464話 実力行使
…作った料理に厳しい指摘をした飛翔。指摘のあとの冷たい空気に耐えられず、料理を作り始めた。これがお手本だろうと思うぐらいの綺麗な手さばきで作ったのは大根の風呂吹きだった。
「…美味しいな。飛翔のは暖かい気持ちが入ってる」
「本当だ…本気を出しただろ…」
「これは相当本気ですわね…普通に作る時より味の染み方が違いますわ」
「…みんなどうかい?」
新人だけでなく後ろで見ていた天使たち全員が口をそろえて美味しいと言っていた。飛翔もこれは会心の出来だと思うぐらいだ。
「言いたいことがあるならどうぞ~」
「これって…だしの違いですか!?」
「花さん、その通り。だしの使い方を替えればどんな料理だって美味しいわけよ。」
「…これは完敗だわ…」
「朝陽さん、勝ち負けじゃないよ。正直あの赤だしを飲んだ時、これは素直にすごい良かったんだ」
「…実は自信がなかったんです…他の人の方が早くできているので…」
「その分丁寧に作ればいいんだよ。料理って時間との勝負でもあるんだけど…それって調理中だけなんだ。準備に時間をかけることで美味しくなったんだから…もう大丈夫だよ。あとは環境とアドバイスをうまく聞くことが大事…ごめん、喋りすぎちゃったね」
「いえ…ありがとうございます!」
「その点では花さんも翡翠さんも成長できると思うんだ。味は満点だからね」
「そうなんですか!?」
「課題としては…花さんはもう少しこだわってみようか。上を目指せると思うんだよ。で、翡翠さんは…って、作ってたんだ」
「これが…出汁料理です!」
「…美味しい。出汁茶漬けはダシがそのままかかってる分味がバレやすいからね…これは勝負に成功してる…でも話はちゃんと聞こう!料理の才能は1番だけど話聞かなきゃ」
「あはは…」
「私は!?私はどうなの!?」
「ひまりさんは…もう一つ言いたいことがあってね…具材、柔らかすぎる」
「問題でしたか!?」
「問題ではないんだけど…甘すぎちゃったからね…でも、練習すればどうにかできると思う!」
「そうでしたか!」
「…で?料理の上手さが何になるんですか?」
「隆平君、どうしてその聞き方しかできないの?」
「意味ないじゃないですか。料理がうまいからなんですか?別にやらなくたって意味ないですよね?」
「…私からも質問よろしいでしょうか?私は料理を全くしたことがなかったのですが…これでよかったのでしょうか?」
「彩江さんも練習すればきっとわかるよ。思ったより奥深くて、思ったより精神が研ぎ澄まされていくから…」
「なんで無視するんですか?もしかして僕のことが嫌いなんですか?」
「落ち着いてください!まだ隆平さんを嫌っているとは言ってないじゃないですか!」
「この態度…どう見ても嫌っているじゃないですか!偉そうな態度取るなよ!」
「…隆真さん、ちょっと頭冷やしてきます…」
「飛翔…そうか」




