458話 守ってあげたい
「考えるのは早計だろう!」
府馬神社の神主、能登路縁はそう言った。飛翔たちはすぐにでも退治したいわけではなく、まずは交渉しに来ただけだからだ。
「そっか。そうだよね~先代の天使長を殺した理由が知りたい?じゃあ教えてあげる!殺した理由は…守りたかったからだよ」
「何から守る予定だったの?」
「…あの陣営から守りたかった…今更だけどこの世界って天使、悪魔、神、幽霊、妖怪に異能力者って感じに分類されて、その分類通りに人はつながって生きているんだ。でも、昔はそこともう一つ種類がいたの。それから守りたかった…」
「それって鬼のこと?」
「いや…それよりも恐ろしい怪物…」
「そうだな…それは存在が消えること。誰の記憶からも消されてしまえば、その人は消えてしまう。いや、消されてしまうな」
「それって…」
「君の所の小春ちゃん?だっけ。あの子もそうだし、私だってそう。私の本名は覚えてないだろう?」
「え?多和静かと…」
「あれは偽名だ。本名は覚えてなんかないし、きっとみんな忘れてる。でも私が忘れるのはいいんだ…でも親友で、戦友で、かけがえのない仲だった功労者の彼女を忘れていくのは許せなかった。だから私は先代の天使長を殺した」
「…だから先代の名前が思い出せないのか!」
「その時、私の名前も捨てたんだけどな。彼女だけは私を忘れないでくれた…ごめんな…沙由美…」
「…先代の天使長の名前…」
「どんな名前だったんだろうか…愛…」
「愛日沙由美…!思い出した。私の神社にも毎日のように参拝していた…慈愛の心に満ち溢れていた先代の天使長です!」
「思い出してくれたか!あぁ…私が唯一信頼できる友だった…」
「…どうして彼女を殺したのですか?」
「…みんなが忘れていくのが許せなかった。彼女がみんなに忘れられていくのが耐えられなかった…沙由美は言ったんだ。私を殺してくれと…結局、私は名前を捨てながら逃げた」
「もし…みんなが覚えていたら…」
「一人静としての私か?それとも忘れられた私か?」
「忘れられた方だ…」
「…それ沙由美さんが蘇生できればバレませんか?そしてここにネクロマンサーをお呼びしました」
「どうも、祖月輪まどかです。わかりにくいのでまどかと呼んでください」
「まどかさん、彼女の記憶を取り戻すことって…」
「できますよ。ただ、少し時間がかかりますが…」
「それでもいいんです…沙由美さんを…」
「…やっとその話が来ましたか…」
「あれ?宏さん…」
「まどか、縁、それと…一人静…ということは沙由美を復活させるのか…」
「そうだ。ダメなのか?」
「…俺はいいと思う。でも、生き返らされた彼女はどう思うんだろうか」
「どうして…?」
「彼女は…自ら死を望んで一人静に殺させた。彼女は前の名を捨てて…」
「それは本人から聞いたよ!」




