
「…俺の店で暴れるなら出てけよ」
こうして店の外に出た天使たち、しかし喧嘩はヒートアップしていった。
「…朝陽さん、あのラーメンのスープは誰担当だったの?」
「隆平と花です…翡翠とひまりも手伝ってましたけど…」
「…彩江さんは手伝わなかったってこと?」
「彩江は最後まで麺の調子を見たり具材を切ったりしてました…私は全部見てました」
「そうか…って!花さん!」
花が倒れ込んだのが見えた。頬は腫れあがり、血を流しているように見えた。しかし隆平は殴りかかろうとした。それを止めたのは…まさかの彼女だった。
「何してるの?」
「君は…知花ちゃん…」
鶉橋知花、昔天使になろうとしてなれなかった彼女だ。しかし、どうしてここに来ていたのだろうか?
「…隆平。生きていたのね…」
「どうしてここにいるんだよ!」
「…高校の時のこと、覚えてる?」
「覚えてるも何も…僕が可愛がってたからね…またやってあげようか。落としか回し、どっちがいい?」
「…飛翔さん、始末書は代わりに…」
「私も見なかったフリをしますね~」
「ありがとう…ちょっと隆真、こっちに来て」
「なんすか?」
と、口にした瞬間に飛び出したのは飛翔の拳だった。殴られても果敢に抵抗するために睨み返す彼を飛翔は殴り続けた。数十発にも及ぶ暴力の末、気が済んだ飛翔は吐き捨てるように言った。
「反吐が出る…」
「さすがにここまでやるべきじゃないです…というかその言葉取り消して」
「お前は天使じゃない。とっとと失せろ」
「そうですか。わかりました」
「…ちょっとやり過ぎたな。天使長に伝えておいたから」
「…怒らせちゃダメなんですね…」
「ふぅ、ごめんね。本当は怒りたくないんだけどさ、仲間を傷つけられちゃったから仕方ないよ…というか、昔からあんな感じ?」
「そう…だね…」
「…見る目がなかったのかもね…このあと緊急会議だ」
「わかりました…」
その夜、緊急会議が開かれた。隆平に対する処遇もそうだが、これからの教育や天使会の方針などを固めるためだそう。




